新南島通信は、奄美に関する様々な書籍・文献等から印象的文章をピックアップして紹介します。
●bP 不思議な魅力を持つ島の風土記 椋鳩十 奄美風土記の前文より
●bQ リュウキュウイノシシに出会いました

bR 島口(奄美の方言)入門その1−あなたもシマンチュに−
 
●島人(シマンチュ)になれるか?
 奄美の方言、島口(しまぐち)をきかれたことが有りますか?島人は二カ国語を話します!!少なくともはじめて聴いた人は誰でも外国語(日本語以外の言葉)を話しているのではと思うでしょう。ともかく単語から違うのですから。
 しかし、これは語源を調べると、本土ではもう忘れ去られた古い日本のことばや発声が今に残っていることが解ってきます。島(しま:集落の最小単位)ごとに、あるいは同じ島の中でも、アクセントやイントネーションが違います。古代社会では各集落間の往来が少なかったからですね。
 さあ、シマグチを使って、島人(シマンチュ:直訳すれば「島の人」一般的には奄美群島で生まれ育った人、奄美出身の人をさす。)のシュミレーションでもしてみませんか。

●定番:島口(しまぐち)あれこれ
いらっしゃいませ。(イモーレ)
こんにちは(ウガミンショーラ)
ありがとうございます。(アリガタサマリョウタ)
あなた(ナン)
ぽく(ワン)
美しい(キョラサ)
美人(キョラムン)
不美人(バシャヤマ)
どうぞ召し上がれ(ミショーレ)
また、会いましょう。(マタウガミョーロ)

●奄美のキョラムン(美人)
奄美では、島口で地元の人をシマンチュ、本土の人をヤマトンチュと呼ぶ。
奄美のキョラムンの特徴(島顔のキョラムンは目が大きく・まつげが長くカールしていておまけに・まゆ毛がたくましい。)何となく想像がつきそうですが・・・
そういえば、奄美大島の中央部を南北に走っているスーパー林道の中央付近にキョラムン橋(美人)という橋が掛かっています。

●島人とは(シマンチュの定義)
・身体的特徴(ジグル(地黒)・シマハギ(すね毛が濃い)・そして骨太の感じ・・・)
・地元の方言が理解できる
・共通語をしゃべろうとすると、トン普通語になってしまう。「だから、何ち?、・・・ちば」等
・会話の冒頭に「アゲ」とか「ハゲー」とすに感嘆詞をよく使う。
・八月踊りやカチャーシーのリズムが聞こえてくると、体がうきうきしてくる。
・海で泳ぐときはTシャツを着る。
・先輩を「○○兄(ニィ)、○○姉(ネェ)と呼ぶ。
・殆ど見ることはないが、それでもハブに咬まれたときの応急措置法は知っている。
・サトウキビの食べ方を知っている。
・大晦日には、年越しそばよりは、豚骨を食べる。
・酒といえば、まず口汚しにビールその後はかならず黒糖焼酎の水割りと続く。
・居丈だかな鹿児島弁を聞くと、ワジワジしてくる。
・「島育ち」や「島のブルース」を琉球舞踊風の衣裳で踊っているのを見ると、「違うぞ!」と叫びた くなる。そういえば最近(といっても少し前ですが)演歌歌手の吉幾三が奄美に関係のある唄を出していましたが、確かに歌詞は奄美についてのことでしたが、曲調はまるで琉球民謡から取ってきたような感じです。この感覚のずれはちょうど西洋人が日本人と韓国人、中国人の見分けがつかない感覚と同じとも言えるでしょうか。
・地元の新聞を取っている。(奄美には南海日日新聞と大島新聞という地元紙が2社有ります。)
・初対面の人と会うと、とりあえず出身地はどこか聞いてみる。(それもかなり無神経に・・・)
・選挙が近ずくと、どっちが強いか、必ず話題にする。
・シマにいるうちは、シマンチュであることをあまり意識しないが、シマを離れたとき、シマンチュを 意識するようになる。

●トン普通語とは?
 奄美では、長年の方言のとかかわりもあって、二重の言葉生活を営んでいるといえるでしょう。「トン普通語」(「第二の方言」という人もいます。)という方言のまじった言葉が、割合勢力を持っていて一般に通用しています。
 鹿児島では、その訛りの入っている共通語を、卑下して「カライモ普通語」と言っているようです。奄美では、カライモのことを、トンまたはハンスと言っているので、「トン普通語」は、「カライモ普通語」を言い換えたようなものです。
 「トン普通語」という言葉は、誰が言い始めたか、はっきり解りません。でも、そんなに古い言葉ではなさそうです。その証拠に、40年近い教員生活をしたある先生が、「私は戦前聞いたことはない。島尾先生あたりが言い出したのではないか」と言われるほどです。
 この言葉を、世間に紹介したのは、島尾敏雄先生の「離島の幸福・離島の不幸」の中の「名瀬ことば」が、最初ではないかと思います。「トン普通語」という語は、このころから一般に通用する一人前の名称になったと考えられます。
 初めは自嘲的な意味で使われた「トン普通語」も、現在では、何の恥じらいもなく完全な言語社会を形成しています。
南海日日新聞社:奄美ゆむぐち辞典 参照
トン普通語処方箋−シマの標準語をすっきりさせる法−倉井 則雄著 参照

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