7月の阪神
| 来年へ向けて (阪神8-3ヤクルト) 杉山の投球内容的は、2軍に降格する前よりも悪かったくらいだ。腕の振りが緩く、スピードも出ない。力を加減しながら、何とか両コーナーに投げ分けてしのいでいた。 ただ、決め球のスライダーが3球に1球は外角低めに決まり、うまいことその球にヤクルトの打者が手を出してくれた。結果的に球が散らばっていたことも味方した。いい投球しても勝てないことはあるし、内容が悪くても辛抱して投げていれば勝ちがつくんや。この日の気持ちを忘れないでほしいな。ゼロが1になったことで、杉山本人もようやく落ち着けるやろう。チームにとっても意味がある1勝だ。 |
エース福原 (阪神4-1横浜) 阪神赤星が16試合ぶりの盗塁を決めた。8回、2死から四球で出塁すると、続く関本の初球、けん制直後に二盗。相手投手のモーションを完全に盗み、7月13日の広島戦以来、今季21個目の盗塁となった。5回には左前打を放つなど打撃も復調の兆し。「お疲れ様でした」と口数は少なかったが、これでリーグトップのヤクルト青木とは5差。5年連続の盗塁王にエンジンがかかってきた。 |
2ケタ得点 (阪神11-7広島)8月5日 惜しい〜。8回に得点できていれば70年以来36年ぶり、球団史上2度目の毎回得点が達成されていた。記録をつなぐ大きな働きをしたのは代打陣。5回に桧山が右前適時打。6回にはスペンサーが適時二塁打。さらに7回には片岡がダメ押し打を放った。投げては6回以降をダーウィン、ウィリアムスが無失点に抑えた。 代打陣の執念が、歴史的な波状攻撃を実現させた。序盤はレギュラーが猛打を振るったが、中盤から終盤にかけて岡田監督の代打起用がことごとく的中した。逆転の足掛かりを築いたのは桧山だった。2点を追う5回無死一、三塁。広島横山の速球を引っ張ると、高速で一、二塁間を破った。 桧山「バッティングカウント(0−2)だったので自分のスイングをすることを心掛けた。つなげるよりも、チャンスだったので甘い球を行こうと思った」。 6回には1死一塁でスペンサーが打席へ。佐竹のカーブをおっつけて右翼線へ。一塁走者藤本が長駆生還する適時二塁打で6月30日巨人戦以来の2ケタ得点をマークした。 スペンサー「ヒヤマさんもカタオカさんもみんな打てていなかった。みんなスコアがついたし、打てて良かったよ」。 そして、迫力満点の代打攻勢を締めたのは片岡だ。7回1死三塁。林の速球を迷いなく引っ張ると、痛烈なゴロで一、二塁間を破った。「会心の当たりです」と素直に喜んだ。 入念な準備が快打を呼んだ。この日の試合前。炎天下で片岡がつぶやいた。「バットがな、かなり湿ってるわ。干しとかな」。練習を終えると、ひとり一塁側ベンチ横の柵にバットやグラブを立て掛けた。わずかなグラム差にも細心の注意を払う。桧山もまた「準備の人」だ。通常の練習を終えたあと、内野でフリー打撃の打球を追うことがしばしばある。「どっちに飛ぶか分からんやろ。目をね、鍛えるために」。反射神経を研ぎ澄ます工夫は片時も忘れない。野球に対する真心が勝負所でにじみ出た。 リザーブの力によって、7回までスコアボードには間断なく得点が刻まれた。あと1イニング…。8回は惜しくも無得点に終わり、1970年6月27日ヤクルト戦(神宮)以来、36年ぶりの全イニング得点を逃した。 |
| 巨人戦 (阪神5-1巨人) 8月3日 阪神はまた大幅に打順を組み替え、赤星に代えて今度はスペンサーを6番センターで起用してきた。一見、むちゃなようにも思えるが、打てなくて連敗しているのだからこのぐらいはするべきだ。考えられる手はすべて打つべきだろう。 そのスペンサーが期待にこたえ、2−0の3回に2ランを放った。初回に巨人のミスもあり、阪神は2点を先制。この後の1点をどう取るか、注目していたのだが、スペンサーが打つのは最高の形といえる。抜てきされた選手が働くと、ベンチのムードは一気に盛り上がるものなんだ。 |
