PCでMIDIを扱うのためには,WindowsやMacなど機種に左右されず,どんな環境でも同じ結果を返す統一規格が必要です。そのためにGM規格が生まれました。また各メーカーはそのGM規格を軸に,付加価値を取り入れた独自の規格を作り出しました。
一般的なMIDI規格 GM
PCでMIDIに対応した音楽を聴くには,MIDIデータファイルを使用します。このMIDIデータファイルは,「スタンダードMIDIファイル(以下「SMF」といいます)」と呼ばれ,単音としての MIDIメッセージ をまとめ,1つのデータ(曲)としてまとめたものです。
SMFには下記の決まりごとを標準規格とし,1991年にこれが「GM (General MIDI System Level 1) 規格 」として発表されました。 GM規格
その他にも,ピッチや発音の優先順位等がいろいろと定められています。音色名の詳細はこちらで⇒ GM規格の音色番号と楽器名 |
拡張規格 GM2の登場
上記GM1は必要最低限の規格が定義されただけで,音色の加工やエフェクト処理については別段何の定義もありませんでした。しかし多様化する現在の音楽をGM1規格のみで表現するのは難しいです。 そこで新規格,GM2(General MIDI Level2)が1999年に生まれました。GM1規格に拡張機能を追加し,複雑な演奏表現やエフェクト処理を統一規格で使用できるようになりました。これによりGM規格のみでいろいろな音楽表現を再現できるようになりました。 GM1とGM2の違いを表にしてみると以下の通りになります。■色付きの項目が新規追加又は拡張された機能です。
一覧表を要約してみると・・・
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互換性のGM,発展系のGS・XG
世界標準規格のGMに対し,音楽メーカー側は更に拡張性に飛んだ独自の規格を作り出していきます。RolandのGS規格,YAMAHAのXG規格がこれに該当します。 GS・XGどちらの規格も,GMとの互換性を保ちつつ上位的な位置にあり,機能も拡張されています。音色数や同時発音数を増やしたり,エフェクトを付け加えたり,システム・エクスクルーシヴ・メッセージ によってコマンド(命令)をMIDI機器に送信できたり・・・と,様々な拡張機能が装備されています。 ここで,GM2・GS・XGの規格の違いを表にまとめてみましょう。
※1. ドラム・チャンネルは10ch,11chに設定(変更も可能)。 ここで注意すべき点は,GS・XGともにそれぞれの標準規格が出来上がったのはGM2が誕生する前の話である,という点です。あまりにも拡張性のないGM1に対し,Rolland,YAMAHAはそれぞれ拡張性の高い規格を作ったのですが,GM2が誕生した現在ではあまり意味のないような気もします。(^^; まぁそれでも,GM2規格外のエフェクター等を駆使したSMFを作ろうと思えば,やはりGS・XG規格は必要なのでしょう。 他にもGS,XGでは,音色やエフェクトを自由に加工してユーザー・オリジナルのものを作成,登録する事もできます。ただし,ユーザー・オリジナルはそのMIDI機器のみに有効であり,他の機器に対して互換性はありません。 |
規格に準じたデータの作成
音楽の作成環境の1つに,PCを使用して構築するデスクトップミュージック(DTM)というものがあります。MIDIを活用してPCの シーケンス・ソフト とMIDI機器を同期させるもので,作曲からアレンジまでが手軽に楽しめます。
このDTMをやろうと思うなら,必ずGM・GS・XGのいずれかに準拠したSMFを作成しなければなりません。なぜならDTM用ソフトも,これらの規格を念頭に置いてデータ作成を行うようになっているからです。出来上がったSMFを,Web上にアップする等して公開し,皆に聴いてもらいたいと思うならば,互換性は絶対必要でしょう。
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