薩摩焼酎巡礼


      三岳酒造(株)

   熊毛郡屋久町安房2625−19
  Tel 0997−46−2026
訪問日   平成16年9月19(日)
三岳酒造入り口
三岳酒造前のこだまさん。何故何時でもファイティングポーズ(-_-?)
芋切り
 芋切り場。何故か座敷童のようなあぷさんが・・・。(=_=)

  屋久町の中心地安房を過ぎてしばらく走ると道路沿い右手に三岳酒造の看板が見えてきた。 二次醪の香しい薫りに吸い寄せられるように、我々の車は工場の敷地内に入っていった。 入り口から観るとかなり広大な敷地内に製造工場、事務所、及び倉庫が見て取れた。 建物全てが大きくそして新しく、南薩の小さな蔵を見慣れた目にはかなりかなり大規模な焼酎工場に映る。

  佐々木睦雄代表取締役は事務所の奥から、「うちは特に観る所はないのだけど・・・。」と頭を掻きながら現れた。 名刺交換をすると、ご自身も加世田にいたことがあり、近所の廃業された眼科医の事もよくご存じであった。 遙か100Km離れた南の島で世間は広いようで狭い物だと実感するとは・・・。(^_^;)

 佐々木氏は「以前は取材に来て自社を宣伝して下さるのはありがたく大歓迎だったのだが、ブームでこうも焼酎が品薄で島内出荷も滞ると色々と考えさせられる。(-ー;)」と、我々の訪問にやや当惑気味に見えた。 
「いや、我々は単なる焼酎ノンゴロの集まりで、鹿児島焼酎の応援団を気取っているだけですよ。それに私のホームページは独りよがり稚拙で訪れる人も殆どいないためため、影響は全くないですよ!(*^_^*)」と下心のないことを力説する愚生。 

製麹機をコントロールするPC
 自動製麹機制御用のNECパソコン。
  
  佐々木氏に引き連れられて工場の中に入ると、入り口すぐ右手にご婦人方が芋切りの最中で、老若男女全く脈絡のない一行10名を怪訝そうな顔付きで観ていた。
  作業はコンテナに腰掛け円座になると言う見慣れた風景ではなく、ベルトコンベアに正対した立ち仕事で、何かしら近代化されている印象を受ける。

  原料芋は殆ど枕崎及び大隅産のコガネセンガンとのことで、何故地元産を使用しないか聞いてみたところ、屋久島の唐芋はアリモドキゾウムシの病害虫被害のため県本土へ出荷出来ないため、現在の所大半の島内農家は唐芋栽培は行っていないとの返事が返ってきた。 

自動製麹制御システム
 自動製麹制御システムを説明する佐々木代表取締役。
  
  なるほど道中道路端を見渡しても、早期米の収穫は終わったのだろうが、芋畑はおろか普通の畑も殆ど観ることは出来ず、不思議に思っていたのである。 この害虫が駆除された暁には島内産の原料芋も使いたいとのことであった。

  最初に自動製麹制御システムを案内下さった。 原料米への注水・浸漬から蒸し・冷却・麹菌種付け・麹米の温度管理一切を全自動で行うシステムである。 愚生もこのような最新鋭の装置は観るのは初めてだが、説明する佐々木氏は我々の感嘆する様を観て誇らしげであった。(^_^;) このシステムで使われているパソコンを観て、「ないごてNECよ〜!(-_-メ)」とあぷさんが力無く呟いた。(^_^;)
  
一次仕込み用甕
 一次仕込み用の甕壺。
  
 
  実際の製麹機は工場内には見当たらなかったが、壁で隔てられた所で厳重に管理されているのであろう。
   
  平成14年、三岳酒造は出荷量の増加に伴い、工場を増築し、その際新に仕込み用ステンレスタンク増設した。 それまでは一次仕込みは全て地中に埋められた甕壺で行ったとのことある。 これらの甕壺は工場左奥に整然と並べられ、今でもタンクと分業体制を維持しながら活躍している。

一次タンクと蒸留機
 左手前がステンレス製一次仕込みタンク。奥は蒸留機。

  三岳酒造では全て薩摩では一般的な白麹造りの焼酎に専念しているとのことである。佐々木氏の口ぶりから拝察するに、あくまでも焼酎大衆路線の踏襲が蔵是であるように思われた。る。

