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農村で暮らす (3)

No.59(2001.08.20)


11月に農村へ移住してもすぐに近所付き合いを始めたわけではありません。

当時30戸弱からなるその小集落の長を務めていた方の配慮で、新年度を迎える区切りのよい4月から仲間に加えてもらうことにしたからです。

それでも家が近い数軒のお隣さんには引っ越してすぐにご挨拶に伺いました。

私がどのような人間か分からないので地域の方々は不安とともに警戒心ももっていたようでした。
後々に聞いたのですが、元過激派が爆弾を作るのでは、という何の根拠もない噂話もあったそうです。

さて、実生活をするうえでの問題は上水道が完備していないことでした。
もっとも翌年の4月に町営水道が完成することを承知していたからこそ購入を決めた物件でしたが。
それまでは先住者が掘って使用していた浅井戸を使う予定でいたのです。

ところが何故かその年のその時期には記録に残るほどまったく雨が降らず、そのため井戸が涸れてしまったのです。

悪い事は重なるもので蛇口から水が出なくなった丁度その日に、刈った草を燃やしていてボヤ騒ぎを起こしてしまいました。

大きな山火事になったら大変だと思い119番に電話をしたので、最終的には隣の市から消防車が駆け付けるという大騒ぎになってしまいました。
消防団というものの存在を知らなかったための失敗で、まず役場に連絡すればよかったのです。

過疎化がすすんで普段は人気がないのにその一件の時には何十人という野次馬が集まったのには驚きました。

最悪の事態で衆目をあつめてしまった後に、もらい水をしなければならない数ヶ月に渡る不便な生活が始まりました。


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