院内薬品集の作成手順(できるだけお金をかけずに院内医薬品集をつくってみよう)

1)材料を集める データベースソフト(今回はファイルメーカーPro5を使用)、薬剤データ
2)データの加工 ファイルメーカーPro5に読み込む
3)薬剤名と効能効果の関連付け
4)院内採用薬をチェック
5)効能効果の無い薬剤に効能効果を入力
6)後発品先発品対応辞書を作る
7)印刷
8)目次の作成
9)製本
付録)

*実際に同じことをやる人がいるとは思いませんがまあ参考までに

1)材料を集める データベースソフト(今回はファイルメーカーPro5を使用)、薬剤データ他

(1)大量のデータを扱うのでデータベースソフトが必要です、今回はファイルメーカーPro5を使用しました。たまたま持っていたのと使い慣れているからですが、他のものでもかまわないはずです。バージョンが異常に古いですが使えるのでそのまま使っています。
(2)薬剤データとして、厚生省がネット上で公開している医薬品マスターを取ってきます
こちらから
これはレセコンか電子カルテで使うためのもののようで約17000件分の以下のデータが入っています
1 変更区分
2 マスター種別
3 医薬品コード
4 漢字有効桁数
5 漢字名称
6 カナ有効桁数
7 カナ名称
8 コード
9 漢字有効桁数
10 漢字名称
11 金額種別
12 新又は現金額
13 予備未使用
14 麻薬・毒薬・覚せい剤原料・向精神薬
15 神経破壊剤
16 生物学的製剤
17 後発品
18 予備未使用
19 予備未使用
20 造影(補助)剤
21 注射容量
22 収載方式等識別
23 商品名等関
24 金額種別
25 旧金額
26 漢字名称変更区分
27 カナ名称変更区分
28 剤型
29 予備未使用
30 変更年月日
31 廃止年月日
32 薬価基準コード
33 公表順序番号
34 経過措置年月日
CSVファイルなのでそのまま読み込めます
(3)薬剤名だけでは使いづらいので薬品の説明がほしいと思って探していたら、医薬品の辞書データを公開してくださっている親切なページを見つけました
こちら
  これはPDICというポケットPCの辞書ソフト用のデータになっているのでそのままでは読み込めません、Windows用のPDICというソフトを使えば辞書データをコンバートできます。
PDICのページはこちら

2)データの加工 ファイルメーカーPro5に読み込む

(1)厚生省のマスターを読み込むためデータベースに上記34個のフィールドを作成します、全てテキストとして作成しました、フィールドができたらデータをインポートすれば完了です
(2)薬剤データも同様に読み込みます、必要なのは薬剤名と効能効果の部分の2つです、別ファイルで作成します

3)薬剤名と効能効果の関連付け

厚生省マスターと薬品データは別ファイルになっていますのでこれを結合する必要があります、1個づつコピーするのが確実ですが、自院の採用分だけでも1000項目ほどになるので面倒な作業です。そこでルックアップの機能を使ってみました。
これは1つのデータベースから他のデータベースの同じ項目データ(例えば薬品名)を探してそのレコードのデータを元のデータベースに読み込む機能です。今回は薬品名の一致するものを探してその効能効果を読み込むように使います。
まずリレーションの定義を行います。メニューからリレーションの定義を選び、参照するデータベースファイル名を指定し、双方のフィールドを指定します。今回は薬剤名を指定します。次にデータベースに効能効果のフィールドを作成しフィールド定義のオプションを選ぶと、ルックアップの項目がありますのでこれをチェックして読み込むファイルの効能効果を指定します。
薬品名が微妙に異なるため間違ったデータが半分位は読み込まれますが全部自分でやるよりは楽です、間違った部分は後で修正します。
取り込みが終わったらルックアップの指定を解除します、そうしないと何かのはずみで再度ルックアップされてしまい、変更したデータが失われることがあります。

4)院内採用薬をチェック

データベースに院内採用有無のフィールドを作成します。
後は院内薬のリストなどを見ながら地道にチェックしていきます。これが一番疲れて時間のかかる作業でした。
レセコンに採用薬のデータは入っているのでこれを流用できないかと思ってたまたま来ていたメーカーの人に聞いたところ、印刷はできるがデータとしては取り出せないとの返事でした。出来ないはずは無いのですが、何でも秘密にしたがって不親切です。
この時同時に薬剤の分類の項目も入力しました。実際に本になった場合それが何の薬なのかによってある程度分類されていないと見にくいからです。
やり方はいろいろありそうですが今回は自分で入力することにしました、分類のフィールドを作成し、今日の治療薬の分類に従って約60種類の分類を決めて1個づつ付けていきました。これも疲れる作業です。
他の方法としては、インポートした効能効果の中の薬効を使う手もありそうですが難かしそうです。他に医薬品コードを使う方法もあります。

