番外編

日立FLORA 310KのCPU交換

昔購入した 日立FLORA 310K というマシンがあります。液晶一体型のデスクトップマシンで、最近まで自宅でネットサーフィン用に使用していましたが、 さすがに遅さが気になるようになったので、買い換えて引退させました。 で物置にしまっていましたが、なんとなく改造して遊びたくなったのでネットで色々調べて見ました。
この機種に関してはほとんど見つかりませんでしたが、 企業向けの「FLORA 310 DL6」という機種がスペックや発売時期、外観から同じものではないかと思われ、 こちらに関しては、CPU交換などいろいろ遊べそうな記事が見つかりました。

メモリ造設

もともとのメモリは64MBですが、128MB造設して192MBにしていました。
カタログでは最高256MBなのですが、両面実装メモリを使えば256x2で512MBまで認識するらしいです。
そこでPC133の256MB両面実装メモリを1本入手して付けてみたところ、特に問題なく認識しました。
256+128=384MBになりました。

Pentium!!!550MHzに挑戦

もともと乗っているCPUはSlot1タイプのCeleron333MHzという石です。
ファミコンのROMのような大きさで(表現が古い..)最近の小さなCPUを見慣れているとビックリするほどの大きさです。
どうやらSlot1タイプのPentium!!!600MHzあたりまではCPUを交換するだけで起動するらしいことが解ったので、試してみることにしました。
ヤフオクを物色していましたが、600MHはなかなか見つからないので550Hzを入手しました。
早速差し替えて起動してみましたが、HITACHIのタイトル画面までは出ますが、そこで停止してしまいます。
話しによるとここで「F1」キーを押せば起動するとのことですが、起動しません。

ディップスイッチの設定

Celeron333MHzのFSBは66MHz、Pentium!!!550MHzFSBは100MHzなので、この辺りの問題の可能性があると思い、マザーボードの情報を調べました。
ネットの情報とCPU-Zで調べるとAcerのV66LTというマザーボードが使用されています。
Acerのサイトに同じマザーボードを使ったマシンの説明書があるので設定を調べました。

赤丸の部分にある、SW1のスイッチ1がONで66MHz、OFFで100MHzです。
で100MHzに設定して起動してみましたが、やっぱり起動しませんでした。

BIOS書き換え

初期画面は出るのでBIOSの問題の可能性が高いと思って、BIOSの書き換えに挑戦することにしました
Acer Power 2100という機種のマザーボードが同じでBIOSが 流用できるらしい のですが、 一体型に使用すると画面が表示されなくなるとのことです。
世の中にはすごい人もいるもんで、 このBIOSを改造して使用できるようにする方法 が載っていました。
材料
1:BIOS 66ltd0.zip -- Acer
2:BIOS書き換えソフト AFLASH.EXE -- Acer
3:バイナリエディタ なんでもいいのですが、今回はVectorから「BZ」をもらってきました。
4:ROM焼きだいじょうぶ!
手順
1:DOS起動ディスクを作成する
AFLASH.EXEはMS-DOSでしか動作しないのでMS-DOSの起動ディスクが必要です。そんなものは今時持っていないのでWindowsXPの起動ディスクを使います。
FDDの付いたWindowsXPマシンにフロッピーディスクを挿入し、フォーマットのオプションで「MS-DOSの起動ディスクを作成する」をチェックすればOK。
できたディスクの「MSDOS.SYS」「IO.SYS」「COMMAND.COM」のみ残してあとを消去すれば完成です。
2:オリジナルBIOSの読み出し
作ったフロッピーディスクにAFLASH.EXEを入れてDOSを起動、AFLASH.EXEを起動してオリジナルのROMをディスクに保存します。
3:BIOSの改造
読み出したオリジナルBIOSをバイナリエディタで開きます。
66ltd0.zipを解凍して66ltd0.binを取り出し、バイナリエディタで開きます。
オリジナルBIOSの(0x6000〜0xffff)までを66ltd0.binの(0x6000〜0xffff)に上書し、保存します。
これで改造BIOSの完成です。
改造BIOSをフロッピーディスクに書き込んで、DOSを起動し、AFLASHでBIOS ROMに書き込めば終了ですが、 今回は心配だったので「ROM焼きだいじょうぶ!」を装着してBIOSを2重化してから作業を行いました。
オリジナルはそのままにして「ROM焼きだいじょうぶ!」の方に改造BIOSを書き込みました。
それで改造BIOSにしてCPUを差し替え起動してみましたが、やはり起動しませんでした。
おまけ1
AFLASHはROMに書き込むとき、パリティーチェックをしています。BIOSファイルのバイトを全て足して下2桁が16進表示で00になるかをチェックしているようです。 もし改造BIOSを作ってパリティーチェックに引っかかるときは、使用していなそうなバイトを変更して合計が00になるようにするといいかもです。
AFLASHに/Fオプションをつけて書き込む方法もあります。「AFLASH /F 66ltd0.bin」とかコマンドラインで打ち込むとノーチェックで書き込んでくれます。
おまけ2
BIOS書き換えに失敗したことのある人はあまりいないかも知れませんが、失敗するとパソコンが2度と起動しなくなるという危険な作業です。
「ROM焼きだいじょうぶ!」はオリジナルのROMを一度抜いて、2階建てにしてはめ込んで、2つのBIOSを切り替えて使用できるようにする部品です。
これをつけていればもしBIOS更新に失敗しても、もう一つのBIOSで再起動できるので安心です。

