資料名 「お母さん 産んでくれてありがとう」

[ねらい]
  ・「命の大切さ」や「生きていることの素晴らしさ」が理解できます。
  親が子どもに対する気持ちが分かります。

  
[セールスポイント]
 
 ・導入段階では,ロールプレイングゲームやクイズ形式を取り入れたりすることにより,子どもたちに授業
   の流れを予想されせん。また,子どもたちは,授業に対して肩肘張らず参加することができます。
  ・読み物資料ではないので,読解力の乏しい子どもも授業に進んで参加することができます。
  ・ワークシートとセットになっています。
[対象学年]
  ・小学校中学年以上
[追試上の留意点]
  ・写真(イラスト)やメッセージなどは,コピー機でTPシートに転写して活用するとよいです。
[備考]
  ・この資料は,橋口氏の全面的協力により,完成することできました。
   ありがとうございました。
  ・この資料は,ノンフィクションです。
   


[発問1] あなたは,今何をしていますか。
       次のような反応があった。
       ・息をしている。     ・授業を受けている。   ・先生を見ている。
       ・生きている。      ・彼氏のことを思っている。など 
      導入段階では,,授業に対して身構えてしまわないために,会話的内容の発問を
      用いた。
      勿論,その発問には教師(私)の意図した内容が含まれている。        

[発問2] 今,生きていない人?
       今,生きていない人?
      
 人数を聞きながら,「先生は,〇〇君は眠そうだから半分死んでいるみたいに見えたよ。」
       と,冗談半分に子どもたちに話しかけることにより,楽しい雰囲気で授業を進めることがで
       きる。

[指示1] あなたがは,本当に生きているかどうか証拠を言ってください。
       次のような反応があった。
       ・心臓が動いている。  ・息をしている。  ・脈がある。
       ・へがでる。       ・腹がへる。 など。         

[指示2] 自分一人では本当にいきているかどうか分からないから,近くの2人と脈をとり合いっこしてみましょう。
      
 他者の脈をとることにより,人間の肌の温かさやみんな同じように生きていること感じさせたい。
       学級の実態に合わせて,お互いに脈をとる人数を変える必要かある。
       指示2で,あまり時間をかけ過ぎないように配慮する必要がある。
       

[発問3] これは,何の音でしょうか。(事前に録音しておいた胎児の心音を聞かせる。)
       次のような反応があった。
       ・心臓の音。  ・病気の人の心臓の音  ・赤ちゃんの心臓の音 など。

[説明1〕 これは,お母さんのお腹の中にいる赤ちゃんの心臓の音です。 
      
TPシート(1)を見せながら説明をする。 






  

[指示3] ビデオを見ましょう。
       出産の様子をビデオで見せる。
       出産の様子のビデオは,性教育関係のビデオを活用するとよい。
       その関係のビデオは,視聴覚ライブラリーなどの機関にあるはずである。

※ ビデオを使用しない場合は,次の[説明A]を用いるとよい。
[説明A]  私たち人間は,お母さんのお腹の中で265日間いて,その後外の世界に出てき
      ます。
      お母さんのお腹の中に赤ちゃんがいる状態を「妊娠」といいます。
      妊娠中は,さまざまなことが起こります。
      例えば,「つわり」という症状を起こす人が多いです。
      「つわり」とは,気分が悪くなって食べ物が食べられなくなったり,食べ物の匂いを
      嗅いだだけでもどしてしまったりする症状です。
      お腹の中のあかちゃんが,時々逆さまになったりすることがあります。
      その際,お母さんは逆さまになった子どもを元に戻す運動をしたり,お灸する人も
      いるそうです。
      人によっては,さまざまな原因でお腹に入っている赤ちゃんが死んでしまうこあり
      ます。
      お母さんは,妊娠期間中特に赤ちゃんが無事に育つようにいろいろなことを心配し
      ながら,生活をしています。
      赤ちゃんは大きくなると,お母さんのお腹から出てきます。そのことを専門用語で
      「出産」といいます。
      出産の苦しみや痛みは,経験した人にしか分からないほど,大変だそうです。
      それだけ,赤ちゃんをお腹の中で育ち,産むということは,大変なことなのです。
      初めての赤ちゃんが産んだお母さんの多くは,出産の喜びで涙を流す人が多い
      そうです。
     
