第21話 勉強は「高速道路」つくりでもある
〜 今でも指で「たし算」してますか 〜



諸君は「高速道路」を走ったことがあるだろうか。
もちろん,自分の足ではない。
そんなことをしたら捕まってしまう。

家の人や知り合いの自動車に乗って・・・という話である。
「高速道路」は便利である。



さて,今回は「高速道路」から話が始まったのである。

実は,
「勉強とは,高速道路を作るような作業なのではナカロウカ」
と思ったからである。

それは諸君の「勉強して何の役に立つんだろう」という疑問から始まったのだ。

特に数学では「高速道路説」が,かなり有力なので考えを紹介しておこう。



小学校1年で
「たし算」を学習する。

最初は,「指」や「おはじき」を使った。
数個の「おはじき」を机の上に並べて,数を数えて答を出した。

これが
「国道」だとしよう。

そのうち
「暗算」を学習する。
計算するのに「指」や「おはじき」は必要なくなる。
「おはじきを並べる時間」「合わせる時間」「数える時間」がいらなくなる。
これは
「高速道路」だ。


しかし,小学校の先生が,いくら頑張って「暗算」を教えても
いつまでたっても「指」を使って計算する子どもがいる。

先生がキビシク指導すると,今度は机の下で指を数える。
先生が怒ると,足をモジモジさせる。
実は足の指を動かしながら計算しているのである。


その子は「高速道路つくりを拒否している」のだ。

「今の方法で計算できるのに・・・」
「どうしてワザワザ高速道路なんかつくらなきゃならないの?」
「メンドクサイヨ〜」


と考えているのである。

そうこうするうち,クラスの仲間は「高速道路つくり」を完了する。

クラスの授業はスピードアップし,
「足し算」も2ケタ時代に突入する。
手足の指では足りなくなってくる。


そこで初めて,彼は
「高速道路を作らなければナラナイ」ことに気づく。

そして作業に入るのである。

しかし
1ケタの「たし算」で高速道路をつくるのと違って
2ケタの計算で高速道路を作るのは「大変な作業」だ。


彼は
友達の数倍の努力をして「1ケタ足し算高速道路」を完成させる。

そして気がつくと,周囲は
「引き算の高速道路時代」になっている・・・。

この
「時代遅れの悪循環」は,延々と繰り返されるのである。



「1ケタの足し算」を学習している生徒に
「2ケタ」や「かけ算」や「方程式」の世界を想像することは不可能である。

彼には目の前の「1ケタ」が全宇宙なのだ。

だから,苦労をともなう「高速道路つくり」を拒否するのである。

そして,もしも彼がこう言ったら,諸君は大笑いするだろう。

「なんで,暗算なんか勉強しなければいけないの?」
「計算だってホラ,ちゃんとボクはできるんだからぁ。」
「すごいでしょ。」


だから,今アナタが学習している数学の勉強は,

今までの学習(国道)を劇的に便利にする
「高速道路」なのであり,
将来学習する事の「国道(基礎)」となる
大変重要なものなのである。


今は,それが見えないだけなのかもしれない。
一度,教科の先生に聞いてみると良い。



話はコロリと変わるが,
「まくべん」が昔,恩師から教わった
「指かけ算」というものがある。
「指たし算」ではない。「指かけ算」である。
とても不思議でワクワクするような計算なのであるので
「勉強小ネタ」のコーナーに紹介するのである。

今回は,いつになくキチンと終わるのである。