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農村で暮らす (14)

No.70(2001.12.13)


人口の少ない町村ではほとんどの人達がお互いに顔見知りです。

そんな社会では私のようなよそ者はすぐに地元の人間ではないと見破られてしまいます。

かつて観光地として栄えた場所でもあったためか移住直後の頃はどこのお店に行っても必ず「旅行ですか?」と訊かれたものです。

東京から越してきたと話すと既に噂話で私のことを知っている人も多かったです。

知らない人の場合はまず私に住んでいる地区を尋ねてきます。

それに答えると次にはそのお店の人が知っている私の地区内の住人の名前を挙げ、さらにどのような関係かも述べた後で私にその住人を知っているかとさらに質問してきます。

私がその人を知っていると話すとやっと安心するように見えました。

お互いの接点がどこかにないとなんとなく不安を感じるようでした。

後に地元の人同士でも初対面の時には同様な手順でつながりをみつけることが分かりました。

率直に言って都会育ちの私は奇異な印象をもちました。

しかしよくよく考えてみると人間関係におけるこのような慎重さは当然だしある意味合理的でもあると気が付きました。

どこの誰だか分からない人間は簡単に信用してはいけない。

残念ながらいつでもどこでもこれが人間社会の常識です。

共同体が機能しているとこの人間関係における安全確認を正確かつ迅速に行なえます。

共同体がほぼ崩壊してしまった大都会で私が人間不信になるのは当たり前のことだったのです。


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