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デジタル規格の不透明性

No.25(2003.01.11)


1年程前にCD屋さんで試聴していて気に入った作品は、映像を伴ったDVDとしても発表されていました。

ちょうどDVDを再生できるパソコンを買った直後だった私は、少々の差額だったらDVDの方がお得かも、と思い付いてそちらの方を買いました。

その作品には「パソコン搭載のDVD-ROMプレイヤーでの動作は保証していません。」というちょっと気になるただし書きが、パソコンでの推奨動作環境というそれとは矛盾する内容と併記されていました。

さらに「上記を満たすPCの中でもハードウェア等の機種、構成によっては正しく動作しない場合がございますので、あらかじめご了承ください。」という予防線ともとれる意味深な文章も添えられていました。

対応しているOSが日本語版Windows95/98,NT4.0,2000とされていて、私のパソコンのOSWindowsMEが表記されていないことにも若干不安を感じたものの、それまでにWindowsME対応とされていないWindows98対応ソフトが問題なく使えたという経験が何度かあった私は、それを深刻にとらえていませんでした。

普段は何事も「駄目かもしれない」と慎重かつ悲観的に考える私が何故かこの時は「大丈夫だろう」と安易にかつ楽観的に決めてしまっていたのでした。

ここまで読めば想像がつくでしょう。

そうです、私のパソコンではこのDVDを再生することができませんでした。

おまけで付いているDVD-ROMコンテンツ(ゲーム)にもアクセスできず、無理に開こうとしたらフリーズするという余計なおまけまで付いてきました。

ハードウェア等の機種、構成の問題かOSがその原因と思われます。

いまだにDVDプレーヤーをもっていない私は、今後プレーヤーを買う際にはこの作品が再生できることを機種選定の条件にすることにしています。

以上はまだ規格として確定していないDVDでのお話ですから、まあ仕方がない面もあります。(<自己弁護)

実はここ数年間に、音楽CDでも相性なのか何なのか再生できない作品が数点ありました。

それらの音楽CDは、CDラジカセではなんら問題なく再生できるのに、以前このコーナーで載せた15年前のLD/CDコンパチブルプレーヤー、パイオニアCLD-99Sでは聴くことができないのです。

音楽CDの規格も知らないうちに追加変更されたのでしょうか。まったく姑息なこの業界です。

これらデジタル規格の不透明性は、技術的な問題ではなく業界の体質に起因するのではないかと思っています。

Gコードがないとビデオの留守録画を設定できないというような人が多数派であるという現状を認識しておきながら家電までIT化しようとする動きは、無意味であるだけではなく非常に危険であると指摘せざるを得ません。

利便性の追求が必ずしも幸福をもたらすわけではないことに、多くの人達が気が付き始めているのではないでしょうか。


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