ティン・パン・アレイ ニュース 3ページ

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細野晴臣レコーディング完了。
タイトルは「トロピカル・ダンディ(熱帯のイロ男)

待望の細野晴臣のニューアルバムがついに完成した。音の方はもうじき耳に出来るはずだが、一足先に、データをおとどけしておこう。

昨年十一月よりレコーディング開始というから約半年かけて制作された、細野2枚目のソロアルバムである。前作「HOSONO HOUSE」から2年、このアルバムで、全くユニークな「トロピカル・サウンド」を完成させている。

プロデューサーとしての細野晴臣の評価はすでに充分高いものがある。その細野がここで完成させたサウンドは、世界的に見ても、全く独自の質を持ったポップ・サウンドに仕上がっている。その新鮮さは聴く者全てに大きな驚きと感動を与えるに違いない。と同時に、ベーシストとして(これは言うまでもない)、ソングライターとしての細野がますます円熟している事を再確認するに充分であろう。

夏には新しいバンドで活動を始めたい!

と細野晴臣は語る。バンド名はすでに決定している。レコード・タイトルと同じ「トロピカル・ダンディ」である。ところがメンバーが未定、このバンドでは細野は、何とベースは弾かないつもりだという事。仲々の美声の持主でありながら、今まであまり聴く事の出来なかった彼のボーカルを、今度のバンドではたっぷり聴けそう。

「トロピカル・ダンディ」に変身し切った細野晴臣は、伝説の世界から今、大陸をはるばる越えて陽気に歌いながら、そこまでやって来ている。

[コボレ・バナシ]
例によって春の夜長細野君が、クラウン・レコードのスタジオでレコーディングをやっていたと、ちょうど、その時は「絹街道」という曲のボーカルを入れていたんだ。この歌は有名な孫悟空の歌で、細野君は今日も快調に進行させていた所、スタジオに悟空ならぬ南こうせつ氏がふらりと遊びに来て、しばらく聞いていた、と、やおらスタジオの中に入り「僕にもやらせて」とコーラスの飛び入り。この「ホイャー、ホイャー」というコーラスが、がぜん好評、おかげでこの「絹街道」シングルカットの最有力候補とか。

全告白
「トロピカル・ダンディ・レコーディング秘話」
ディレクター国吉征之氏は語る!

昨年十一月いよいよ、一同楽しみにしていた細野晴臣氏のレコーディングが開始された。

彼がスタジオに入り、いよいよ音が出るのだなと思い、息をころして待っていた所、本人何かゴソゴソやっているが一向に音が出てこない。どうしたものかとスタジオの中をのぞいてみると、何と!まだ曲が出来ていないそうである。私は、顔面蒼白、全身硬直、もう少しで失禁するところであった。

「細野先生、こまるではないですか、どうしてくれるエッ・・」とにじり寄ると、彼はジリジリと、後ろに下がり、これ又顔面蒼白、体中、油汗タラタラ、「いや次回までにはきっと、きっと・・・」と云う。それではと、当日は中止、何日かたって、又スタジオに入ると、少し曲が出来ていたので、何曲かはリズムパターンのみレコーディングをし、後日またということで終了。これを何日か繰り返しているうち、細野晴臣氏は、大煮つまり人間になり、やればやる程だんだんだめになってくる。これではしょうがないと一同、ない知恵を絞り、一ヵ月間中止することにした。(真相は、私がうっかりしていて一月のスタジオをおさえるのを忘れていて、すでにかぐや姫とイルカのレコーディング・スケジュールが入ってスタジオがいっぱいだったのです。でも、私のミスが後によい結果を生んだのだ!)

一ヵ月の休みの間、彼は久保田麻琴氏に会い、彼より新たなる霊感をさずかり、ファンク人間から、細野"トロピカル・ダンディ!!"晴臣人間に生まれかわったのでアル。

彼は、何かのきっかけをつかみ、軌道にのるともうしめたもの、あとはどんどん、どんどん、一時間一曲の割合で曲は出来る、詩は出来る。もう大変、レコーディングは驚異的なスピードで進行し、もうすばらしい出来で言うことなし、スタッフ一同、部屋中走りまわって、手をとりあって喜んだものである。

さてこのようにして、出来あがったLPがいよいよ六月二十五日皆様の手におとどけ出来る事になりました。(熱帯のイロ男、細野晴臣のポップスの世界が大陸をこえて、ただ今到着)というキャッチフレーズで発売いたします。もうすでに次回のLPの曲も出来、早く録音してくれと細野氏よりせがまれている毎日です。

では皆様お楽しみに。



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