狂王の  試練場




邪悪な魔法使いワードナを倒し、彼が盗み出したアミュレットを

取り戻せる冒険者を求む。リルガミン城主トレボー サックス


プロローグ

都市の周りを、厚く高い塀で囲まれたリルガミン城塞都市の上空は、きょうも厚い雲で覆われていた。ながい冬が終わり、春もなかばを過ぎて、もう初夏も近いころだというのに近郊の森や草原に、新緑の姿は見る事ができなかった。城から盗み出されたアミュレットの力は、正しく使う事ができれば、自然の力を増幅し、秋には作物等の収穫を増すこともある。だが、それを盗み出したワードナという魔法使いは、その力を王国の繁栄の為になどは使わずに、自己の魔力の増幅と、それに伴う闇の力の増幅の為に使っているようだ。おかげでこの王国は、アミュレットを盗まれた数年前の冬の夜から、季節はずっと、薄暗い冬の形相から変化していなかった。
       
アミュレットの力は強大だった。だが、そのパワーを使いこなせた者は、この世界の歴史の中でまだ二人だけだった。一人はそのアミュレットの力と熱狂的な野心で、辺境の小さな街でしかなかったリルガミンを、他に例を見ない程の強大な軍事力を持つ城塞都市へと、単身一代で築き上げた狂王トレボー。もう一人は、より強力な魔力を求める自己の欲望の為に、トレボーの側近でありながら、その絶対的なパワーを秘めたアミュレットを、巧妙に盗み出した魔法使いワードナである。ワードナはアミュレットを手に入れるとすぐ、彼が長年構想していた地下迷宮を、その夜の内に城塞都市の地下深くまで作り上げると、その最下層へと消えていった.....
       
トレボーは怒り狂った。アミュレットを盗み出されてからすぐに、ワードナの迷宮へ最強の軍隊を送り込んだ。
しかし、底知れず暗く、狭く、罠だらけの迷宮を、大軍で攻めるのは不可能だった。おまけに中には、ワードナの召還した、別次元の怪物や太古の竜、凶悪下等生物に異国の殺人者、邪教の僧侶等がいっぱいで、深く潜るほどより強力に成り、兵士の進行を妨げた。もうアミュレットを持たないトレボーの軍隊には限りがあったが、ワードナの怪物どもは無限に沸いて出ているようだった。トレボーは苦悩した上で軍隊を退却させた。そして各地に、おふれを出した。

         
冒険者の皆さんは、迷宮入り口へどうぞ…


☆城に帰る☆


☆☆迷宮入り口☆☆