
18年ぶりの日本シリ−ズはダイエーとの対決になったが・・・。
結果は4勝3敗で負けてしまった。(涙)
来年こそ日本一だ。
| 日本一ならず (阪神2-6ダイエー) 福岡ドーム 10/27 2連敗の逆境から本拠地・甲子園で3連勝し王手をかけたが、自身初の日本一を逃した。試合後「後は次の人にしっかりやってもらいたい。オレは自由人」と初めて退団を公言した。 さわやかな、そして誇らしい気持ちでいっぱいだった。悲願の日本一にはあと一歩で届かなかった。だが、悔いなどみじんもない。三塁ベンチ前で表彰されるダイエーの選手に拍手を送り、星野監督は支えてくれたコーチ陣、選手、そして裏方さんに心の中で頭を下げていた。 「ありがとうと言いたいよ。あのチームが147試合、王手というところまでやってきたんだから。4敗したからといって、1年間を評価することなどできん。その前を評価してあげなくちゃ」4年連続最下位のチームを2年でリーグ優勝に導いた男は、最高の幸せを感じていた。 だが、急速な変革と成長をチームにもたらした代償は、想像をはるかに越えていた。中日監督時代から患っていた糖尿病、高血圧、不整脈に加え、関西のしにせ球団を率いるプレッシャーで、胃にいくつも穴が開いた。「2年目で優勝できるなんて、思ってもいなかった。もっゆっくり優勝してたら、こんなに体を壊すこともなかったかもな」体も心も、すべてを縦じまのユニホームに捧げた679日間だった。 今シーズンは試合中に何度も気分が悪くなり、ベンチ裏でおう吐を繰り返した。血圧が急上昇して頭がもうろうとし、ベンチに座っても試合の情景が目に入ってこない時もあった。島野ヘッドコーチに“影武者”のように後ろに座ってもらい、状況と指揮をアドバイスしてもらうこともあった。極限の状態の中で、戦い続けてきた。 シーズン中に芦屋市内の自宅マンションで、体調不良を見かねた長女の千華さん(32)に、辞任するよう強く迫られた。「他の人に言われてもどうってことないが、娘に言われるとなあ…」ふだんは「野球のことには口を出すな!」と一喝する頑固おやじが、ひと言も言い返すことができなかった。「ほんまはもっとやりたいんや。最低でも3年、いや5年はやりたかった」願望はとめどなくあふれたが、愛する肉親をこれ以上、悲しませることはできなかった。 「こんなやりがいのある、面白いチームはないで。選手の成長が、目に見えるんだから」猛虎復活を鮮やかに演出した指揮官は、来季からアドバイザー的な立場で、側面から球団をサポートしていく。「2年間、全力疾走してきた。阪神のユニホームを着られて誇りに思う。今後は自由人や。日本一? 近い将来になるよ。道筋だけはつけたから、次の人にしっかりやってほしい」岡田次期監督に熱いエールを送り、自らが達成できなかった日本一を託した。 「今晩からゆっくり寝られるね」ようやく重圧から解放された闘将は、最後にポツリとつぶやいた。さわやかな笑顔に一抹の寂しさを漂わせ、夢を追い続けたグラウンドに、別れを告げた。 |
