Music MIDI Music MIDI
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GM GS XG 統一規格とメーカー毎の規格 GM GS XG 統一規格とメーカー毎の規格 GM GS XG 統一規格とメーカー毎の規格
PCでMIDIを扱うのためには,WindowsやMacなど機種に左右されず,どんな環境でも同じ結果を返す統一規格が必要です。そのためにGM規格が生まれました。また各メーカーはそのGM規格を軸に,付加価値を取り入れた独自の規格を作り出しました。
一般的なMIDI規格 GM
GM General MIDIPCでMIDIに対応した音楽を聴くには,MIDIデータファイルを使用します。このMIDIデータファイルは,「スタンダードMIDIファイル(以下「SMF」といいます)」と呼ばれ,単音としての MIDIメッセージ をまとめ,1つのデータ(曲)としてまとめたものです。

SMFのしくみ ※ 単音のMIDIメッセージをまとめて,SMFという1つのファイル(曲)に収納する。
SMFのしくみ  

SMFには下記の決まりごとを標準規格とし,1991年にこれが「GM (General MIDI System Level 1) 規格 」として発表されました。

GM規格

  • チャンネル数は全部で16パートとし,10番目のチャンネルはリズム用とする。
  • 128の楽器音と47のパーカッションを用意し,その順番を指定する。
  • 同時発音数を24音以上とする。

その他にも,ピッチや発音の優先順位等がいろいろと定められています。音色名の詳細はこちらで⇒ GM規格の音色番号と楽器名

 
拡張規格 GM2の登場
GM2 General MIDI 2上記GM1は必要最低限の規格が定義されただけで,音色の加工やエフェクト処理については別段何の定義もありませんでした。しかし多様化する現在の音楽をGM1規格のみで表現するのは難しいです。

そこで新規格,GM2(General MIDI Level2)が1999年に生まれました。GM1規格に拡張機能を追加し,複雑な演奏表現やエフェクト処理を統一規格で使用できるようになりました。これによりGM規格のみでいろいろな音楽表現を再現できるようになりました。

GM1とGM2の違いを表にしてみると以下の通りになります。色付きの項目が新規追加又は拡張された機能です。

 GM1GM2
音色数 128 256
発音数 24 32
パート数 16 同左
エフェクト なし リバーブ,コーラス
コントロール・チェンジ バンク・セレクト 同左
モジュレーション・デプス 同左

ポルタメント・タイム
チャンネル・ボリューム 同左
パン 同左
エクスプレッション 同左

ホールド1

ポルタメント・オン/オフ

ソフテヌート

ソフト

ハーモニック・コンテント

リリース・タイム

アタック・タイム

ブライトネス

ディケイ・タイム

ビブラート・レイト

ビブラート・デプス

ビブラート・ディレイ

リバーブ・センド・レベル

コーラス・センド・レベル
データ・エントリー 同左
LSB/MSB 同左
エクスクルーシヴ・メッセージ
マスター・ボリューム

マスター・ファイン・チューニング

マスター・コース・チューニング

リバーブ・パラメーター

リバーブ・タイプ

リバーブ・タイム

コーラス・パラメーター

コーラス・タイプ

モジュレーション・レート

モジュレーション・デプス

フィードバック

コントローラー・セッティング

チャンネル・プレッシャー

コントロール・チェンジ

スケール/オクターブ・チューニング

キーベースド・コントローラー

レベル

パン

リバーブ・センド・レベル

コーラス・センド・レベル

一覧表を要約してみると・・・

といった感じになり,より極細やかな音楽表現が出来るようになりました。
 
 
互換性のGM,発展系のGS・XG
GS XG世界標準規格のGMに対し,音楽メーカー側は更に拡張性に飛んだ独自の規格を作り出していきます。RolandのGS規格,YAMAHAのXG規格がこれに該当します。

GS・XGどちらの規格も,GMとの互換性を保ちつつ上位的な位置にあり,機能も拡張されています。音色数や同時発音数を増やしたり,エフェクトを付け加えたり,システム・エクスクルーシヴ・メッセージ によってコマンド(命令)をMIDI機器に送信できたり・・・と,様々な拡張機能が装備されています。

ここで,GM2・GS・XGの規格の違いを表にまとめてみましょう。

 GM2GS XG
チャンネル 固定 ※1 自由に設定可能 自由に設定可能
音色数 ノーマル 256
ドラムセット 9 ※2
ノーマル 1,640
ドラムセット 63 ※3
ノーマル 1,396
ドラムセット 58 ※4
同時発音数 標準で32
標準で64
エフェクト 規定なし 90種類 ※3 135種類 ※4

※1. ドラム・チャンネルは10ch,11chに設定(変更も可能)。
※2. 音色数は最低限の数値であり上限はありません。
※3. 数値は Rolland SC-8850 SOUND Canvas のものです。
※4. 数値は YAMAHA MU2000,MU1000 のものです。

ここで注意すべき点は,GS・XGともにそれぞれの標準規格が出来上がったのはGM2が誕生する前の話である,という点です。あまりにも拡張性のないGM1に対し,Rolland,YAMAHAはそれぞれ拡張性の高い規格を作ったのですが,GM2が誕生した現在ではあまり意味のないような気もします。(^^; まぁそれでも,GM2規格外のエフェクター等を駆使したSMFを作ろうと思えば,やはりGS・XG規格は必要なのでしょう。

他にもGS,XGでは,音色やエフェクトを自由に加工してユーザー・オリジナルのものを作成,登録する事もできます。ただし,ユーザー・オリジナルはそのMIDI機器のみに有効であり,他の機器に対して互換性はありません。

 
 
規格に準じたデータの作成
音楽の作成環境の1つに,PCを使用して構築するデスクトップミュージック(DTM)というものがあります。MIDIを活用してPCの シーケンス・ソフト とMIDI機器を同期させるもので,作曲からアレンジまでが手軽に楽しめます。

このDTMをやろうと思うなら,必ずGM・GS・XGのいずれかに準拠したSMFを作成しなければなりません。なぜならDTM用ソフトも,これらの規格を念頭に置いてデータ作成を行うようになっているからです。出来上がったSMFを,Web上にアップする等して公開し,皆に聴いてもらいたいと思うならば,互換性は絶対必要でしょう。


※ 参考文献: エーアイ出版 「やさしいたのしいMIDI

 
   
   
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