資料名 「スケルトン(越選手)」

[ねらい]
 ・スポーツマンシップと思いやりの関係について考える事ができます。
 ・あきらめず前向きに生きる事の素晴らしいさを感じる事ができます。
[セールスポイント]
 ・最近(2月)に行われたソルトレイクシティーオリンピックを取り上げています。
 
・ワークシートとセットになっています。
[対象学年]
 ・小学校中学年以上
[追試上の留意点]
 ・イラストなどは,コピー機でTPシートに転写して活用するとよいです。
[備考(私見)]


〔発問1〕 「○○ルトン」という競技をしっていますか。
      ○には,なんという文字が入るでしょうか。
     ※ なかなか答えがでないとは,ヒントを与える。
        (ヒント1)冬のオリンピックの競技です。
        (ヒント2)「ボブスレー」という競技に似ています。

〔説明1〕 答えは,「スケルトン」という競技です。
      ボブスレーやリュージュ同様、氷上コースを鉄製ソリで滑り降りタイムを競います。
      ソリの上に腹ばいになり頭は前。時速125キロにも達するが、かじやブレーキはなく
      重心移動で操作します。
      19世紀後半、スイス・サンモリッツで生まれ、1928年と48年サンモリッツ五輪で実
      施され、2002年ソルトレークシティー五輪で再び正式種目に採用となりました。
      そりと競技者の総重量は,男子115キロ、女子92キロ以内となっています。
      国内の競技人口は約150人です。
      スケルトンは「骨格」の意味です。

      ※説明した後,競技の様子をVTR等でみせると効果的です。       
      
〔説明2〕 越(こし)選手は,36歳です。
      スポーツ選手としては,ピークをすぎている年齢です。
      しかし本人は,そのハンディーを乗り越えるため,スタートダッシュを大学の先生に聞きに
      いったり,下半身の強化をはかるため,相撲部屋へ質問にいったりしたそうです。
      体力的なものは若い人たちより劣っていても,コース取りなど技術的なものは,世界の
      トップレベルだそうです。
      越(こし)選手には,奥様と子どもがいます。
      奥様の理解があったからこそ,ここまでこれたとも言っていました。

〔発問2〕 越(こし)選手は,本人が理想とする競技の使用する「そり」を日本では購入することが
      できなかったそうです。そこで,高い技術を持っている外国のよい「そり」を購入しようと
      としました。
      しかし,購入することができませんでした。
      それは,なぜでしょうか。
      ・高かったから。
      ・売ってくれなかった。     

[説明3] 外国の会社は,越(こし)選手に売ってくれなかったのです。

[発問3] どうして,越(こし)選手に売ってくれなかったのでしょうか。
      ・自分の国の選手がまけるといやだから。
      ・自分の国の選手に不利になるとこまるから。
      ・越(こし)選手が勝てば,「そり」が自分の国で売れなくなるかもしれないから。

[説明4] 越(こし)選手が,かなり実力をつけてきて,世界のトップレベルの選手になってきたので,
     高度な技術がつまっている「そり」を売れば,自分の国の選手が勝てないかもしないから,
     売ってもらえなかったそうです。

[指示1] このことについてどう思いますか。
      ワークシート1に自分の考え[(1)しかたがない。(2)売るべきだ。]を選び,その理由を
      書きましょう。
      (1)「しかたがない。」
        ・やはり会社としては,自分の国の選手が勝ったほうがいいと思うからしかたがないと
         思います。
        ・会社は,もうけなければつぶれるのだから,自分の国の選手に売って,その「そり」が
         有名になったほうがもうかるからしかたがない。
      (2)「売るべきだ。」
        ・スポーツなんだから,商売と違うのだから,売るべきだと思います。
        ・やはり,本人がほしがっているのがら,売るべきだと思います。
        ・スポーツマンシップのことを考えれば,売るべきです。
       ※ここでは,結論を出しません。
         1つの行為について,いろいろな考えがある事を分からせるとともに,他者の多様な
         意見を聞き,意見交換をする
        
[発問4] 越(こし)選手は,どうしたでしょうか。(どのように対処したでしょうか。)
       ・頼み込んで,売ってもらった。
       ・いままで使っていた「そり」を使った。
       ・自分で作った。
       ・日本の会社に頼んだ。

[説明5] 越(こし)選手は,町工場の建築金物加工会社ニギテック社長の仁儀吉寿氏(40)と連絡を取り,
      「もっとそりを軟らかく、薄いものにして欲しい」と要望を出した。
       予算は100万円ほど。まるで採算の合わない額だったそうです。
       仁儀氏は越の熱意を受け止めました。
       実際かかった費用は,400万円〜500万円だったそうです。(仁儀社長が負担したそうです。)
       何より、作る過程で「あれがやりたい、これもやりたい」と技術者としての本能がうずいたそうです。
       仁儀社長さんは,自分の会社の経理担当の方から,しかられたといっていました。
       この会社では,ついに世界のトップレベルと「そり」を開発することができました。
       現在では,外国からの注文もきているそうです。

[説明6] 2002年ソルトレークシティー五輪では,見事8位に入賞しました。
       スケルトンという競技は,コース上に雪が降ると,タイムが遅くなります。
       残念なことに,スタートが後半だった越(こし)選手の時,かなり雪が降りはじめました。
       また,体重の軽い越(こし)選手は,とちらかといえば条件的には,不利なのです。
       しかし,本人の努力で見事8位に,入賞することができました。
       レース後,越(こし)選手は,
       「自分の実力を出し切った最高のレースでした。」
       と,笑顔でインタビューに応えていました。

[指示2] もう一度,越(こし)選手のすべりを見てみましょう。
      VTRがあれば,それをもう一度みせるといいです。
 
〔指示3〕 この授業を受けて,感じた事や考えた事をワークシート2を書きましょう。
     
            省   略

      画像入りのワークシートやきれいなイラストなどは,下記の書籍に掲載しています。

『続・落語流道徳授業』
(大江浩光著,押谷由夫解説,明治図書

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