球児3インニングも (阪神3-3ヤクルト) 球児が燃えた。あす8月1日からの長期ロード前、甲子園ラストゲームとなった30日のヤクルト戦で、阪神・藤川球児投手(26)が延長10回からリリーフでは自己最長の3イニングを無失点に抑え、今季3度目の引き分けに持ち込んだ。チーム今季最長となる4時間55分の死闘で勝利はつかめず、首位・中日とは今季最大の6ゲーム差。それでも闘志ある限り、虎はまだ死なない。中日に今年は勝てないので優勝は無理と思うが、がんばるしかない。 |
3連敗 たった1点…。初回にシーツの先制打が飛び出したものの…。二回以降は散発2安打に抑え込まれた。首位決戦の竜虎対決で、阪神は今季初の同一カード3連敗の屈辱。中日とのゲーム差は4・5ゲームまで広がった。岡田阪神が今季最大の窮地に立たされた。 左翼席を埋め尽くす尾張の虎党からは、ため息ばかりがもれた。つながらない打線。川上が繰り広げる変幻自在の投球を前に、チャンスらしいチャンスは、初回の攻撃のみ。後半戦開幕とともに迎えた首位攻防戦は、悪夢の3連敗スタートとなった。 初回、先頭の赤星が粘って三塁線を破る安打。続く関本がきっちりと送りバント。浜中が倒れるも、金本が四球で歩き二死一、二塁とした。ここで、打席に立ったのはシーツ。3球ファウルで粘った後の6球目だ。真ん中高めに浮いた川上の直球を左前に運び、先制点を奪った。 「打ったのはシュート気味のストレート。久しぶりのタイムリーなので本当にうれしいよ。このまま、チームが勢いづいてくれたらいいなと思っているよ」 前夜も2安打を放ち、球宴では第2戦で5打数3安打1打点の活躍を見せるなど、好調をキープする助っ人が気持ちの一振り。だが、続く鳥谷が空振り三振に倒れて1点止まり。川上の不安定な立ち上がりを、攻めきれなかった。 14日の対戦では、4点を奪って五回でマウンドから引きずり降ろした。苦手意識はなかったが、打ち崩せずにいら立ちだけがつのる。象徴的だったのは、六回のシーツの打席。粘って出塁しようとするも、投ゴロに倒れた。一塁に走る際には、持っていたバットをポーンと上空へ放り投げた。チームが流れに乗れない悔しさ、勝利に導く打撃ができない自分自身への悔しさをにじませた。 前日の試合後には岡田監督が「何点や、この5試合で。2、2、1、2、2やろ。ピッチャーが踏ん張っているからゲームになっとるけど結局、点が取れていないということ」と怒り口調で吐き捨てた。奮起を期待する意味を込めたゲキだった。打線爆発を願っていたが、またも貧打に泣いた。 この日の敗戦で、中日とのゲーム差は4・5に広がった。直接対決で3連敗。同一カード3連敗は今季初の屈辱だ。二回以降は散発2安打の覇気のない猛虎打線。今年は中日に勝てそうな気がしない。 |
中日を粉砕 (阪神7-2中日) 7月14日 主砲金本が中日川上から2点適時打と右犠飛の3打点。竜を追撃する大きな1勝をバットでもたらした。同級生下柳の好投を称え、プロ同期入団町田の代打アーチに声を枯らした。グラウンドでもベンチでも全身で、竜倒の先頭に立った。 鬼の形相でマウンドをにらみ、金本は腹をくくっていた。外か内。来るならギリギリいっぱい。首位球団のエース川上に、追うチームの4番として対した。3回裏の2死二、三塁、フルカウントからの7球目だった。 「ストライクゾーンは広く使ってくる。内ならファウルに出来るし、外を意識した。精一杯の打撃、よくバットに当たってくれた」 一か八かの答えは外でズバリだった。コースいっぱいのカットボールにバットを伸ばした。捕らえた白球は中前の人工芝ではずみ、走者2人をホームに返した。序盤で主導権を完全に握る、2点タイムリーだ。 昨年は中日に下から追い上げられた。そのマッチレースの中で川上から打率5割3分3厘、4本塁打と打ちのめした。今季は4月に4敗して1つも勝てずに迎えた3カ月ぶりの対戦。立場が違えば、燃え方もまた違った。 「川上には4月に打てなかった(5打数1安打)し、昨年とイメージも攻め方も違っていた。気合が入っている? ちょっとな…」。この日も、通算350号本塁打を放った2日前と同じようにお立ち台に登った。「必ず勝ち越したいと思います」と同じ誓いをファンに伝えた。これ以上、離されるわけにはいかない。オールスター前とはいえ、天王山のつもりで戦っている。 5回無死一、三塁でも気迫でプレッシャーをかけた。「コントロールミスだろう、まさかの甘い球だった」。内角のカットボールを右翼フェンス前まで運び、犠飛で中押しの4点目をたたき出した。主砲が本塁打なしで1試合3打点を挙げたのは今季初めて。10安打7得点と覚醒した打線の中心に、アニキがいた。 「久しぶりやな。7月に入って4点までしか取ってないやろう。打つ方はこれで目覚める? あと5試合くらいは目覚めといて欲しいな」 幾度となく打線の集団睡眠に悩まされてきた岡田監督も、左うちわの快勝に気をよくした。 |
