薩摩焼酎巡礼


  宇都酒造(株)

   加世田市益山2431
     Tel 0993−53−2260
訪問日   平成13年10月28日(日)
麹棚と宇都社長  
  宇都酒造は平成11年に訪れており、その時の様子は加世田焼酎紀行ー宇都酒造として報告済みである。 しかしながらその時はあいにくと芋焼酎造りのシーズンではなかったので、今回宇都社長に無理を言って見学させて頂くことになった。
  工場内は杜氏さんと若い蔵子さんが2名、計3名でてきぱきと水も漏らさぬ周到さで働いていた。
  最初に麹棚に案内して頂いた。 此処は以前も見たところであるが、蒸し米に種麹を植え付け、結構発熱しているのであろう、宇都社長が蓋を開けた途端に眼鏡が曇った。(^_^;)
←麹棚の蓋を開ける宇都社長。
芋蒸し破砕機
  工場内はタンクの高さの分、2層構造になっており、立体的に合理的に機器が配置されている。
  また結構自動化が進んでおり、唐芋を蒸し、破砕し一次醪に加えるのは左の自動芋蒸し破砕機で行う。

二次醪

二次醪はブツブツと呼吸をしていた。
工場内は醪の甘酸っぱい薫りが充満している。
蒸留釜に吸引される二次醪

二次醪を吸引して蒸留釜に移す作業をやっていた。
桶か何かで汲み出すのかと思っていたのだが、結構省力化が進んでいる。(^_^;)
小型蒸留機大型の蒸留機
   宇都酒造には蒸留機は2機設置されている。 左写真は約1000L、右写真は約4,000Lの醪をそれぞれ蒸留出来る。  末ダレは12%前後でカットされ醪の量の約1/3の原酒が蒸留されるらしい。
ハナタレを示すアルコール度数計

  小生は蒸留に合わせて訪問したのであるが、宇都社長に色々説明をお聞きしている間に蒸留釜の温度が約90度近くに上がって来た。
  蒸留されてハナタレが出てくると、左の酒精計が一気に沈む(沈む方がアルコール濃度が高い)。 
  左写真は酒精度40度程を示しているが、この写真を撮り終えた後、60度まで目盛りのある酒精計が完全に沈んでしまった。(・_・) 
ハナタレを試飲する

  白麹造りのハナタレが流れ落ちるのを汲んで(左写真)試飲させてもらった。  
  無色透明な液体ではあるが、強烈なガス成分で思わずむせいでしまった。(^_^;)
  アルコール度数はおそらく60度は超えると思われるが、パァ〜〜〜と花が開くような華やかな味わいである。  しかし口に含んで唾液で薄めないととても飲め込めそうになく、2口程でギブアップとなってしまった。(^_^;) 
原酒を試飲
  蒸留された原酒は原酒タンクに移される。
このタンクは高さ4m程あり、上に乗って良いと言われたが、何かしら不作法をしそうで遠慮した。 本当は少々怖かったのである。 やはり年とともに高い所が苦手になってくる・・・(^^ゞ)
  この原酒は黒麹造りで約38度位らしい。 濾過していないので少々白濁している。 先ほどのハナタレよりはガス臭も少なく、比較的飲みやすかった。味は華やかで甘さが際立っていた。
  これから少しの期間でも寝かせるとまろやかさと味わいに落ち着きが出て、旨い焼酎になると確信出来そうな味だった。  
宇都社長と杜氏さん
  宇都酒造の工場は全体的に煤けて見える。小生は黒麹を使用しているため黒くなっているのかと思ったが、宇都社長の話によると、これはアルコールを好むプロレラレア菌の影響とのことであった。

  最後に自動米蒸し機の前で働き過ぎてねぶいかぶちょっ宇都社長(写真左・・・ごめんなさいm(_,_)m)と杜氏の上渡勇次氏(写真右)の勇姿をカメラに納めた。 
笠沙杜氏の中では最もお若いと聞いたが、それでも小生と同年代とお見受けした。  笠沙杜氏の後継者難はかなり深刻な問題のようである。

  身近な酒造所の造りの現場を見学させてもらったのだが、志の高き人達の手によって活気溢れる工場内から勢い良く誕生した珠玉の一滴をこれ程愛おしく感じたことはなかった。
  この迸った原酒が製品になるまでにはまだいくつものプロセスを経なければならないのが、旨き焼酎に昇華する姿に思いを寄せながら、焼酎を愛し広めることも我々焼酎ノンゴロの責務と強く実感した日であった。

宇都社長のプロフィールは焼酎台帳リレーインタビュー第4回「自信を持った焼酎造りを」をご覧下さい。


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