3勝3敗 (阪神1-5ダイエー) 福岡ドーム 「残り1試合? 1日でも長く、ユニホームを着させてやろうとしてくれたんじゃないか。オレは、そう思うよ」 勇退の道を選び、退路を断った男は、どんな現実でも冷静に受け止めることができる。それが強みなのか。笑みすら浮かべ試合を振り返った。 ここ一番で、唯一の弱点と自己分析する『情』の部分が出た。先発はムーアではなく、伊良部だった。第2戦(19日)で3回 5失点。福岡ドームのマウンドに沈んだ右のエースを、リベンジの舞台に送った。 「いきなり、ゴツーンやからな。でもシーズン中、よう頑張ってくれた。使うしかないやろ」 一回一死一塁。井口に右越えへ先制2ランを浴びた。この時点で甲子園からの流れは消えた。もう試合のペースをつかむことはできなかった。 13年目の指揮官生活で、ようやく『無の境地』の意味を理解できるようになった。「勝ちたいのは当然やけど欲はない。選手をどれだけ信じられるか。その力が今問われていると思うんや」。 決戦前夜(25日)の夕食。“最後の晩さん”になるかもしれないメニューは、五目ラーメンにギョーザ数個と少々のエビチリ。「こんな監督はおらんやろ」。最後まで星野流を貫こうとした。伊良部を起用し、結果的には歓喜の胴上げは流れたが、まだ己を通す。 そして、いよいよ文字通りのラストゲームだ。27日の第7戦の先発は井川。若きエースにすべてを託す。そしてムーアも下柳もブルペンに待機させる。シリーズの第7戦突入は、平成5年のヤクルト−西武以来、10年ぶり。まさに歴史に残る総力戦だ。 「あしたの意気込み? あしたはあしたや」 |
王手 (阪神3-2ダイエー) 甲子園 10/24 クライマックスは、いきなり訪れた。わずか28時間前に飛び出した金本のサヨナラ弾の余韻が、確かに球場内には残っていた。初回2死。「昨日の勝利の勢いが途切れないように、初回から先制パンチを浴びせたいと思った」高めのストレートを背番号6が上から振り抜いた。打球がライナーで右翼フェンスを越える。先制の4号ソロ。金本の一撃が底冷えする甲子園の気温を一気にヒートアップさせた。 夏場のうだるような暑さを好む男にとって、寒さが今シリーズ最大の天敵だった。福岡ではドームのため寒さをしのげるが、この季節の甲子園には容赦ない「六甲おろし」が吹く。そのため、本拠地に戻った第3戦からアンダーシャツの下にジャンパーを着込んだ。「寒さは気にならん。逆に汗をかいてしようがない。ベンチで着替えるのがめんどくさいくらいよ」“秘密兵器”で体感気温を上げて、見事な結果を残した。 豪快な一発だけではなく、シーズン四球王の“威圧感”も発揮した。1点ビハインドの6回には2死一、二塁から敬遠気味となるストレートの四球。斉藤―城島の鷹(たか)バッテリーに勝負を避けられ一塁に歩くと、続く桧山が決勝の逆転適時打を放った。 FA砲が打てば負けない。1970年の長嶋以来のシリーズタイ記録となる3試合連続アーチで3連勝。過去には史上最強の助っ人、バースらに並ぶ歴史的な一撃となった。王手のかかった第6戦では自身の新記録への挑戦も重なる。「次で決めたいけど、そうは簡単にいかんじゃろ。余裕を持ったらつけ込まれるからね」MVP最有力候補に慢心はない。“不敗神話”を打ち立てた男が、星野監督を男にする。 鷹の鼻っ面に、王手を叩きつけた。鷹の20勝エース・斉藤の内角146キロを、阪神・桧山が意地と力で左前にはじき返した。1点追う六回二死満塁で、逆転決勝の2点タイムリー。最高のチャンスで、4番打者は最高の仕事をしてくれた。 「心をひとつにして、戦ってきます。ここに戻ってくるときは、星野監督と勝利の美酒を味わいたいと思います!」 夢心地だった。闘将にガッチリ抱き止められてから、上がったお立ち台。思わず声が上ずった。「自分でも何をしゃべってるのか…。でも甲子園ラストなんで、ファンのみなさんにきっちり挨拶したかった」 シリーズ5試合目にして、初めて連打で作ったチャンス。期待に応える千金打に、「1球1球の重みが違う。