[発問4〕 この女性は,妊娠しているのになぜか暗い様子をしています。
      なぜでしょうか。
       TPシート(2)を見せながら,発問を行った。
       次のような反応かあった。
       ・出産が怖い。
       ・赤ちゃんが欲しくなかった。
        「出産が怖い」と答えたひとがほとんどであった。



[説明2〕 この女性は体が弱く,お医者さんから「もし,出産すれば,あなたの命にかかわる(死ぬ)
      かもしれませんよ。」と言われ,落ち込んでいるのです。
      しかし,彼女は出産することを決意しました。


[指示4〕 あなたは,この女性が出産を選んだことについて,どう思いますか。
      ワークシート1に,「賛成」,「反対」のどちらかに〇を付け,理由も書きましょう。
       
次のよう反応があった。
       「賛成」・・・・・せっかくできた命だから産んだ方がよい。
                自分の子どもだからできたら産んだらよい。など。
       「反対」・・・・・もし,出産が原因で死んでしまったどうしようもないから。
                家族やいろいろな人に心配をかけるから,止めた方がいい。など。
      従来ならば,「もし,自分がそのお母さんだったら,産みますか。」と,発問すること多い場面である。
        あえて,そのような発問をしなかったのは,「もし,自分がそのお母さんだっから」ということは,現実
        的に可能性が著しく薄いからである。また,この時期の子どもにとっては,空想の域を超えない。
        ゆえに,そのような発問はさけるべきである。 
       その人がとった行動に関して,賛否を問う事により,多様な視点て物事をみることやいろいろな考えが
       深めることができる。

       この発問に対しは,結論は出さない。理由は,上記の通りである。
     ※ 私が考える道徳の最終的な目標は,授業を通して一つのことに関して,多様な考えや意見の存在
        があることを知り,その多様な選択肢の中から,自分で選択する能力を育てることだと考えている。

[説明3] この女性は,元気な男の子を産みました。
       ( 数秒間を空けてから。 )
       しかし,残念ながらこの女性は,,出産が原因で一カ月後になくなってしまいま
       した。
       
 TPシート(3)を提示ながら説明をする。
        
[説明4] このお母さんは,自分の息子に一通の短い手紙を残しました。
       先生が代わりに読まさせていただきます。
       
           
手紙の内容は,

『「いじめ」の授業』
  (大江浩光著,押谷由夫解説,明治図書)

 に掲載しています。
                                            
[指示5] 「学級半分以上の子供を涙ぐませることができるある指示をました。」
      詳しいことは,上記の本に掲載しています。

[指示6〕 授業を受けて,感じたことや考えたことワークシート2に書きましょう。


[追試された先生の感想]
子どもも親も、身動きせず、じっと静まりかえった時間でした。
天井を仰ぎ見る子、目を真っ赤にする子、何度も何度も読み返す子など、おうちの方の手紙の威力が、
十分伝わってきました。(手紙は、プライベートなものなので、私はいっさい目を通しませんでした)
中には、見ているお母さんが泣き出してしまう一幕もあって、BGMはちょっと細工しすぎかなあと思いました。
子ども達の中には、
・「いままでどうして自分は生まれてきたのかわからなかったけど、お母さんのすごい決断や、愛情によって
 生まれてきたことがわかり、どんな人生でも、一生懸命生きなくちゃと思った」
・「そんなに長い時間おなかの中で守られてるなんて知らなかった」
・「アトピーや、アレルギーですごく大変なぼくだけど、こうして楽しく毎日が送れるのは、お母さんがこの世
 に送り出してくれたからだと思うと、体のことなんか何でもなくなった」
・「家族の応援をいっぱいもらって、みんなに見守られて私が生まれたんだと知って、
 お姉ちゃん達にも感謝したくなった」
という、もらい泣きしそうな感想がびっしり。
私の力ではなく、先生の資料とおうちの方の手紙で授業ができたのだと思いました。
大江先生、本当にありがとう。


私の自作資料に関して一言
    (1)普段の授業や研究授業などで使用していただいて結構です。
    (2)教育雑誌や教育書,その他の書籍に無断掲載することは,著作権法に触れますので,
       ご遠慮ください。

                              

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                         『「いじめ」の授業』