第24手 効果的な暗記法
〜 暗記ってイヤなのである。でも大切なのである。 〜


今回のお題は「暗記」である。

「まくべん」では「暗記」は,最も初歩的な「記憶方法」である。

しかし

AとBとの間に「意味」を見つけられない場合
どうしても「暗記(機械的記憶)」が必要になる。
(詳しくは「勉強とはナンダ?第20話」を読んでほしい。)



時々
「暗記は応用がきかないからダメだ」という意見を聞く。
勉強に苦しむ者が聞いたら喜びそうな意見である。

「まくべん」も部分的には賛成である。

しかし,
「暗記は必要がない」と言われると
頭が左へ105°ほど傾いてしまう。
(かなり苦しい体勢である。)

「暗記」は必要なのだ。

何もないところから,何をどうやって応用するのだ。
数多くの知識があって,それらを組み合わせたり変化させたりして
はじめて「応用」ができるのだ。
ゼロから「応用」が可能なのは「スーパー天才君」だけなのである。



例えば,英単語がある。

「犬」と「dog」の間には,「意味」や「関係」はない。

無理に「意味づけ」しようとしても,とても難しいし,時間がかかりすぎる。

そこで,
「犬はdog」「dogは犬」と暗記する必要があるのだ。

「dogは犬,houseは家」と「暗記」した単語が増えてくると
「dogは犬,houseは家なんだから・・・
ひょっとしたらdoghouseは犬小屋なんじゃなかろうか」
という
「有意味づけ」ができるようになるのだ。

わざわざdoghouseは犬小屋と暗記する必要がなくなるのだ。

ちなみに kennel という単語も犬小屋を表す。
無理を承知でカタカナ発音を書くと「ケンネル」と発音する。
「イヌが寝る」からケンネルと覚えればよい。これも有意味記憶の一種である。

だからどうしても勉強する以上,「暗記」から逃れられないのである。

ご愁傷様である。



では,ここでサッパリあきらめて
少しでも能率的な「暗記」の方法を考えてみよう。
脳が少しでも「覚えやすい」と感じるのはどんなときだろうか。


1 覚えるコトを「種類分け」すると覚えやすい

単語をバラバラに覚えていくより
例えば「曜日」「道具」「動詞」・・・という具合に
「種類分け」して覚えると効果的なのである。


2 自分で調べたこと,体験したことは覚えやすい。

先生から教えてもらったことより,
自分の予習や復習で「調べた」ことは記憶に残りやすい。
単語カードなどは,自分で作らなければ意味がないのである。


3 「初め」と「終わり」は覚えやすい。

例えば単語カードが10枚あるとしよう。
最初と最後の数枚は覚えやすいが,
真ん中の数枚は覚えにくいのである。

だから
時々カードをシャッフル(きる)必要がある。

単語リスト(一枚の紙に数個の単語を書いたモノ)は
シャッフルができないので
単語カードよりも性能が落ちるのである。

しかし
テスト直前の点検をするときには単語リストの方が効果的である。

マスク記憶法(教科書に赤いマーカーを塗って,
緑や赤のシートをかぶせて暗記する方法)も
最終チェック向きである。
どうしても中央部分の「暗記」が弱くなりがちになる。


4 五感総動員で記憶せよ。

条件が許すなら,
「見て」「読んで」「聞いて」「書いて」
覚える方が簡単に覚えられる。

書くことができない場合(休み時間や屋外)は
「見て」「読んで」「聞いて」覚え,
周囲の迷惑になりそうな場合は「見て」覚えればよい。

単語カードならば,いつでもどこでも,
ちょっとした時間でも効果的な「暗記」ができる。

学活や部活開始の待ち時間,家庭での
ちょっとしたスキマの時間などである。
小さな時間も使い方で,ビックリするような時間になる。



5 暗記学習は初めが一番つらい。

暗記は,
始めた時が一番ツライことを知っておくのだ。

A君は全く英単語を知らない。
B君は英単語を百覚えているとしよう。

A君とB君が同時に新しい英単語10個を「暗記」した場合
B君の方が速く確実に「暗記」を終了するのだ。

(ウソではないホントだ)

なぜなら,B君の脳は
「英単語を覚えるコツ」を
毎日の訓練で身につけている
からである。

「暗記」はスタート直後が一番ツライのである。

マラソンとよく似ているし,
貯金にも似ている。
大金を貯金する人には利子もたくさんつくのである。

あなたの暗記学習が
三日坊主になっていた原因がコレである。
一番キツイところで止めたくなるのは
当たり前なのである。



6 短時間に一気に大量に詰め込むと忘れやすい

今まで何度も書いたことだが,
「暗記は毎日コツコツと」である。
一気覚えは「海馬君」が苦手である。

記憶が強力なものになるまで,最低30日はかかるのである。

テスト直前の「一夜漬け」は,点数こそアップするが
1か月後にはキレイサッパリと消えてしまう。

たとえ,アナタが定期テストで80点をとっても,
1か月後のアナタの実力は20点以下である。

周囲の人はアナタのことを
「勉強できる人」と見てくれるかもしれないが,
実力は20点である。

寂しい限りである。

あちこちから借金をして,高級ブランドで着飾ったアナタを
周りの人が「お金持ちだ」と思うのと同じである。
「では,今度一緒に最高級レストランで食事をしましょう」と誘われたら
大変なことになる。
また借金しなければならない。
(ワリカンの場合である)


そして,それは,一夜漬けで勉強して,
運よく高校に合格した場合にも似ているのだ。
悲劇の始まりである。
後の祭でもある

(うん? この後の祭の引用はおかしい・・・)



  

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