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地方行政に接して (8)

No.89(2002.07.13)


自治公民館長(行政区長)をしていた時に「青少年育成○民会議(○には市区町村が入る)」への出席を促されました。

どういう活動をしているのかが組織の名前からは想像できませんでしたので興味津々で会議に臨みました。

教育長、教育委員や学校関係者がいるのは当然ですが、青年団、婦人部などなど頭数をそろえるためではないのかとも思われる面々が呼び集められていました。

内容は、小中学校のそれぞれ生徒指導担当の先生による地域の生徒学生が最近起こした問題の報告でした。

犯罪にまで及ぶ可能性があるためか警察の人間も同席し、場合によっては青少年による事件の経緯の説明もありました。

私には年に数回開かれるこの会議の存在意義がどこにあるのかさっぱり分かりませんでした。

会長が「青少年非行ゼロ宣言」なるものを読み上げた時には、参加している人達の頭は大丈夫なのかと心配する自分の方がもしかしたら変なのか、とさえ感じさせられる始末でした。

今は使わなくなったワープロに8年前公民館長を終えた際に首長に提出した報告書のデータが残っていました。

そのなかのこの会議に関する部分を恥ずかしながらそのまま以下に引用します。

* ここから引用 *

青少年育成○民会議について

過去において、○内(○には市区町村が入る)で校内暴力の問題があった事は、私も耳にしておりますし、当時、それは全国的に、大きな社会問題として扱われていたと記憶しております。
その対策としてこういった組織が作られたのでしょうか。
いつ、どの様な経緯でこういった活動が始まったのか分かりませんが、現在の会議には、率直にいって実効性はほとんどないと思います。
私の印象を一言で言うと、『基本的に生徒指導の先生に全責任がある事を常に明確にしておく』為にのみ機能しています。
「いじめ」が社会問題化している今日、原点にもどって、この名称に相応しい活動に軌道修正すべきだと思います。
私は、青少年の問題行動の根本原因は、子供達の大人及び大人が作った社会に対する不信感にあると考えています。規則で縛って押さえ付けるという今の姿勢では、その不信感はますます大きくなっていくだけです。
会議の席上でも提案させていただきましたが、子供達の生の声を聞く方法を、検討していただきたいと思います。
その場合子供達は社会的弱者ですので、特例的に匿名性を確保する事が好ましいと考えます。できれば、現代っ子の好きな電話を利用すると良いと思います。

* 引用終わり *

あれから8年。

もはや個人の情熱、熱意を萎えさせるという構造的欠陥のある組織しか存在し得なくなってしまったこの国では、まず個人個人の意識改革から始めるしかないと痛感しています。


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