(和算の問題 正方形と直線) 2014.1.5
 
謹賀新年です。正月更新しています。2014年もよろしくお願いいたします。午年(なんとトシオトコのようです…)一発目の更新が,こちらになります。

事前に言っとかないと宿題とは何のことか,出典もはっきりしないですね。これは,いつもお世話になっている,「高数研」の宿題の解答です。問題を解き,分析するためにアニメ化したのですが,そのままほっておくのももったいなく,せっかくだからとこのようなページを作るに至ったわけなのです。

もともとは和算の問題らしいのですが,複素数平面という和算時代には想定しなかった解法というところに,数学の深遠さ・普遍さがあるようにも感じますね。

おまけとして,その前後の高数研の宿題も,それらは特に動画はないのですが,合計3つの問題と解答を掲載しておいた。まずは,和算問題からどうぞ。このような4つの図で,何を言いたいのか,一応理解できます。

  

   

 これを見て,アニメ化するとどうなるか考えられる方は,想像力の豊かな方ですね。

 (No.166)

高数研 第166号 宿題

△ABCにおいて,AC=2ABであるとき,各辺上に外向きに正方形ABQH,ACEF,BCDRを作り,次にFHを1辺とする正方形FHPGを外向きに作ると,3点P,Q,Rは同一直線上にあることを示せ。

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正方形の回転問題なので,次のように,複素数平面上で考えた。
幾何的に考えることも可能だろうが,私は,幾何が苦手なのである。(堂々と。m(__)m)

Aを原点に取り,下図のような設定で正方形を作り,回転させていくと

ベクトル的に一直線上に並ぶことが分かる。

もともとは,和算の問題でこういったものがあるらしい。
和算問題に,複素数平面で解答を与えるところが,時間と空間を越えた(!)
数学の面白さであるような気がする。

この問題には,アニメーションを作ってみた。
角度が変わると,正方形の大きさが変わるが,同一直線上であることは変わらない。
解答は計算だけで済ましたのだが,奥の深い問題である。

解答そのもののPDFファイルは,こちらからどうぞ。

資料として,GRAPESファイルそのものアップしてあるので,お暇な方はこちらからダウンロードください。

 

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(No.165)

高数研 第165号 宿題

正数a,b,cに対して,次の不等式を証明せよ。

   a   b   c      c+a    a+b    b+c
  ---+---+---≧------+------+------
   b   c   a      c+b    a+c    b+a 

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この不等式の証明問題に対して,
左辺を,x+y+zとみながら証明したものが,次の画像である。

 
すると
 
んでもって,分母を払ったりすると
 
と,シンプルになった。(これはエッセンスだけで,なんでそうなるかはPDFを見てね)

置き換えと,相加相乗平均の扱いが,閃きを要する一筋縄ではいかない問題であった。

正数a,b,cという文字が,相加相乗につながり,
置き換えにより,分数の扱いが少しだが,簡単になることが分かる。
別解として,コーシーシュワルツの不等式を利用することも考えられる。


どこかの国の数学オリンピック予選の問題ということであった。

解答そのもののPDFファイルは,こちらからどうぞ。

 (No.167)

高数研 第167号 宿題

△ABCは鋭角三角形であるとき,次の不等式を証明せよ。
  sinA+sinB>cosA+cosB+cosC

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三角形の問題は,幾何的に考えることも可能だろうが,
私は,幾何が苦手なのである。(前の問題の時もそういっていた!)

左辺−右辺をするが,三角形なので,角がAとBだけになるはずである。
sinとcosをどのように組み合わせて,単純な不等式を作り上げるかが,
最も難しいところであった。(結局,左辺−右辺は,このような式になる。このあたりが問題のスタートかも?)
 

更に,鋭角という条件をどのように生かすか,というところが
sinとcosをうまく評価することにつながる。

指導してくださった先生によると,マジノ線がここらへんにあり,
それを突破したらしい。(ありがとうございまーす。)


出題は,どこかの国の数学オリンピック予選問題だそうだ。
非対称の不等式は,そんなに多く見たことがない。
面白いが,技巧的な気配がぷんぷんする。

対照的には,もっと,対称的な不等式として,以下のようなものがある。
こっちのほうが,本質なんだろうなぁ。(対照と対称を対象に掛けてみました。)

sinA+sinB+sinC>cosA+cosB+cosC
sinA+sinB+sinC<2(cosA*cosB+cosC)
                             A        B       C
sinA+sinB+sinC=4cos---cos---cos---
                             2         2       2
                               A       B       C
cosA+cosB+cosC=4sin---sin---sin---+1
                               2        2       2
1<cosA+cosB+cosC<=3/2
2<sinA+sinB+sinC<=3√3/2
tanA+tanB+tanC=tanAtanBtanC

これらの式は,きれいな数式がこちらの図からどうぞ。
 

解答そのもののPDFファイルは,こちらからどうぞ。

 

以上,それぞれの問題としては無関係の3本立てでした。

 

(エピローグ)

 昨年2013年の宿題のレポート総まとめであり,実際には2014年の初仕事ではないわけだが,まぁ,大目に見てください。今年もいろんなテーマに,直観的理解を得るためにもアニメ化をしていこっかなーという決意です。いろいろと,「工夫」することで,人生は豊かなものになるに違いない,との見通しで,楽しく,面白く,役に立ち,深みにつながる入口が提示出来たら,と考えています。

 この活動大写真動的数学ページも,もう15年程度になるだろうか。多くの方々にご覧いただいております。ありがとうございます。初期の頃には,複素数平面とアニメの融合を謳っておりましたが,いつの頃からか数学全般にわたるように広めてまいりました。しかし,今回の複素数平面は原点に立ち返ったところでしょう。和算を複素数平面で!というところこそ,数学の自由さを物語るものかもしれず,面白いところかもしれません。作図すると一目瞭然であるということは,この図自体が,新時代の証明法?にはならないのかなぁ・・・?

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いつものように,GRAPESを利用してパラメータを変化させながら,GIFをたくさん出力し,Giamでアニメーション化してあります。他には,テキストエディタとPDF化したファイルと,FastStone Captureというキャプチャーソフトを利用しています。効率的に素早く作業を行っているつもりです。

 

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