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焼酎愛好家の悲哀

No.9(2002.07.03)


ブームになる前はもっぱら庶民の酒であった焼酎の税率が段階的に上げられたのは何年前だったでしょうか。

当時のマスコミは外国(イギリスだったか?)からウイスキーの税率を下げろという圧力があったと報じていました。

洋酒にかけられる高い税率のせいで実売価格が高くなってしまうので消費量が伸びないのだということだったと記憶しています。

確かにその頃までウイスキーやブランデーなどの洋酒は外国旅行の免税手土産の定番で、国内で買った場合との価格差はかなり大きかったです。

ですから洋酒輸出国の主張には一理あったのは事実です。

しかしここから先の国内の対応がちょっと変でした。

洋酒の税率を下げると同時にそれまで酒税が低く抑えられていた焼酎の税率を上げるというのです。

どう考えてもこの二つを論理的に結びつけることができません。

おそらく、税収は絶対に減少させてはいけないという「お役所の掟」を守るためというのが理由の全てでしょう。

要するに焼酎業界が一番狙いやすかっただけのことで、弱い者いじめです。

当時の私はウイスキーも飲んでいたので、サントリーが製造しているようなインチキ臭いものではなく本場物が安く飲めるようになるのはありがたいとも感じました。

引き換えに焼酎は高くなってしまうけれど相殺されるからいいか、などと気軽にとらえていました。

そんな私が現在飲んでいるのは焼酎とビールで、しかもビールは夏場限定ですからほとんど焼酎一本槍と言ってよいでしょう。

嗜好品は日常生活の一部です。

8年間の農村生活でお酒の好みも変わってしまったのです。

今になって簡単に騙された自分が情けないと反省しています。

デフレで物価が下落しているなかで、税率が高くなる前よりも3割以上高い値段で焼酎を買わなければならないことに悔しさを感じます。

そういえば少し前に発泡酒の税率を上げたらどうかという庶民を小馬鹿にした提案もありましたね。

もし税率が上げられていなかったら最近の焼酎ブームは起きていたでしょうか。

私はブームというものほど胡散臭いものはないと考えています。

早い話がブーム仕掛人のマスコミもお役人と「ぐる」ですから。


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