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アナグマ出現

No.191(2013.07.29)


数日前のこと、早朝から始めた洗濯を終え新聞を読んでいると庭先から何やら動物のうなり声が聞こえてきました。

見に行くと犬小屋の前にアナグマがいて威嚇する姿勢をしていました。

アナグマの視線の先を見やると、犬小屋の横で我家の愛犬パルちゃんがアナグマを友好的にながめていました。

私が大きな声で脅かすとアナグマは驚いて犬小屋の中に入ってしまいました。

それを覗きに来るパルに対してアナグマは声をあげ威嚇し、今にも噛みつきそうな勢いで時々顔を勢いよく突き出していました。

危うしパル、と感じた私は雨傘を手にして庭に出ました。

アナグマを犬小屋から追い出そうと傘の先でアナグマの眉間を突くも、怯まずに断続的にうなり声をあげながら唾を飛ばし、時折飛び出すような動作をしつつ威嚇を続けました。

図体は小さいものの威嚇するその形相は極めて恐ろしく、さすがは野生動物だ、と妙に感心してしまった私。

私とアナグマとが戦闘状態になっているにもかかわらず、パルは吠えるでもなく横からアナグマの様子をうかがいに犬小屋の前に顔を出したり引っ込めたりしていました。

今にも噛みつかれそうな危なくってしょうがない様子なのでパルを離れた場所に移動させました。

アナグマの習性を考えると正面攻撃をしても犬小屋から出てくることはないと気付いた私は作戦変更。

壊れた布団干しの部品で先がL字に曲がったステンレス製のパイプを持ち出し、先っちょをアナグマの尻の後ろに横から入れて引っ張り出すように動かしました。

勢いよく飛び出してきたアナグマは私の足の近くに来ましたが噛みつかずに方向転換して庭を横断して家の前の道路の方へ走って行きました。

どこへ向かったのか見ようと私も道路に出たところ、コンクリート製の板で上を覆ってある隣家の側溝下からうなり声がしました。

正に穴に入ったアナグマです。

そういえば以前飼っていた犬が散歩の帰りにその穴を覗こうとして引っ張って行った際に聴いた声と同じでした。

当時は何の動物か分からず、タヌキかなぁ、くらいに思っていましたが。

穴から追い出そうと考え、布団用の物干しざおを暗くて中が見えない穴に思いっきり何度か突っ込んでみました。

が、アナグマの身体に当たった手ごたえはなく、穴の中から断続的にうなり声が聞こえてくるばかり。

ぐやぢい。(失敬)

このまま我家の近くに居座られては困るので、別荘管理事務所に電話をして相談することにしました。

野生動物の被害に関しては忌避剤があることをお知らせして対応している、との所長による一般論的なお話。

私が現状を詳しく説明し、助言を求めたところ、管理員さんが来てくれることとなりました。

管理員さんが現況を確認した後、どうやって追っ払うかについて話し合いました。

発煙筒を投げ込む案もあったものの、側溝のコンクリート製の板で覆ってあるところから先にはグレーチングが載せてあり、そこから煙が拡散してしまい十分な燻し効果が得られないと思われたためボツに。

家の前の道路には緩やかな勾配があり、なおかつアナグマが潜んでいるのは勾配の低い側だったことから、水攻めにすることに最終決定。

コンクリートブロックと土嚢袋でアナグマの潜む側の出口を塞ぎ、側溝上流から水を流し始めました。

水が溜まってくるとコンクリート製の板で覆ってある部分約3メートルの中を時折うなり声を発しながら行ったり来たりしていることが音で分かりました。

管理員さんは気が付かなかったのですが、私は一瞬水しぶきの音が移動していったように聞こえました。

グレーチングのそのまた先は、1メートルくらいのふた無し部分に続き、隣家のさらにお隣さんの入り口側溝が鉄板でふたをされている約2.5メートルの部分になっています。

そこまでの距離は最初に塞いだところから約10メートル。

私が確認のために、その鉄板の下に木の枝を入れてみると、、、

うなり声とともに顔出し威嚇。

アナグマは既にそこまで移動していたのでした。(速っ)

即座に今度はそこを塞いで水攻め続行。

加えて私が鉄板の上で足を踏み鳴らす音攻めも喰らえっ!

水がかなり溜まって苦しくなってきたのでしょう、アナグマが反対側からちらっと顔を出し、上に立っていた私と目が合ったため急いで中に引っ込みました。

その時の横顔はカワイイ小動物のそれ。

これでは逃げるに逃げられなくて困るだろうと気付き、私は出口側から離れて様子を見ることにしました。

程なく、濡れ鼠状態になり小っちゃくなったアナグマが這い出してきてトボトボと逃げて行きました。

やれやれ、これに懲りてもう我家に近づくことはないだろう、っと一安心。

それにしてもアナグマにとって命がけだったとは言え、威嚇した時の形相の恐ろしかったこと恐ろしかったこと。

緊迫感なしに平和ボケした日々を送っていると失ってしまうものもあるのだと実感した出来事でした。

やっぱアドレナリンは侮れリ~~~ン!

っと無理筋なアナグラムで御終い。(失礼)


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