いろんなCPUで試してみよう

こうなったらヤケになって、いろんなCPUを挿してみよう。
というわけで、ヤフオクをあさって使えそうなCPUを色々GETしました。
リストです
CPU -Slot1-
Celeron 300A SEPP 300MHz SL2WM
Celeron 366 SEPP 366MHz SL37Q
PentiumU 400MHz SL37C
PentiumV 500MHz SL35E
PentiumV 550MHz SL3FJ
-Socket370-
Celeron 466 PPGA 466MHz SL3EH
Celeron 500 PPGA 500MHz SL3FY
Celeron 533 PPGA 533MHz SL3PZ
Celeron 850 FC-PGA 850MHz SL54Q
Pentium V 933 FC-PGA 933MHz SL4C9
Pentium V 1000 FC-PGA 1000MHz SL5QV
下駄 ゲタ MSI MS-6905 Master (ファンつき)

まずはオリジナルBIOSで試してみました。
Slot1タイプは、Celeron 300A、Celeron 366、PentiumU 400MHz は問題なく起動しましたが、PentiumVは起動しませんでした。
Socket370タイプはゲタを使って実験しましたが、初期画面も出ない状態でした。
がっかりしながら、改造BIOSにして再度実験してみたら、
Slot1タイプは、Celeron 300A、Celeron 366、PentiumU 400MHz は問題なく起動
Socket370タイプは、Celeron 466、Celeron 500、Celeron 533は起動しましたが、Celeron 850は起動せず、Pentium V933、Pentium V 1000も起動しました。
FSBを100MHzにすると、Slot1タイプの PentiumV 500MHz、PentiumV 550MHz も起動しました。
不思議なことにこの後BIOSをオリジナルに戻しても上記で起動したCPUは起動するようになりました。
調子に乗ってWindowsも立ち上げてみましたが、問題なく立ち上がりました。
色々試した結果、オリジナルBIOSでは2次キャッシュを認識してくれないので、改造BIOSを使用することにしました。
Pentium V933はFSB133の製品なので、FSB100で700MHzでしか動作しませんでした。
ということで、Pentium V 1000 (FSB100) が一番高速ということでこれを使うことにしました。
CPU-Zの画面です、1GHzで動作しています。

CrystalMarkでのベンチマークです、交換前Celeron 333/交換後Pentium V 1000です。


演算速度は約3倍、全体でもほぼ2倍のパフォーマンスアップです。

マイクロコードの書き換え

起動するようになったのですが、電源を入れたときに、「マイクロコードが合わない」といった内容のエラーが出て「F1」キーを押さないと起動してくれません。
そのままでもさほど困らないのですが、BIOSのマイクロコードを書き換えればエラーが出なくなります。
Acerのホームにマイクロコードを書き換えてくれるソフトが置いてあります。
checkup5.exeとper10.pdb をダウンロードします。
これをDOS起動ディスクに書込み、DOSを起動します。コマンドラインで「checkup5 -p per10.pdb」と打ち込むと どうやら自動的にCPUを判別してBIOSのマイクロコードを更新してくれるようです。
この作業を行った後はエラーメッセージは出ずF1キーを押す必要もなくなりました。
おまけ
マイクロコードはCPUごとに固有のものが必要で、それがないと起動しなかったりします。
1つ分が2048バイトで、66ltd0.binの場合、39800-39FFF、3A000-3A7FF、3A800-3AFFF、の3箇所に書かれています
オリジナルBIOSでは更に3B000-3B7FFにも書かれていました。
バイナリエディタで必要な部分を書き換えて改造することもできます。
BIOS内のマイクロコードをみるには
MicroCodeViewer --うるりの物置き
を使用しました。

まとめ

今時PentiumVの1GHzぐらいではあまり実用にはならないし、CPUが速くなってもグラフィックはしょぼいので使い勝手はよくありません。
部品にこれだけ掛ける金があるなら、中古のPentiumVマシンが買えそうです。
まあ今回の改造は部品調達にかかった時間を含めると1ヶ月以上かかってしまいましたので、「暇つぶし」だったということで。。。。。

【注意】
この改造は福太朗が行ってたまたま成功したものを紹介しているもので、これを保証するものではありません。
このような改造をすると、メーカー保障は受けられなくなりますし、コードや部品類を破損したり、最悪マシンが起動しなくなる可能性があります。
改造を行う場合は自己責任で行ってください。



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2008/5/30