お金をかけずにPACSシステムを構築しようというコーナーです

内視鏡の写真がMOに保存されるシステムを使用していますが、過去のデータを簡単に検索・表示できれば便利だと思って適当なソフトはないかと探していたところ、DICOMのシステムをフリーソフトを使って構築するページを見つけたのが始まりです。
今にして思えば、データベースサーバーに直接画像を保存するプログラムを書いたほうが簡単だったような気がしますが、DICOMファイルの構造がある程度理解できたので全く無駄と言うわけでもなかったような..
副産物として、FatScan用のソフトもできたし。
サーバーにConquest、ビュワーにK-PACSを使用することにしました。
どうにか稼動するところまではできましたがまだ不安定です。

【1】DICOMサーバーを立てる

1)CTNを使ってみる
最初に見つけたホームページがCTNを使っていたのでこれから入りました、Linux上のシステムで素人には(自分のこと)かなりセッティングが難しいです。一応稼動するところまでは持っていけましたが、JPEG圧縮ファイルに対応していないのと管理が難しそうなので挫折しています。
こちら

2)DICOM Toolkit を使ってみる
DICOM Toolkit にはいろいろなソフトが含まれていますがサーバーの働きをするソフトも入っています。
窓用のものもありますので試してみることができます。(コマンドラインです)
こちら
dcmqrscp.exeがサーバーソフトです。自分が試した結果ではJPEG圧縮ファイルを受け取ってくれないので今回は没になりました。

3)ConQuestを使ってみる
Windows上で動くDICOMサーバーです、GUIで操作でき、設定もそれほど難しくないし、データベースの操作もできる優れものです。

【2】DICOMビュワー

DICOMファイルを見るだけなら沢山ありますが、ここではDICOMサーバーに接続できるものが必要です
1)K-PACSを使ってみる
フリーのDICOMビュワーです。機能制限がありますが、内視鏡の画像を見る程度なら十分使えます。

2)ザイオソフトが提供しているExaVision LITEというソフトがあります。同社の好意で、医療関係者に限り無料で使用できます。簡単なユーザー登録が必要です。JPEG圧縮ファイルには対応していません。
こちら


【3】データの転送

CT、MRI、エコーなどのDICOM対応の機器(モダリティーと呼びます)があれば、データの転送ができるはずですがうちにはそのような機器がないので試していません。標準規格のはずなのに繋がらない事も多いらしいです。

【4】内視鏡のMOファイルをDICOMに変換して転送する

1)JPG_DICOM変換ソフトの作成
データを転送しなければ使いようがありません、いろんなFreeSoftの助けを借りながら、内視鏡のMO内の画像ファイルをDICOMに変換して転送するプログラムを作成しました。


【5】運用

ConQuestはサーバー用にした1台のPC上で動かします。OSは今回はWindows XP Pro SP2 を使用しました。
IPは固定IPにしました。
データを転送するソフトは内視鏡室に置いたPCに入れました。 K-PACSは複数台のPCにインスツールしました。OSはさまざまです。
サーバー以外のPCのIPはルーターのDHCP機能を使って自動設定するようにしました。

クライアントのPCにK-PACSをインスツールします。
このとき AE Title の初期値は KPServer ですが同じ名前が複数あるとうまく転送できないので変更します。どこにあるPCか解り易いものが良いでしょう。日本語は使わない方が良いです。
K-PACSを起動したら右上の「DICOM setting」を押し4つの項目を設定します。
初期値ではConquest(Example)    CONQUESTSRV1    127.0.0.1    5678
になっているはずなので、3番目の127.0.0.1をサーバーのIPに書き換えます
左端のECHOを押してみて「Success!」と表示されればOKです。
メイン画面に戻ったらQueryグループの「Network」タブでConquest(Example)にチェックを入れます。ここにチェックが入っていないとサーバーにアクセスしません。

ConQuestにはアクセスしてくるPCのデータを設定する必要があります
「Known DICOM providers」のタグを開いて
AE    IP adress|Host name    port number    compression
の4項目を設定します
内容は各クライアントのPCで設定したものです。
AEはK-PACSに設定した名前です。同じ名前が複数あるとうまく転送できないので注意します。
IP adress|Host nameはマイコンピューターのプロパティーの「ネットワークID」または「コンピューター名」で確認できるフルコンピューター名です。DHCPで運用している場合はIPはその都度変わるのでコンピューター名で設定する必要があります。
port numberはK-PACSの初期値だと104です。
compressionはunにしました。

ここまでできたら、クライアントPCでK-PACSを起動して「Search」を押してみます。下にListが表示され、その1つをダブルクリックすると新しいウィンドウが開いて画像が表示されれば成功です。

最近のOSではConQuestにクライアントのコンピューター名を設定してもうまく転送できないことがあります。その場合はIPを設定するとうまくいく場合があります。クライアントのPCを固定IPにしても良いのですが、設定が面倒なので、ルーターのDHCPで特定のPCにいつも同じIPを割り当てる機能を使うと楽にできます。

サーバーのPCはつけっぱなしでConQuestも起動したままにしています。スクリーンセーバーは起動しないようにして、電源も自動的には落ちないようにしていますが、時々ConQuestが応答しなくなります。「ようこそ」画面に戻っているときにそうなるようですが、原因ははっきりしません。一度ConQuestの画面を表示させれば復帰します。

2010.2.2 追記
WindowsXP SP2 からファイアーウォールが入っているのでポートを開ける操作が必要です
Conquestの初期値だと5678 K-PACSの初期値だと104 です
ファイルとプリンタの共有にチェックを入れる必要もあるようです




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2006.12.8