本坊酒造 津貫工場


           加世田市津貫6594   Tel 0993−55−2001

本坊酒造1  本坊酒造は、私たちの子供の頃、加世田で一番メジャーな企業であった。南薩鉄道を使って枕崎に行った小学校の遠足で、津貫駅に停車したジーゼルカーの車窓から見える7階建てはあろうかと思われる工場は、子供心にまぶしく、「将来はこんな立派な建物のあるところで働きたい。」と思わせるに十分な威容を誇っていた。
  今では車でしょっちゅうここの前を通るのであるが、改めてこの工場を見ると、加世田の誇りと思っていた(もちろん今でもそうだが・・・)あのころの感情が、沸々とよみがえってきた。
本坊酒造2  加世田の他の酒造場に比べて圧倒的に大きい。工場も煙突もけた外れである。
工場の周りをあるいてみた。津貫小学校の正門?前に石倉があった。うーむ、歴史を感じる。もしかしたら「石の蔵から」はここで寝かされているのかしら?等と妄想しながら、シャッターを切った。ここは工場見学が出来るようになったら、新しい観光名所になるのではないだろうか。
それと工場の周囲は石垣づくりの立派な家が多い。庭も立派だし、いわゆる「ぶげんしゃ」(分限者=金持ち)が、集まっているような感じである。そう言えば、津貫は学者、実業家、政治家など著名人を数多く輩出している土地でもある。ここら辺は末永さんのページに詳しい。おはら

 ここで作られる焼酎は「おはら」と「寶星」らしいが、製造のメインは「寶星」で、そのほとんどが地元で消費されると聞いたことがある。私としては「おはら」が欲しいと思い、近所の酒屋に入ろうとしたのであるが、あいにくその日1升瓶を2本購入してしまい、もうこれ以上買って帰ると愚妻になんと叱責されるか、容易に想像できる状態であった。ほとぼりが冷める頃購入しようと諦め、帰路途中父の家に寄ったら、なんと運良く埃を被った「おはら」を発見したのである。極めてラッキーであった。もちろん有無を言わさず持ち帰ったのは言うまでもない。
  一方「寶星」は加世田のほとんどの酒屋さんで手に入るいわばメジャーな焼酎である。
  「おはら」のラベルは昔ながらの松原と噴火している桜島を薄い紫系統の枠の淡水画風に描いている。ネーミングと相俟って、鹿児島らしさを全面に出し好感が持てる。
  生で飲むと、色は無色、澱は見られず、匂いはさほど強くなくわずかに焼酎の香りがする。味はまろやかで、確かに芋焼酎の味を感じるのだが、後には全く残らない。今流行の手造り系の焼酎と遜色ない味である。
  オンザロックでは、味わいは芋焼酎そのものであるが、舌に鋭利な感じが残るわけではなく、あっさりとして十分に飲める、旨い。
  湯割りでは、さすがに芋焼酎を十分に主張している。すなわち焼酎の王道を行くというか、芋焼酎独特の甘みを舌に感じさせながら、スッキリとした後味を保っている。その後味にゆっくり浸る間もなく、次々と口に含ましたくなる。とにかく旨い。
「寶星」は手元にないので、手に入れ次第アップすることにする。

 

  寶星

  睦月晦日のとある飲み会で、「寶星」の1升瓶が出た。その時の料理は魚介類の寄せ鍋だったのだが、料理にもあってなかなかいける。
1/2ぐらい余ったので、これ幸いと無断で持って帰ってきた。
  「寶星」のラベルは三角形を図案化したシンプルなものである。
焼酎甲類乙類混合と書いているので、芋焼酎と米焼酎をブレンドしているのであろう。
  で味わうと、まず甘いさわやかな香りを感じながら、口に含むと、香りそのものの味わいとわずかな甘みを感じる。このままでも充分楽しめる感じである。
  ロックにすると芋焼酎独特のこくが確かに出ているのだが、渋みは全く感じず、生で感じたさわやかな味わいが増す。水割り系統でも麦や米焼酎に全く遜色がない。
  湯割りでは芋焼酎の甘みは十分に舌に残しながらさわやかな、切れのある味わいである。今までの芋焼酎ではなしえなかった、クロスオーバーな味わいと言おうか、不思議な余韻を残しながら、杯(私の場合はグラス(^_^;)が進みそうな逸品である。
グラスを手にしたときの芋の香りが、さほど強い方ではないので、古来からの芋焼酎通には、ほんのちょっとだけ物足りないのかも知れないが、初めて焼酎を経験する人でも即座に親しめる味に仕上がっている。
  私個人の好みから言えば、湯割りの「おはら」、水割りの「寶星」と言うことになるかも知れないが、飲み人個々が色んな飲み方にチャッレンジしても、十分に答えてくれる出来映えである。
本坊酒造のホームページ   末永さんのホームページ