藤川、ふんばる (阪神2-1広島) 7月10日 福原がよれよれながら1点でふんばり、藤川が締めくくって広島に辛勝。 シーツが連続試合安打を「9」に伸ばした。左飛、三ゴロ、三振で迎えた8回の第4打席、長谷川から三遊間を破る左前打を放った。「いい打席もあれば、悪い打席もあるが、すべていい打席にできるように頑張りたいね」。開幕から3番を打ってきたが、深刻な得点力不足で5番へ回って4試合目。打順が金本の前から後ろに変わっても、そのバットが衰えることはなさそうだ |
| 片岡で負け (阪神1-2横浜) この試合は片岡の一人舞台。なんでもない3塁ゴロをエラーした挙句、次回の勝ち越しのチャンスに三振なのだから。 6回表。激しくなった雨で2度目の中断を強いられた。一度は勢いが収まり、再開へ向けたグラウンド整備が終わりかけた頃合いを見はからったように再び甲子園は豪雨に見舞われた。降雨コールド−。無情の宣告だった。 「雨が降るのは分かっとるんやから。相手より1点でも上へ行くというスタートやから」 岡田監督の苛立ちも無理はない。大敗なら諦めもつく。しかし、点差はわずかに1点。しかも、失点の内容も悪い。2回の先制点は四死球絡み。2軍再調整を経て先発させた杉山が同じ失敗を繰り返した。3回には1死一、三塁から片岡の失策で追加点を献上した。 「そら、1点でも少なくというのはあるけど、毎試合、言うとったらキリない」 対して、1番赤星以下の通常打線に戻した攻撃陣は3回に奪った1点のみ。天候同様、打線はまだ湿っていた。 「あんまり雨は降らんと聞いとったけど…。そら、痛いわ。この点差で6回で終わりというのはなあ…」 試合前に練習中はずっと曇空のまま。逆に「中途半端な天気やなあ」と嫌な予感を抱いていた。相性抜群だった横浜戦は不運な形で今季2敗目。「あんまり試合の話はしとうないわ…」。岡田監督がため息をついた数十分後、中日との差は先月13日の首位陥落以来、初めて2・5差まで広がった。 |
井川・無念 (阪神0-2巨人) 7月2日 眠っていた巨人を阪神が貧打でめざめさせた。井川が今季5敗目(6勝)を喫した。2回、4番李に速球をとらえられ、左翼への先制弾を許した。だが、この日は速球のキレが良く、最速148キロをマーク。巨人内海との投手戦に持ち込んだが、7回には上坂、浜中の失策が絡んで、追加点を与えてしまった。7回3安打2失点の好投にも「調子は悪くなかったです。自分のせいで負けたのが残念です。点を取られたら、投手の責任ですから」と反省を口にした。 |
やっと勝った (阪神3-2広島) 6月28日 ダーウィンが快投を見せた。6回を投げて2失点。これまで中継ぎで見せてきた活躍を、今季初先発の舞台でもそのまま発揮した。「ロングリリーフという気持ちで入った。1回1回を抑えようとね」許した安打はわずか3本。広島打線に狙い球を絞らせなかった。本塁打と制球を乱しての失点は次回への課題だ。「先発になったからといってそう簡単にこれは返せないよ」。猛虎のリリーフ陣が全員持つウィリアムスが贈った迷彩のリストバンド。この日もしっかりと左腕につけて試合に臨んでいた。岡田監督は「きょうは全然合格よ。6回までよく投げた」と絶賛。再び登録を抹消しオクスプリングと入れ替わりとなるが、猛虎の先発陣に貴重な戦力が加わった。 |
