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無用な薬の常用

No.110(2003.04.04)


私の父方の祖母が90歳で亡くなった際に、火葬場でしっかり形を残したままの頭蓋骨を目にした時は驚きました。

祖母は元来医者嫌いで薬を信用していなかったようでした。

年老いてから身体が不自由になり脳軟化症と診断されたもののその後自力で回復してしまうという強い精神力の持ち主でもありました。

抗がん剤など強い薬剤を多用して亡くなった方の遺骨は粉になると聞いたことがあります。

遺伝により生まれつき骨が丈夫だったこともあるでしょうが、祖母の場合はその逆でほとんど薬を飲まなかったことが死ぬまで骨が頑丈であり続けた理由かと思われます。

食欲が無ければ食事を一食抜き、軽い風邪をひいても横にならずに座って安静にしているというように、自分の身体のことは自分が一番分かるという姿勢を貫いた人でした。

ところが彼女の息子である私の父は若い時から薬が大好きな人でした。

健康増進のために毎日黄色い錠剤を何錠も飲んでいましたし、新しい目薬が発売されるとすぐに買って試してみたりしていました。

もちろん風邪をひいた時には家庭用の風邪薬を愛用していましたし、お腹の調子が悪いとすぐに胃腸薬に手がのびていました。

そんな父は壮年期に結核を患い、治療のために用いたストレプトマイシンの副作用で難聴になるという薬害も体験しています。

私からみて理解不能なのは、父が薬でそれだけ酷い目にあっているにもかかわらず、それ以降も病気になれば医者頼み薬頼みで自身は何も努力しない、という完全に他力本願な姿勢で生き続けられたことです。

胃潰瘍になり医者から食事指導を受け実践したものの長続きせずに数年後に再発ということを2回繰り返し、老年になってから3度目の正直か出血性胃潰瘍で死にかけたこともありました。

祖母とは正反対で自分の身体のことが自分でもよく分かっていない人のようです。

そんな父は5年くらい前にパーキンソン病と診断され、年々病状が進行しています。

この難病の原因はまだ究明されていません。

が、私の父の場合は若い頃からの薬の常用も発病の一因ではないかと疑っています。

病気の種類によっては薬の常用が不可欠なこともあるでしょうし、私には薬剤を全面的に否定しようという意図はありません。

ただし家庭で風邪薬や胃腸薬、目薬、咳止めなどに頼るのが普通、という現状に危機感を感じています。

加工度が高く何が入っているか分からないサプリメントや健康食品なども薬の仲間だと私は考えています。

自ら自分の身体を複合汚染する。

そんなことを長く続けているといつか元には戻れないところまでいってしまうのではないか。

私自身はまず自分の身体の声に耳をかたむけるよう心がけているつもりです。


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