5)効能効果の無い薬剤に効能効果を入力

今回使った薬剤辞書には漢方薬と輸液剤の効能効果が無いのでこの部分は自分で能書を見ながら作成しました、これもかなり疲れる仕事です

6)後発品先発品対応辞書を作る

薬価基準コードを使います、同じ内容の薬であれば薬価基準コードは同じになるので、薬価基準コードでソートしてやれば後発品先発品が並んで表示されます。また17番目のフィールドに後発品のフラグがあるのでこれで先発品と後発品の区別ができそうです。
(1)後発品のフラグでフィルタリングして先発品、後発品の2つのデータベースを作りますフィールドは薬品名と薬価基準コードです医薬品コードも入れておくとルックアップのとき楽かもしれません
(2)先発品でも同じ薬剤が2つ以上ある場合があるので、必要なら先発品データを薬価基準コードでソートして同じものがあればまとめます
(3)後発品データベースから先発品データベースを薬価基準コードを使ってルックアップし先発品薬名を結合します、これで後発品→先発品辞書ができます
(4)メインのデータベースにルックアップを使って結合すれば完了です

7)印刷

印刷のフォームを作成します。
1行目薬剤名、2行目に先発品、3行目に薬価、右に効能効果を表示するように作成しました。
薬剤の並び順は自分で追加した薬効分類と薬価基準コードでソートしました。これで同じ薬効のものはまとめて並び後発品など同じ薬は並んで表示されるようになります。
データの量は薬剤によってまちまちなのでそのままでは隙間が空きすぎてしまいます。そこで印刷時に無駄な空白をつめてくれるオプションを設定します。
レイアウト画面で「書式」メニューから「スライド/印刷」を選択して上方へスライドを選択します。これで無駄なスペースが無くなり、紙の無駄がなくなります。ページ番号を付けるのを忘れないようにしましょう。
こんな風になりました↓

8)目次の作成

目次がないと目的の薬剤を探すのに不便なので、目次を作成しますが、自動で目次を作成する方法は無いようです。
上で書いたようにスペースを詰めて印刷しているのでどのページにどの薬剤が来るかは印刷しないとわかりません。
そこで、印刷してから頁数を書き込んでいきます。ページのフィールドを作成しそこにページ数を書いていきますが操作性が悪いので薬剤名とコードをExcelに移して頁数を書き込んでからルックアップで結合しました。
あとは目次用のレイアウトを作成して、カナ名称のフィールドで50音順にソートして印刷すれば出来上がりです。
先発薬がすぐ解るように隣に書いてあるところがみそです。ついでに先発薬から院内の後発薬を探す目次も作成しました。
こんな風になりました↓

9)製本

表紙を付けて糸でしっかり縛って背表紙をつければ完成です。けっこうそれらしいものができ、それなりに好評です。
最初はPDA用のデータを作るのが目的だったのですが、ついでなので本にしてしまいました。

付録)

医薬品コード
各医薬品に個別に付けられたコードで同じコードは1つしかありません、厚生省の付けた新しいコードでしょうか?

薬価基準コード
薬価基準収載医薬品コード(別名;厚生省コード、薬価コード)
薬価基準収載医薬品に付けられる12桁(アルファベット1字を含む)の数字です。
医薬品の成分、剤形、銘柄等を表しています。

4桁 日本標準商品分類コードの87を除いた数字です。薬効を表します。
3桁 成分別の番号です。(内服薬:001-399、注射薬:400-699、外用薬:700-999)
1桁 剤形を表す記号です。(内服薬の場合、A-E:散剤、F-L:錠剤、M-P:カプセル、Q-S:液剤、T,X:その他)
1桁 1から3によって分類された同一分類内での、規格単位番号です。
2桁 同一規格内での、銘柄別に付けられた番号です。
1桁 誤記入を検索するための番号です。

同じ内容の薬であれば後発品にも同じコードが付けられています
後発品辞書の作成にも使いました。
最初の4桁のコードは薬効をあらわすのでこれを使って薬効分類ができそうです。
コードの最初の4桁と薬効の対応は自分で調べた分では以下のようです(間違ってるかもしれません)。

1,神経系及び感覚器官用医薬品
11,中枢神経系用薬
12,末梢神経用薬
13,感覚器官用剤
2,個々の器官系医薬品
21,循環器用薬
22,呼吸器官用薬
23,消化器官用薬
24,ホルモン剤(抗ホルモン剤を含む)
25,泌尿生殖器官及び肛門用薬
26,外皮用薬
270〜279,歯科用薬剤
3,代謝性医薬品
31,ビタミン剤
32,滋養強壮薬
33,血液・体液用薬
34,人工透析用薬
39,その他の代謝性医薬品
4,組織細胞機能用医薬品
41,細胞賦活用薬
42,腫瘍用薬
43,放射性医薬品
44,アレルギー用薬
5,生薬及び漢方処方に基づく医薬品
520,漢方薬
6,病原生物に対する医薬品
61,抗生物質製剤
62,化学療法剤
63,生物学的製剤
64,寄生動物に対する薬
7,治療を目的としない医薬品
72,診断用約(体外診断用医薬品)
79,その他の治療を目的としない医薬品
8,麻薬
81,アルカロイド系麻薬
82,非アルカロイド系麻薬
9,動物に使用する医薬品

もう少し詳しいCSVファイルはこちら 

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2006/3/17