ファットスキャン導入記


メタボリックシンドロームが大はやりの今日この頃ですが CT画像から内臓脂肪面積を測定するソフトというのがあります
「ファットスキャン」
というものです
値段の高さはさしあたって置いておいて、これを導入するという話が持ち上がりました。
うちで導入可能か調べろと院長が言うので FatScanの10日間試用ソフトがあり試してみるのにちょうどよさそうなので、テストにはこれを使用することにしました。

このソフトは普通のWindows上で動くもので、パソコンにインスツールするだけです。
操作もさほど難しくありません。
問題は、CTの画像をどうやってこのソフトに読み込ませるかということです。
対応している方法は
1.DICOM画像を読み込む
2.フィルムをスキャナで読み込む
3.BMPファイルを読み込む
とのこと

1.ですが、院内のPACSシステムが整備されていればこれで問題なくいけそうですが、うちにはそのようなものはありません。
2.ですが、これならどこでも可能ですが、フィルム代がもったいないし、手間が面倒です。
3.そこで、CTの出力をBMPに変換して読み込ませる方法を考えてみました。

うちのCT装置は、T社のXvisionという機械です。かなり古い機種で、当然DICOM転送機能などは付いていません。調べてみると、撮影画像を3.5インチ・フロッピーディスクに落とす機能があるようです。腹部の1スライスのCT画像があれば良いだけなので、フロッピーディスク1枚に十分入ります。
というわけで、CT→フロッピー→パソコン→BMPに変換→FatScan、という方法でやることにしました。でもこれが実はうまくいかなかったんですが・・・

1.フロッピーディスクに落とす

3.5インチのフロッピーディスクを用意します。
ここで問題になるのがフォーマットです。3.5インチのフロッピーディスクのフォーマットにはいくつか種類があって、その中で現在使われているのが1.44MB 512バイト/セクタ フォーマットです。
WindowsXPはこれにしか対応していません。
一方、10数年前に主流だったのがPC-98フォーマットと呼ばれる、1.2MB 1024バイト/セクタ フォーマットです。
機械にいろいろなフォーマットのディスクを入れて試した結果 1.2MB 1024バイト/セクタ フォーマット のディスクしか使えませんでした。
最近のパソコンはWindowsXPが入っていて、このフォーマットのディスクは基本的には読めません、読もうとすると「フォーマットされていない」というエラーがでます。
これを読み込むためには、3モード対応フロッピーディスクドライブが必要です。
外国製のパソコンは2モード対応のものが使われていることが多いので、ハード的に読み込みはできません。日本のメーカー(N社、E社、F社、T社など古くからパソコンを作っていたような会社)のものでは過去との互換性を考えて3モード対応のものが使われていることが多いようです。
ただそれ以前の問題として、フロッピーディスクドライブが最初から付いていないもののほうが最近は多いのですが。付いていない場合は3モード対応のフロッピーディスクドライブを増設するか、USB外付けのフロッピーディスクドライブを使うことになります。
さて、幸運にも3モード対応のドライブが内蔵されていても、WindowsXPは3モードには対応していないので使用するには専用のドライバが必要です。メーカーからドライバが提供されていればいいのですが、無い場合は使えません。
そこでこんなソフトを見つけました。
「読めるぞっ1.2! for Windows2000」
シェアウエア2,079円ですが、これをインスツールすると、3モードFDDが使えるようになることがあります。14日間は試用できるので、インスツールしてみてうまく行くか試してみることができます。ちなみに手元にある古いT社・E社のパソコンはメーカーがドライバを提供してくれていたのでインスツールして問題なく動作しました。H社のパソコンはドライバが提供されていなかったので、上記のソフトをインスツールしてみたところ問題なく読み込めるようになりました。
実際の稼動には、奮発してG社の新品のパソコンを購入しました。OSはXPhomeSP2です。当然FDDは付いていないので内蔵か外付けのFDDを付けなければなりません。USB外付けが手軽でいいのですが、3モード対応と謳っていてもOSとの相性やFDDの種類によって読めないこともあるようです。今回は内蔵のトムキャット社製のFDDを付けました。特殊な加工のされたFDDで専用のドライバを使って3モードのFDを読み書きするようです。実際に付けて試したところ問題なく読み込み可能でした。
おまけの豆知識.3モード対応ドライバを入れても、WindowsXPでは読み書きのみでフォーマットは1.44MBしかできません、Windows2000なら読み書きに加えフォーマットも可能です

2.変換する

パソコンで読み込むと以下のようなファイルが入っていました。
DIRDEF.TBL NICSFDF.CTL NICSFDF.DIR P001I001.IMG P001I001.INF
この内 P001I001.IMG がイメージデータのファイルのようです。
このままでは使えないので、変換が必要です。
自分で作るしかないかと思っていましたが、こんなページを見つけました。
しらた画像研究所
ここにある CTViewer をもらってきます。
このソフトを使うとT社XvisionのデータをJPEGやBMPに変換できます。

3.これでめでたくFatScanに画像を転送できました。

喜んだのもつかの間、スケールが表示されない・・・(TT)
確かに画像は転送できたのですが、スケールが表示できなければ、面積が求められません。

4.こうなったら仕方ないので、FDに落ちてきているファイルをもう一度調べてみました。

P001I001.IMGがイメージであることは大きさから間違いなさそうです、また上記2のページの説明をみると、イメージ以外のデータは入っていなそうです。
となるとP001I001.INFというファイルが怪しいです。画像に関するデータが入っていそうです。
バイナリ-エディタで開いてみると、所々に解読可能な文字列が見えます、データの並びにDICOMタグのような部分も見えます。
しばらくにらめっこした結果以下のようなフォーマットであることが解りました。
4バイト:タグ、DICOMのタグと同じようにみえます、並びはインテル方式ではなくモトローラ方式です
4バイト:データの長さ、並びはモトローラ方式です
?バイト:実データ、上に書かれた長さだけデータが続いています
後はこれの繰り返しです。
手作業で解析するのは面倒なので簡単なダンププログラムを作ってダンプしてみたところ、うまく解析できました。
タグはDICOMのものと同じようです。となれば後は、イメージファイルにくっつけてDICOMファイルを作ってしまえば良いわけです。
CT→フロッピー→パソコン→DICOMに変換→FatScanという流れになります。

以前JPEGやBMPファイルをDICOMファイルに変換するために作成したプログラムを改良して、対応することにしました。
引数としてイメージファイルのパスを与えれば、同時にinfファイルも読み込んで、DICOMファイルを吐き出します、名前はイメージファイルと同じで拡張子が.dcmになります。
コマンドラインプログラムですが使い方はそう難しくはないと思います。
でも一般向けを考えて、VBでGUIからこのプログラムを呼び出すようにしてみました。
使ってみたいかたはこちらからどうぞ(無保証)
jpg2dcm.zip(コマンドラインプログラム)
XVdcm.zip(VBプログラム)

これでめでたくCTからファットスキャンへの転送が可能となりました。
無事導入し現在問題なく稼動中です。

5.おまけ

内臓脂肪面積を測定するソフトは他にもあります。
Slim Vision と言うソフトはボタンを1回押すだけで自動的に皮下脂肪と内臓脂肪を分けて計測してくれる優れものです。こちらも30日間お試しバージョンがあるので試してみることができます。
これでも今回作成したソフトでコンバートしたDICOMファイルを読み込ませることができました。(少し手直しが必要でしたが)


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2006/10/24