2003年4月分

音楽雑記帳

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4月25日(金) 寛容さの踏み絵としてのロック

久々に文句なしで楽しめる作品のビデオを見ました。

遅ればせながらも鑑賞したのは「ヘドウィグ アンド アングリーインチ」です。

倒錯した設定でも難解にはならず、ところどころに挿入されているアニメーションも可愛らしいです。

グラムロックやパンクロック実体験世代のオヤジさんが見た際に、単なる懐かしさではなくロックが本来もっていた普遍的包容力を再認識するでしょう。

ドラッグ問題が直接出てこない点には特に好感をもちました。

やはり必然性のある表現の説得力は凄いです。

元々はオフブロードウェーのミュージカルだったことすら知らなかった私ですが、全てのロックファン必見の名作と言ってもけっして過言ではない、と断言したくなるくらい気に入りました。

思わずサントラ盤も買いたくなってしまいました。

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4月16日(水) EU製自然志向テクノ、か

ニューエイジがブームになっていた時期に私も一時はまってしまっていたことは「愚者の体験記」の第97回で触れました。

Deep Forestのことはだいぶ前から知ってはいたのですが、何やらニューエイジ的オーラを感じたために近付かないようにしていました。

当時私以上にニューエイジにドップリつかっていた友人が愛聴していたことが私に警戒心を呼び起こしたという側面もありましたし。

ジュリエット・ルイスというハリウッド女優に惹かれていた頃に彼女も出演している映画「ストレンジ・デイズ」のビデオを見ました。

その作品のエンディング・テーマ「While The Earth Sleeps」は彼らと私が大好きなpeter gabrielとの共同制作でした。

その楽曲のCDシングルを買おうかどうか迷い続けているうちにいつしかCD屋さんの店頭から消えてしまったという経緯もありました。

先日その楽曲も収録されている彼らのベスト盤「essence of Deep Forest」を試聴してみて抵抗感がなかったので買うことにしました。

サンプリングして使用する音素材が世界各地の民俗音楽を主体としている点が彼らの売りでしょうか。

音楽製作時に用いるデジタル技術に対する依存の仕方がアメリカ合衆国のアーティストと若干異なるように感じました。

神経を逆撫でするような方法を極力排除した健全性高き音、とでも言いましょうか。

以前にユーロビジョン・コンテストか何かのテレビ番組を見ていてあることに気が付きました。

黒人音楽の要素も加味されたジャンルのアメリカン・ミュージックの模倣において、ヨーロッパ大陸の国の中では黄色人国家である日本より下手糞な国がほとんどであるということです。

さすがは歴史的猿真似国家、と半ば自虐的に自信を深めた体験でした。

彼らの音はそのようなヨーロッパものにありがちな気恥ずかしさを感じずに安心して楽しめます。

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4月8日(火) 実質的にはバンドの音

先月買っておいたsimply redの最新作「HOME」を聴き終えました。

一言で言うならイギリスの白人による正統派アメリカ黒人音楽です。

脇目も振らずにこの道一筋という姿勢からmick hucknallがいかにこの黒人音楽を愛しているかがうかがえます。

ここ数作はバンドのメンバーを固定せずに作品ごとに必要なミュージシャンの人選をするというスティーリー・ダンにも通ずる形態になっています。

が、聴いているとあたかも気の通じ合ったメンバーによるバンド演奏のようなあたたかみが伝わってきます。

昔のR&Bは良かった、と嘆くオヤジ世代の方にも、いやそういう方にこそおすすめしたいです。

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