店主のつぶやき あまみ庵の店主:森本が雑誌や新聞に書いた文章を掲載します。

南日本新聞:南点(H11.11.01)

「臨界族」

コンピューターの二千年問題を心配していたら、臨界事故だ。推進派はだれであろうと、存命中に死の灰の責任をとるべきである。地球は今や一触即発の臨界前夜だから、絶望的な原発は一時休止を。

奄美が鹿児島県に復帰した一九五三年に冷戦が始まり、国内では「誘導弾(ミサイル)懇談会」が発足した。五四年、第五福竜丸の悲劇が起こった翌日に、仲曽根康弘は「原子炉予算」を緊急提出、同七月に防衛庁と自衛隊が発足した。五七年には岸信介首相が「日本は核兵器保有が可能」と発言した。

広瀬隆の「私物国家」(光文社・一九九七)を読んで以来、この国の黒幕たちがやっていることは、国民蹂躙の亡国の道だとつくづく思う。

六四年に戦前の軍需財閥と同じ三菱重工が復活した。やがて"もんじゅ"や六ヶ所村を建設するのだが、これは国防とミサイルとプルトニウム(兵器)の製造確保のためという。西村元防衛政務次官の核武装発言も、現実めいてこわい話だ。

その六ヶ所村の土地の買占めをした三井不動産元会長の江戸英雄と、九州電力元会長の安川第五郎は親戚である。日本原子力産業会議会長・日本原子力研究所理事長・日本原子力発電社長に君臨した安川会長は、三菱財閥創始者の岩崎家にも連なる。

もっとこわいのは、戦後の首相や政治家たちが閨閥で連綿とつながっていることだ。

吉田・鳩山・岸・池田・佐藤・田中・仲曽根・竹下・海部・宮沢・細川・橋本の各総理経験者たち。さらに明石庚・阿部晋太郎・小沢一郎・金丸信・小泉純一郎・森義朗という政治家たちも全員が一族である。

官・財界でも、沖縄をのぞく電力九社の経営陣も、ゼネコン業界トップと建設族も、土地・石油・製薬など日本の産業・金融腐敗事件をあやつるのも彼ら血族たちなのだ。

まさに政・官・財の血の三角形だ。彼ら同族たちは公的資金という血税をバラまき、国民に負担を押しつけ、国や自治体の予算を私物化している。

本県の川内原発や人工島建設その他の問題なども、彼ら利権グループのための鹿児島版「入れ子」ではなかろうか。

(森本眞一郎)

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