  工場左側にはやや小振りのステンレス製一次仕込みタンクが作業効率のため床面から浮かして設置され、メッシュステンレス製の足場がタンク口周辺に張り巡らされていた。

  一次仕込みタンク奥には蒸留機が2機設置され、蒸留は全て常圧蒸留とお聞きした。 
 
二次仕込みタンク
 ステンレス製二次仕込みタンク前でファイティングポーズ(-_-?)。

  今年初めての蒸留があったかどうかは聞き漏らしたのだが、焼酎品薄を考えると、もう蒸留は始まっているのだろう。

  工場入り口左側、一次仕込みタンクの手前入り口側に巨大なステンレス製二次仕込みタンクが整列していた。 ここのタンクは2列合計10機、他の場所にも10機合計20機の二次仕込みタンクがあり、1日当たりタンク2機分、唐芋にして5トンを二次仕込みする。 小さな蔵のほぼ倍程度の焼酎を連日仕込んでいることになる。

  白銀のステンレスタンクが整然と鎮座する光景は清潔感が溢れ、家内工業的焼酎造りから近代的製造業への変遷を目の当たりにしたようである。
  
二次醪を観る
 二次醪をのぞき込むあぷともさん。
貯蔵タンク
 倉庫奥までずらりと並んだ貯蔵タンク。
  

  当日芋掛けした二次仕込みタンクを佐々木さんが蓋を開けて見せて下さったが、醪が沸々と沸騰するように踊り、発生した炭酸ガスによって、大きな対流が起きていた。
  雑菌が入ってはまずいと思い、木製の蓋を閉めようとした所、少し熱を持ち過ぎるから、少し空けていた方が良いと仰り、如何に科学技術の粋を集めているとは言え、南国高温地帯では、醪の温度管理には細心の注意を払っておられるのが伺われた。

  初めて焼酎蔵を訪れたあぷともさんは、感嘆とあまりもの芳香に落ちるんじゃないかと思えるぐらいタンクに身を乗り出している。 
  蔵巡りベテランのこだまさんは蔵人の如き表情で福岡組への解説に精出している。

  冷奴さんは・・・そもそも発酵といったバイオな営み自体に余り関心が無さそう・・・に見えたのだが・・・。 (^_^;)

  製造場隣の倉庫には二次仕込みタンクとほぼ同じ大きさの貯蔵タンクが幾重にもずらりと整列していた。 その壮観はこれまで見学した蔵の施設を遙かに凌駕していた。このように膨大な生産量で、しかも殆どメディアにコマーシャルを流さないにも拘わらず、県内では品薄で入荷困難とは・・・。(・_・) 「三岳」人気恐るべし!

試飲
 試飲用焼酎を注いで下さる佐々木氏と待ち遠しいあぷさん。

  一通り説明が終わった後、お約束の試飲タイム。o(^-^)oワクワク

  製品になったーすなわち納税済のー「三岳」五合瓶から焼酎を垂涎の三岳販促コップに半分程それぞれ注ぎ分けて下さった。

  その時冷奴さんが「社長さん、このコップを記念に貰って良いですか?(*^_^*)」と臆面もなくそして少しだけ艶っぽく聞いた。
 この唐突な申し出に佐々木氏は唖然としていたが、「そいを全部飲んだら差し上げますよ。」と失笑気味に答えた。(^_^;)
集合写真
 工場の前で佐々木代表取締役を囲んで集合写真。
 
  我が意をえたりとばかりに25度の生を一気に呷る冷奴さん。(・_・) 「えぇ!あんたそげん酒豪じゃったけ?(-_-?)」と呆然とするキャンプつまんきり被害者同盟の面々。(^_^;) たぶっちゃん以外はなんと全員一気飲みして、「販促コップげっとぉぉ〜〜!」と勝ちどきを上げる。 これには佐々木氏も苦笑することしきり。 愚生はたぶっちゃんの分まで自分のコップに移し、やっとの思いで飲み干した・・・。(^^ゞ こら〜!あんたたちゃ、ちゃんとご礼をゆたね〜?(-ー;)

  蔵で飲む「三岳」は誕生工程を目の当たりにしたせいか、さらに愛おしく、柔らかさとふくよかさは倍加し、味わい深さもひとしおであった。

   伝統を堅持しながらも科学的合理性に裏付けされた製法と、奇を衒うことなくただ一つの銘柄に専心する実直そのものの蔵元の存在感、・・・これらが相俟って醸す安定した酒質が「三岳」そのものであると実感した蔵訪問であった。 お忙しい中、工場を案内説明下さった佐々木代表取締役、まことにありがとうございました。m(_'_)m

  屋久酔酎行ーその1
  
   
表紙 焼酎の部屋 薩摩焼酎巡礼 上妻酒造 本坊酒造屋久島工場伝承蔵