第4手 脳の記憶の仕組みを知れ!2
〜 お待たせ! 睡眠学習法 〜
「海馬君の正しいだまし方」については第3手で述べた。
「なんだ,結局,復習をしろってことか」
読者からそんな声が聞こえてきそうである。
(これで20人の読者が去っていったと確信する)
しかし,「まくべん」愛好会の諸君!
(また,勝手に団体を作ってしまった)
よく考えるのだ。
「記憶のしくみ」を知って勉強するのと,
そうでないのと,勉強に挑む「気持ち」が大きく変化しているはずだ。
(多分・・・きっと・・・そうだろう・・・そうだったらイイのに・・・ちょっと弱気である)
そこで,今回は「海馬君の正しいだまし方(中級編)」と題して,
「奥義」を紹介しよう。
これができるようになると,
勉強がもっと楽に効率的にできるようになるはずだ。
(多分・・・そうなると思う・・・きっと・・再び弱気だ)
英単語は覚えられなくても,
好きな歌手の名前やドラマの主人公,
ゲームの裏技は,すぐに覚えられる・・・
そんな経験はないだろうか。
(「まくべん」はある。しょっちゅうある。)
それはなぜだろう・・・
そう!そのとおりである。
「スキだから」である。
実は「海馬」君,この「スキ」という感情にめっぽう弱い。
記憶と心の間には,深い関係があるのだ。
大好きなあの子から「スキです」と言われると,もう有頂天になる。
30日も過ぎないうちに「大脳皮質」君に記憶をサッサと書き込んでくれる。
大変ハッピーなヤツなのである。
だから,「勉強をスキ」だと思えば良いのである。
「そんなことできるもんか。
オイラは勉強なんか大嫌いだぁ」とおっしゃるウサギさん。
最初は本当に「スキ」でなくていいのである。
「海馬」君をだましたワルのアナタなら・・・自分の心をだますことくらいできるのだ。
おっと,表現が邪悪になってしまった。
だますのではなく「信じる」のだ。
「まくべん教」を思い出してほしい。
「自分は勉強が大スキだ」と信じ込むのだ。
それによって「楽に記憶」できるようになるのだから,
一度と言わず,一週間,いや一か月は努力してみる価値があるのだ。
それから,もう一つ,「海馬」君は知識の暴飲暴食が苦手である。
つまり,一気にたくさんの知識を覚えさせようとすると,
以前に覚えたことを忘れやすくなるのである。
少ない数の英単語なら「くり返し」で毎日コツコツ覚えられるのだが,
欲張って一気に大量の単語を詰め込もうとすると,
忘れるスピードも速くなるのである。
テスト直前に「一夜漬け勉強」をしているアナタ。
実力テストで成績が伸びないのは・・・これが原因だったのである。
苦労ばっかりして,結局何も覚えられない,最悪の勉強方法であることを知るのだ。
(やってる人は本当に止めた方が良い。本当に貴重な人生の無駄遣いなのである。)
先生達が「勉強は毎日コツコツやりなさい」というのは,まさにこのことだったのである。
そして,最後に「とびっきりオイシイ奥義」である。
それは
「覚えたらはグッスリ眠れ」
である。
後は「海馬」君が睡眠中で,セッセと記憶の断片を組み合わせ,
「あーでもない,こーでもない」と働いて記憶を「整理」してくれるのだ。
私たちはこれを「夢」と言っている。
この「整理された記憶」はさらに強力なものになる。
信じられないかもしれないが・・・ホントなのだ。
睡眠不足や不規則な睡眠は「美容」と「記憶」の敵なのだ。
学習終了後,早い時間に「復習」をした場合に高い効果が現れるのだ。
そして
「その他」の情報
つまりテレビやゲームはひかえた方が効果的なのはサルでも分かることなのだ。
(この手のタイトルの本をよく見かけるが
ホントにサルにも分かるのだろうか。
正直言って私はムリだと思う・・・。)
だが,全てが無駄なわけではない。
「復習」なしに寝ても効果は期待できないが,
「復習」なしに深夜まで起きているよりもはるかに「美容」と「健康」には効果が期待できる。
美容と健康のみで世の中を渡る覚悟があるなら,それもよかろう。
もちろん,「まくべん」読者にはそういう不心得者はいないので,
これは蛇足になる。
余談
ホントは「記憶のお話」は,別のコーナーがふさわしいと思うのだが,
とりあえず,勉強法のコーナーに置くことにするのだ。
参考文献
池谷裕二 著
最新の脳科学が教える 高校生の勉強法
株式会社ナガセ●東進ブックス
ISBN4-89085-242-5 C 7037
2002/4/1発行 900円