前がつないでくれたのは、自分でもわかっていたからね」と胸を張った。 自分は本当に必要とされているのか。そんな感情のもつれによる、昨オフのFA宣言。優勝を前にした故障離脱では、疎外感も味わった。だからこそ…。チームの一体感が、選手会長にとって最高の喜びとなる。 2連敗で迎えた第3戦。1−1の延長十回。アリアスが四球で出ると、右前打でつないだ。一塁上で、三塁まで走ったA砲と目が合う。普段は淡々と仕事をこなす男の相好が、崩れた。「ネクストでアリアスの粘りを見てて、気持ちが伝わってきたから…。嬉しかった」。次の瞬間、藤本の中犠飛でサヨナラ勝ち。猛虎打線が、再び線へとつながった瞬間だった。 星野監督の花道を飾るVまで、あと1。FAでは仲介役となり、7月のサイクルヒットの後に記念の腕時計を贈ってくれた闘将に、最後の恩返しをするつもりだ。 「いつも通り、ウチらしい粘っこい野球をやっていきますよ」 監督、首脳陣、ナイン、そしてファン。すべてが熱くつながった猛虎軍団が、頂点への最後の1歩を踏み出す。 |
2夜連続のさよなら勝ち (阪神6-5ダイエー) 甲子園 10/23 阪神ファンの夢を乗せた阪神金本の打球は低い弾道で右翼席に消えた。2試合連続のサヨナラ劇。奇跡的な幕切れで、連勝し阪神はタイに持ち込んだ。史上初の2試合連続サヨナラ勝ちに、お立ち台に上がった星野監督は「夢を見ているみたいだ。でも甲子園は選手を本当に後押ししてくれる」と興奮を隠し切れなかった。 延長10回に劇的な1発を放った金本は「もう言葉がない。弾道が低かったので入ってくれと祈っていた」とこちらも興奮状態だった。 第1戦に先発した井川を中4日で先発させ、初回に3点を先制する絶好の展開。しかし、エースが7回に崩れて同点にされ、8回には2番手の安藤が押し出しの四球。流れはダイエーに傾いてしまった。しかし、それを断ち切ったのが金本だった。その裏、四球で出塁すると盗塁し、アリアスの適時打で同点のホームを踏んだ。「何とか明日勝って王手をかけたい」。ヒーローは満員のファンに宣言した。 幾多の修羅場をくぐり抜けたクローザーは、感覚が違う。同点で迎えた九回一死三塁。ウィリアムスは、絶体絶命のピンチを楽しむかのようにマウンドへ歩いていった。 「自分が出る状況が早く来ないか、ずっと待っていた。アドレナリンが出るのがわかったよ」 リガンがセットポジションで静止していないという“疑惑のボーク”。待っていた初陣は一死三塁の場面だった。 松中を四球で歩かせて城島と勝負。内角スライダーを、敵のキーマンに引っ掛けさせた。三塁・沖原が突っ込み、本塁へ送球。クロスプレーで勝ち越し点を阻止した。 バルデスは外へのスライダーで空振り三振。剣が峰を乗り切って雄叫びをあげた。十回も続投し無失点締め。サヨナラの感激の前では、転がり込んだ勝利投手の栄誉もおまけでしかない。 「ウィリアムスは完ぺきやった。あそこがデカかったです」。ざわめきに包まれたお立ち台。星野監督も、度胸満点のリリーフを褒めちぎった。もう後がない場面でプレッシャーを跳ねのけた大仕事に感謝だ。 ドジャースから入団して1年。初の日本球界でリーグ優勝を果たし、日本シリーズまで駒を進めた。豪州から兄のダレン・トゥーイーさん(32)さんを招待し、第2戦までチケットを用意。だが、まさかの連敗で出番はなかった。 弟の雄姿を見ることなく帰国した兄に、いい知らせを届けたい。今オフ、豪州で親戚を集めたパーティーを計画。ディナーの“つまみ”は、日本シリーズの録画ビデオ。逆転フィナーレの劇的日本一しか考えてない。 「歓声が、シーズンより大きく聞こえたよ。今後の勢いにつながっていけばいいね」 オレが控えている限り、ホームベースは踏ませない。メジャー仕込みの“かみそりスライダー”を武器に、ブルペンから駆けつける。 |