延長・引き分け (阪神2-2広島) 6月27日 藤川球は延長十回から登板し、2回を無失点に抑えた。新守護神は連続イニング無失点を42回2/3とし、江夏の41回を超えて球団史上2位、プロ野球史上でも9位に躍り出た。試合は2-2のドロー。九回二死から矢野輝弘捕手(37)が起死回生の同点ソロを放った。 託されたバトン。仲間たちがつないできた“たすき”を汚すわけにはいかない。チームの勝利、そして、ファンのために藤川がマウンドで右腕を振り続けた。 延長十回。名前がコールされると、スタンドが沸く。ここまで連続イニング無失点を40回2/3まで続けている右腕を声援が、後押しする。 簡単に二死を取るも安打と四球で一、二塁のピンチを迎えた。一打サヨナラの場面で梵を迎えた。カウント2-0からこん身の内角高め直球で、3球三振。マウンド上で躍動した。そして、延長十一回は三者凡退。「しんどかった。ファウルで粘られたから」。2イニングで今季最多43球を投げ込み、ゼロ封した。 記録は42回2/3まで伸びた。 |
連敗 6月25日 ヤクルトに連敗を喫した阪神・岡田彰布監督(48)が、5回5失点でKOされた杉山直久投手(25)にぶち切れた。四回の関本の同点弾をフイにする背信投球に激怒、先発失格の烙印(らくいん)を押した。久保田に代わる新守護神・藤川を投入すらできない完敗で、首位・中日との差は「2」に広がった。 会見場に姿を現した岡田監督は笑っていた。完全に怒りを通り越していた。声を荒らげることはなかったが、ひと言ひと言に怒気を込めた。その矛先は当然、杉山に集中。我慢の限界にきた指揮官は「先発で悪かったら変えなしょうがないじゃん。そら」とローテ失格のらく印を押した。 悪夢は五回に訪れた。四回に関本の2ランで同点となり、ムードは最高。スタンドのボルテージも上がってきた矢先だった。先頭のリグスに安打を許し、打席に岩村を迎えた。カウント0-2から136キロ、外角に甘く入った直球をバックスクリーン左に運ばれた。最悪の形で2ランを献上。追い上げムードは台無しとなった。 「四回に追いついてもらって、これから自分も勝ち投手の権利もあるか分からんとこであれやで。流れがこっちにきたやつを、すぐに向こうにやってしまうんやからな。向こうは2点、勝ち越してあれからビシッとよくなったやろ。こっちはあれからノーヒットやろ」 それだけはやってはいけない痛恨の被弾。以来、打線も無安打となれば指揮官の怒りが収まるはずはなかった。 杉山は初回から先頭打者に四球を与え二死後、ラミレスにカウント0-2から中越え2ランを浴び先制点を献上。「ホームランは0-1、0-2から甘い球やろ。悪循環や。警戒して初球、入るのはええけどカウントを悪くして、リズム悪くして」という岡田監督の指摘は的確だった。立ち直る気配もなく、5回を投げ5安打3四球5失点。内容の悪さを結果が物語っていた。 試合後の駐車場でユニホームを脱いだ杉山は「肝心なところでコントロールが…」と反省の弁を残した。だが、指揮官は今季未勝利という結果を踏まえ「そのままピッチングに出てるやん」と厳しく指摘した。失った信頼を取り戻すには、相当な努力と相応の結果が必要になる。 安藤、江草に続き、杉山までも…。“久保田不在”だけに、先発組の踏ん張りが必要だが、状況は厳しい。 |
黒星スタート (阪神4-7ヤクルト) 6月24日 試合後、ブルペンを担当する中西投手コーチが言い放った。「負けるにしても、4―5のままで終わらせたかった」。右手を骨折した抑えの久保田が離脱し、再編を余儀なくされた投手陣の船出は、厳しいものになった。 阪神は八回、片岡の3ランで1点差にした。中西コーチは「片岡に一発が出れば、安藤」。桟原との両にらみで準備していたブルペンの思惑は、いい方に転がった。岡田監督も「こっちに流れが来るような展開になったから」と逆転に望みを託した。だが、今季初救援となる安藤には、荷が重かったか。九回、先頭の米野にフォークをすくわれ、3号ソロを浴びた。 「申し訳ない」。そう言って肩を落とした安藤がつぶやいた。「中継ぎは難しい」。心の動揺を静められないまま、一死から青木に四球を与えると、続くリグスには左越えの適時二塁打。阪神にとって、何とも痛い2点がスコアボードに刻まれた。 結果には結びつかなかったが、大事な場面で安藤を起用するベンチの腹は決まった。「ストッパー藤川」へつなぐ勝利の方程式は、これから形にしていけばいい。 |