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ウェザー・リポート

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No.19 : 1978/6/28 & 1978/7/2

あらためてチケットをよく見ると最初の方は昼間の公演だったんだ。すっかり忘れている。

この時の来日公演を見に行った人達ほとんどのお目当てはエレクトリック・ベースの世界に革命を起こしたジャコ・パストリアスだったと言っても過言ではないだろう。

もちろん私もその一人だった。

ただ、たぶんこの前年だったと思うが、FMで放送されたモントルー・ジャズ・フェスティバルでの彼らの演奏をとても気に入っていたので、勝手に同じメンバーで来ると思っていた。

そう、アルバム「HEAVY WEATHER」のライン・アップである。特にアレックス・アカーニャのドラムを是非生で見たかったのだ。

残念ながらその夢は破れた。

すでにピーター・アースキンが正式にドラマーとして加入していたのだ。しかもパーカッショニストはいない。ようするにアルバム「8:30」のメンツだ。

4人で大丈夫なんかいな?と心配したが、スタジオ盤とは違う意味でちゃんと音は足りていた。さすがだ。

むしろ、たったの4人でここまでやるか、と驚いてしまったくらいのアンサンブルだった。

私の好みからは少し遠のいたが、ラテン色を薄めてジャズ色を強めるザヴィヌルのねらいが正しかったことを認めざるを得なかった。

ジャコの演奏が期待通り素晴らしかったことは覚えている。それと「見せる」動きの部分を1人で引き受けていた。そのステージ・アクションがけっこうロックっぽいところが妙に嬉しかった。

音楽界にとっては革命だったがジャコ本人はかなり早い時期からその演奏スタイルを確立していたと伝記で読んだ。

生前の彼の数少ない映像作品で、その演奏する姿を見るたびに、永遠のマンネリでもいいから生きていて欲しかったと心底思う。
(1999.08.10記)

追記(2020.02.05)

ネット上ではウェザー・リポートの来日公演に関する情報が少ないらしく、マイナーな拙サイトのこの記事を読んでくださる方がいるようです。

革新的であったジャコの奏法も、もはや「弾き人知らず」になってしまっているといっていいくらい、今では当たり前のように多くのベーシストが身につける必須テクニック化しているように感じています。

一時期の私は、Pedro AznarやRichard Bonaにジャコの面影を感じていましたっけ。

ジャコ的奏法を用いる今現在の若いベーシストは、はたしてジャコを知った上で弾いているのだろうか。

などと思うくらい大きな影響を残しましたね。

で、厚生年金のコンサートに関して記憶に残っていることを追記しておきます。

同会館の舞台(ステージ)には緞帳どんちょうという幕が下がっていました。

当然幕が上がるまで中は見えません。

この時代そのような会場では、最初から幕が上がっているか、またはまず幕を上げて、暗転している舞台にメンバーが登場して準備をしてから演奏を始めるのが一般的だったと思います。

ところが、このコンサートでは緞帳がおりた状態のまま演奏がいきなり始まったのでした。

意表を突かれながらも聴衆はわきましたね。

オープニング楽曲は「Elegant People」でした。

イントロのベースがオクターブ間を行き来する部分が繰り返されながら、少しずつゆっくりと緞帳が上がっていきました。

ステージ上にはジャコとピーター・アースキンの二人しかいません。

ジャコは足首から下だけを使って足首から上を動かさずに左右に滑るように移動していました。

その姿を見た聴衆はさらに興奮させられました。

ピーターはといえば、テクニックの凄さもさることながら、最初っから全力投球全力疾走モードでのハッスル演奏でした。

スタミナがあるドラマーだったのだな、と今にしてあらためて感心します。

二人だけのイントロ演奏は8小節以上続きました。

それからおもむろに、まず上手からウェイン・ショーターが、続けて下手からジョー・ザヴィヌルが登場。

その都度大拍手でますます盛り上がる聴衆。

おもむろにサックスを手にしたショーターがテーマのフレーズを吹き、それに合わせてザヴィヌルも参戦。

この時点で会場は「興奮のるつぼ」(懐かしい、けど死語か)と化したのでした。

現在のハイテクを駆使してショーアップされたステージと比べると、学芸会文化祭的な手作り感のある演出でしたね。

オープニングの印象が鮮烈過ぎて、コンサート全体の記憶が薄れてしまったかもしれません。
(2020.02.05記)

1980年来日公演の記事が下のリンク先にあります。

ウェザー・リポート(2023.03.30記)



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