さよなら勝ち (阪神2-1ダイエー)甲子園 10/22 飛球が舞い上がった瞬間、ベンチが、大観衆が沸き上がった。「できるだけ飛んでくれ!」藤本は祈るように一塁へ向かった。距離は十分だった。中堅深くでダイエー・村松が捕球すると、三塁からアリアスがスタートを切った。サヨナラだ。星野阪神が、劇的にシリーズ初勝利をつかんだ。 しびれる場面だった。延長10回裏1死満塁。打席に入る前、指揮官が藤本に近づいた。「結婚したばかりやろ。ヨメさんにええとこ見せてこいや」パンと肩を叩かれた8番打者は、力みなく篠原の初球、カーブにバットを出した。白球が、甲子園の夜空へ飛んだ。18年ぶりのシリーズ勝利を決める中犠飛となった。 大観衆のメガホンが打ち鳴らされる中、藤本がお立ち台に立った。9月15日、裕貴夫人(23)と入籍したばかり。「最高です! あのまま打てないと、家に入れてもらえないかと…」とテレ笑い。今季は激しい遊撃争いを勝ち抜き、打率3割を残した。充実のシーズンを過ごした26歳が、大舞台で星野監督を男にした。 まさかの2連敗で戻ってきた本拠地・甲子園。初回、先発のムーアが川崎、井口、松中と3連打を浴び、あっさり先制された。だが、今季、本拠地で7割5分4厘という驚異的な勝率は、シリーズでも変わっていなかった。 4回1死、福岡ドームでは2試合で1安打に終わった金本が、バックスクリーン右へ豪快に同点ソロを放りこんだ。ムーアは2回以降立ち直る。8回から登板した2番手・吉野は3イニングをピシャリ。じっくり流れを引き戻し、最後は再三、好守を見せていた藤本が決めた。 流れを引き寄せようと懸命に腕を振った。本拠地で大観衆の声援を背に受けて先発の助っ人サウスポー・ムーアが燃えた。7回を4安打1失点。「自分でこういう投球をしようというのが、頭にできあがっていた。それを実行できたのがうれしいよ」同点のまま8回から吉野にマウンドを譲ったが、最高の舞台で自分の投球ができたことを素直に喜んだ。 立ち上がりの一瞬のスキを、タカ打線に突かれた。初回、先頭の柴原を三振に取ったが、川崎に中前安打、井口にも右前安打を浴びて一、二塁のピンチ。松中に先制の右前適時打を浴びてしまった。それでも踏ん張った。「初回を1点で切り抜けられたのが大きかった。みんなが必死で守ってくれたからだよ」と笑顔を浮かべた。城島を三ゴロに打ち取って本塁で井口をタッチアウト。最少失点に抑え込んだ。 |
第2戦も完敗 (阪神0-13ダイエー) 福岡ド-ム 【1回】なんとしてもタイに持ち込んで甲子園に帰らんとアカン。強い思いを胸に、今岡が柔らかい打撃で塁に出た。追い込まれながら、一、二塁間へ流して右前へ運んだ。赤星がきっちり送って1死二塁と、先制機をつかんだぞ。ところが、金本が低めの139キロ直球に手が出ず見逃し三振。桧山も右飛に終わった。 さあ、伊良部が初のシリーズのマウンドへ歩を進めた。落ち着き払った態度が、何とも頼もしいやないかい。先頭の柴原を一塁ゴロに抑えたが、川崎に中前へ運ばれた。井口は二飛。打者松中のとき川崎に二盗を許し、窮地に立つ。なんとか怖い松中を一塁ゴロに仕留めた。 【2回】右のパワーヒッター3人が、左腕の杉内と対決や。広沢は速球を果敢に振ったが三振。アリアスもタイミングを狂わされ遊ゴロ。ここで浜中が登場や。