2000年11月分

音楽雑記帳

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11月30日(木) メカトロニクス・ギター奏法の完成か?

最近簡単な歯科的処置は助手の女性が行うのが普通なのですね。
それは別にかまわないのですが、なかにはあまり上手でない人もいるので困ってしまいます。

先日来通っている歯医者さんでその種の原因によって必要以上に通院日が増えてしまっています。(^^;)

行き帰りの車中でjeff beckの新作「YOU HAD IT COMING」を聴き続けていたところ、回を重ねて印象がだいぶ変わってきました。

最近これだけ聴き直したアルバムはありませんでした。傑作だと思います。

確かに注意して聴けばハードディスク・レコーディングならではの切り取り、貼り付け、反復などの技術も使われていることは明白です。

しかし、肉体により完璧に制御された元となるギター演奏はデジタル処理では生み出し得ない高みにあります。

かつて「ミュージシャンズ・ミュージシャン」と呼ばれた彼ですが、今や楽器を全然弾けなくても機材の操作ができれば立派にミュージシャンと認められるご時世なのです。

バック・トラックは引き立て役と考えれば、現代版「BLOW BY BLOW」と言ってもよい仕上がりです。

何と言ってもギター演奏の勢いが凄いです。男性は必聴!かぁ?

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11月22日(水) 時間と空間の共有は消滅するのか?

昔の虫歯治療あとが痛くなったので去る15日に2年ぶりに歯医者に行きました。

待合室でスポーツ新聞を読んでいたらその日に発売のjeff beckの新作に関する記事が載っていて、しかもべたぼめでした。(YOU HAD IT COMING)

久々に歯茎に麻酔を打たれたせいか(関係無し)無性に聴きたくなってしまいました。

帰りに地元のCD屋さんに寄ってみたものの1枚だけの入荷でそれも電話で予約が入ってしまっていました。(TT)

数日後に再入荷したので大きな期待をもってさっそく購入しました。

うぅ~む。前作よりは1枚のアルバムとしてまとまっています。

最先端の録音編集技術を駆使した制作法にも埋もれない個性は他に類をみないのではないでしょうか。溶け込んでます。

瞬間芸的要素が多い彼の奏法を生かすのには案外ハードディスク・レコーディングは適しているのかもしれません。

ただし世代のせいか私には手放しで喜べない感情もあります。

演奏者全員の一発録音から技術が進歩し、オーバーダブという手法が登場した時点で共演者同士の時間と空間の共有は必要なくなりました。

でもここまで技術革新がすすむとねぇ。

機材を「操作」する人にとっては良いことずくめでしょうが楽器を「演奏」する人にとってはどうでしょうか?

録音風景を想像しながらヘッドフォンで聴いていたら半ば過ぎに頭痛がしてきました。(^^;)

いっそのことトリッキーなギター奏法のサンプリング・データ集をだしたら売れるのではないか。

大御所に対してそんな不遜な考えがふと頭をよぎりました。

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11月8日(水) 豪華ゲストに目が眩み

前々から一度じっくりアルバム単位で聴いてみたいと思っていたブラジルのアーティストmilton nascimentoのCDを先日購入しました。

その時店頭には10種類近くの作品が並んでいました。

予備知識無しでのぞんだのでジャケットのデザインで選ぼうかとも思いましたが、お店で添付した解説に豪華ゲスト参加とうたってあったので「angelus」を選びました。

なにしろ私の大好きなピーター・ガブリエルとパット・メセニーが共に参加しているのです。

しかもさらにyesのジョン・アンダーソン、「君の友達」の方のジェームス・テイラー、ナナ・ヴァスコンセレス、ジャズ系からはウェイン・ショーター、ハービー・ハンコック、ロン・カーター、ジャック・ディジョネットらもいるのですから。

しかし、もしゲスト・アーティストのパフォーマンスに期待していたら肩透かしをくわせられるでしょう。

ゲストはあくまでゲスト。100%milton nascimentoの世界で統一されていました。

懐の広さが音に表れていて自然に抱かれるような私好みの雰囲気です。

名義人アーティストの力不足をゲスト・ミュージシャンの知名度、人気で切り抜けるという作品もままあります。

今回のようなゲストとはやや趣を異にしながらも非常に良質な音楽を作っているアーティストへの誘導からはお店の良心が感じられました。

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