第23話の7 どうして「数学」を学ぶのか 1
〜 算数と数学は「違う」のである 〜



算数・数学大キライには,うれしいお知らせである。
算数・数学大好きには,ちょっとショックなお知らせである。



特に
「小学校のころ算数が苦手だったから,数学でとても苦しんでいる」
そんな人は,きっとビックリするかもしれない。


他の教科は「どうして○○科を勉強するのか」という話題で始まっているが
数学については「算数と数学の違い」から考えを進めるのである。



結論から言うのである。

小学校で勉強する算数と,中学校の数学の間には
あまり,深い関係はないのである。

小学校で6年間勉強した「算数」の中身が
ほとんどわかっていなくても
数学の勉強は十分にワカルハズなのだ。




算数の勉強の中で

これだけはマスターしておかないと
中学校の数学で苦しむぞぉ〜という内容は
分数の四則演算(+,−,×,÷)くらいである。



わかりやすく言えば
分数の「たし算」「引き算」「かけ算」「割り算」が
キチントできればOKなのである。


中学に入って「数学」を勉強するとき
分数の「たし算」「引き算」「かけ算」「割り算」以外は
ほとんど初めて勉強する内容や考え方なのである。



と・・・言うことは・・・つまりである。

「小学校のころ
算数が苦手だったから,数学でとても苦しんでいる」

と言う人は,実は…

「小学校のころ
分数の計算が苦手だったから,数学でとても苦しんでいる」

となるのが正解である。

逆に考えるならば,数学が苦手な人は
今一度,分数の計算を徹底的に復習すればよいのである。



ただし,あまり簡単に考えてもらってもコマる。

分数の四則演算をマスターするためには
かけ算九九もマスターしておく必要がある。
普通のたし算引き算はもちろん
カッコの使い方などの計算の順序もマスターしておくのは当然である。

分数の四則演算をマスターする・・・というのは
分数が使われた,小学校レベルの,どんな複雑な問題でも解ける
ということである。



今一度書いておこう。
数学を勉強するのに,算数の知識はそれほど重要ではないのである。

むしろ算数の知識を必要とする中学の教科は
理科である。
「速さと時間」「割合や百分率」「比例と反比例」等々・・・
小学校の算数がキチントできていない人は
理科(特に1分野)で苦しんでいるはずである。
(ギクッ!とする人が多いのである)



また,中学の数学が苦手な人に多いのが
「想像力の不足」である。

小学校の算数は,頭の中に「リンゴ」や「みかん」「おはじき」を
想像しながら問題を解いていたはずである。
時間の問題なら,時計を想像しながら(図に書きながら)解くことができた。

ところが
中学の数学に出てくる
「正・負の数」「関数」
実際のモノを頭の中で想像するワケにはいかない。

そこで
よりレベルの高い「想像力」が必要になってくるのだ。

想像力を鍛える,一番の方法は
「読書」である。



そして,さらにである。
「数学が苦手」の原因は「国語力」の不足であることが多い。

定期テストで,最初の基本問題は,まあまあ解けるのに
最後の文章問題や証明問題になると,まったく手が出ない
と言う人は,とても多いのである。
(アナタだけではなかったのだ)
(これが実に多いのである)

考える以前に,問題の文が何を言っているのか
サッパリわからない状態になっているのだ。

「数学が苦手だ」と身に覚えがあるならば
「国語」の勉強や「読書」に努力するべきである。

意外とそのことに気がついていない「数学ギライ」が多いのである。


あ・・・数学を勉強する理由であった。
それは次話で改めて・・・である。