懸命のリハビリでシリーズに間に合わせた努力に、左翼席から大きな拍手が起こる。三塁線への強いゴロは、川崎の好守備に阻まれた。浜ちゃん、振れてるから次は頼むで。 伊良部が、外国人2人にピンチに立たされる。1死後、バルデス、ズレータに連打され一、二塁。村松は投前への内野安打で、なんと満塁になってもうた。アカン、鳥越にセンターへ二塁打された…。走者一掃や。0―3。続いて柴原にも左前に打たれ、一、三塁や。佐藤コーチと話して、気持ち切り替えていこう。川崎の打席で、柴原がスタート。これを矢野が迷わず送球し、タッチアウト! 2死三塁や、踏ん張れ! ところが、川崎に左中間へ三塁打されてもうた。0―4や。井口の深い遊ゴロを、藤本がなんとかさばいた。4点差か。「逆転のトラ」を見せる舞台装置と思って行こう! 【3回】先頭の矢野はチェンジアップを見逃し三振。藤本が左翼線に狙い打って、1死一塁や。今岡は二飛、赤星は二ゴロで0点や。 その裏、伊良部がまた打たれてもうた。1死後、城島に左中間へ2号ソロを許す。打った瞬間に分かる一発に、球場の左半分は沈黙や。うーん、苦しい〜。続くバルデスにも大きな当たり…でもなんとかフェンス際で赤星が押さえた。ズレータは空振りの三振。0―5か。ますますしんどくなってきたぞ…。 【4回】今こそネバサレ魂を見せるときや。先頭の金本が右安。さあ、先頭打者が出たで! ところが、桧山が一塁ゴロで併殺。広沢は外角球を振らされ、三振や。結局3人で終わってもうたがな。 ダイエー打線は伊良部にタイミングがぴったりや。先頭の村松に、球筋をきっちり見定められて中前打で出塁。鳥越を歩かせて無死一、二塁となったところでついに伊良部はKOだ。静まり返ったベンチに伊良部の巨体が消え、代わりに出たのは吉野。柴原に送られ、1死二、三塁とされる。乗ってる川崎を空振り三振でなんとか2アウト。右の井口を敬遠気味に歩かせ、松中を投ゴロに仕留めた。吉野は自分の仕事をしてくれたぞ。まだ終わってへん! 【6回】流れを変えたいんや! でも、そううまくはいかん。藤本二直、今岡右飛、赤星遊ゴロ。いいとこなしや。 この回から、一塁には八木が入った。大ベテランがついにシリーズの舞台に。守りからでも反撃の姿勢を見せてくれ。2イニング目の石毛は、先頭の柴原を三振、川崎は遊直、井口は捕邪飛。初めて3人で抑えたぞ。ほんのちょっと、薄日が差した? 【7回】打順がいいぞ、さあ反撃や!と思期待してんけどなあ…。金本、桧山、そしてシリーズ初打席の八木と三者凡退や。 マウンドには4人目の金沢が上がりました。先頭の松中にセンター前へ運ばれ、いきなりのピンチ。1死後、バルデスにも中前へ打たれ一、二塁。ここでズレータや。左中間の中段へなんと3ランを食らってしもうた。わき返る福岡ドームの歓声が耳に痛い…。2死から鳥越に四球を与え、柴原の中越え二塁打でもう1失点。川崎には右翼へ三塁打され、また1失点。0―10にされてしまったぞ。 【8回】シリーズはこれで終わりとちゃう。立て直すためにも、反撃態勢だけでも作ろう。そんな思いからか、1死から浜中がバットを折りながらも左前に弾き返した。ところが、矢野は三振。藤本は遊ゴロや。どないしようもあれへんわ…。 捕手には野口、三塁には沖原が入った。先頭の松中に、右中間二塁打され無死二塁。代走には本間が出てきた。城島の投ゴロを、今度は金沢が二塁へ悪送球! 無死一、三塁とピンチが広がった。バルデスは、右翼へ3ラン。0―13。もう言葉もあれへん。 【9回】ダイエーのマウンドには新垣が上がった。このシリーズの抑え候補や、嫌な印象だけでも与えとこうか。先頭の今岡が三塁への内野安打。でも、あとが続けへん。最後は桧山が右飛で試合終了や。 投手陣が崩壊し、打線は沈黙。でも、ものは考えよう。悪いところが全部出尽くしてんから、あとは良くなる一方だと信じよう。甲子園での第3戦では、熱狂的な虎ファンが後押しをしてくれる。一日休んで気分を変えて、ネバーサレンダー・シリーズにしてくれ! |
