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何か変だぞ発芽玄米

No.20(2002.10.18)


私が発芽玄米なるものを初めて知り、そして食したのは今から10年前でした。
東京で催された久司道夫氏のマクロビオティック・セミナーに参加した際の昼食のお弁当に使われていたのです。(記憶では加藤農園が調理したもの)

この時の発芽玄米は既に炊かれた状態でしたからどのように発芽させ調理されたのかは不明でした。
食べてみると美味しいのですが、普段玄米を食べていた私には普通の玄米と比べて大きな違いは感じられませんでした。

それから少し経って自然食品の販売をしている知人宅に遊びに行った際に、製品化された発芽玄米を見せてもらい、知人が製造元から聞いたその製品の長所を説明してくれました。

普通の玄米に十分満足していた私は発芽玄米に興味がわかなかったこともあり、玄米よりさらに身体に良いと言われても半信半疑でした。

まあ、そういうことも言えるかもしれないなぁ、と軽く考えていた私の判断は甘かったと今は思います。判断ミスです。

そもそも私は、「常に万人に最適な主食は玄米に決まっている」、と信じる玄米教信者ではありません。

実際に食べてみて調子が良いので私の体質には合っていると感じるし、沢山噛むのも苦にならないので基本的に主食を玄米にし続けているだけです。(詳しくは「愚者の体験記」に)

また玄米に限らず食べ物からいただいているのは栄養素ではなく「いのち」だと考えています。自分が生きていくために「いのち」をいただいているわけです。
食べ物の鮮度を大切にするのも死ぬと同時に「いのち」が失われていくからだと思っています。

玄米は種ですから土にまけば芽が出てきます。いわば一つの完全な「いのち」が眠っている状態なわけで、そこが理想の食べ物である理由になります。

ですから私は虫がわく確立が高くなることを承知した上で、必ず天日乾燥の玄米を選んでいます。機械乾燥だと発芽率が下がる、つまり「いのち」のない玄米が多くなるからです。

さて、皆さんはツタンカーメンというえんどう豆をご存知ですか。
名前から分かるように大昔の豆(種)が発見され、長い間眠っていたにもかかわらず発芽したという品種です。

この例からも分かるように、「いのち」が眠っている種という状態は非常に安定しているのです。

それが眠りから醒めて芽を出すという活性化した状態に移行するということは、一転して不安定な状態に変わるということになります。つまり一旦起きてしまったら成長して実を結ぶまで眠るわけにはいかない、というのが自然の摂理です。

ですから、もし仮に発芽玄米が素晴らしい食べ物であるとしても、発芽直後に炊かなければ「いのち」をいただくことはできないということです。

発芽した状態で乾燥させて売られている発芽玄米は、以上のように自然の摂理に逆らった「いのち」のない食べ物ということになります。

なお、均一化して販売されている種屋さんの種でさえ一度にまいても全ての種がまったく同時に発芽することは稀です。一度でも植物を種から育てた経験のある方なら分かっていただけると思います。

そんなこんなで、私にとって「発芽玄米」として売られている商品は依然として二重三重に疑わしいものにしか過ぎません。

追記(2005.10.12)

その後加藤農園㈱さんより、上記の内容に事実と異なる点があるとのご指摘をいただきました。

私の食した加藤農園㈱さんのお弁当に入っていたのは、発芽玄米ではなく玄米そのままのものだということが判明しました。

ここに誤りを訂正いたしますとともにお詫び申し上げます。

また、加藤農園㈱さんの発芽玄米に関する見解は「発芽玄米は発芽させた後、加熱して乾燥させていますが、長期で保存する場合、一番酸化しにくいと考えます。戦国時代の干飯とお考え下さい。」とのことです。

詳しくはこちらをご覧下さい。


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