初戦はさよなら負け (阪神4-5ダイエー) 10/18 福岡ドーム 先発の井川が三振もとるも、ダイエーの強力打線につかまって5回でKOされた。 その後はリガン、安藤とつないでなんとか接戦に持ちこんだが、さよなら負け になった。ダイエーの強力打線に力負けした。 4−4で迎えた九回二死一、二塁。ズレータの左中間への打球が、背走を続けた赤星のグラブの先をかすめて人工芝で跳ねた。 星野監督の電撃勇退が決まった16日から2日がたった。自問自答の末に結論を出しただけに、少しは熟睡できると思っていた。しかし、今までとまったく変わらない。夜中に寝返りを打つ回数までも同じ。「今はとにかく、ゆっくりと寝たい」という願望はまだ満たされない。それが現実だ。 最初は友人たちの反応が怖かった。一度切った携帯電話がまた鳴る。相手は変わっても内容は一緒だった。 「よく、今まで頑張ってきた」「ご苦労さん。ありがとう」−。理解を示す温かい言葉に声が詰まる。今は選手に説明はしない。だが、ナインも同じ反応であることをひたすら願う。 「何でこの時期に…」という声も知っている。だが、2年間のタテジマ生活で育てた選手は、動揺して、われを忘れるようなことはない。今は信じるだけ。残された道はそれしかない。 先発・井川の乱調で中日時代の平成11年からのシリーズ連敗が「4」となった。しかし、矢野が2点三塁打を放った。アリアス、桧山のバットからも適時打が生まれた。最後の打球を追いかけた赤星の執念…。収穫はあった。 「負けるときはこんなモンやろ」 決戦前の「選手のための日本シリーズなんや。アイツらは必ずやってくれる」という言葉にウソはない。祈りにも似た信念が体を突き動かす。そして、その思いが勝利を呼ぶ。 どんなに殴られても、試合だけは壊せない。ひん死の状態の中、支えとなったのは20勝の誇り。阪神・井川はチームのためにマウンドに立ち続けた。敵地で浴びた安打は9本。名誉あるシリーズ開幕投手で、頂上決戦の怖さを思い知らされた。 「粘れたと思うんですけど…。今シーズンで一番、悪かった。なかなか修正することができなかったですね」 一回に柴原、川崎を連続三振で滑り出し。二回には松中、城島の大砲コンビも連続で三振に斬ってすてた。シリーズ記録の1試合13奪三振に迫る勢い。だが逆球が幸いした『結果オーライ』では、パの覇者をだませなかった。バルデスに四球を与えると、乱れがさらに増幅される。ズレータ、村松に連打を浴びると、四回には、ストレートを城島に左翼席中段まで運ばれた。“安全パイ”だったはずの9番・鳥越にまで犠飛を許し、3失点。5回91球でマウンドを降りた井川。10月10日に20勝を挙げてから、わずか8日。エースのバイオリズムは下降線に入ってしまったのか。 「きょうは高かった。最近の中では一番、コントロールも悪かった」 佐藤投手コーチも不調を認めた。初めて味わうシリーズ独特の空気。ドームに共鳴する敵への声援の中で、24歳が、もがいていた。次は、中4日で第5戦の先発。リーグ一の左腕が機能しなければ、頂点は見えてこない。 |