Enterocolitis in children with developmental disorders

Wakefield AJ, et al. Am J Gastroenterol 95: 2285-2295, 2000

 

発達障害児における腸炎

 

(目的)発達障害児における消化管病理所見を明らかにする(回腸・結腸リンパ様結節性過形成と粘膜の炎症所見).この研究は発達障害児の対象グループに特異的な内視鏡的および病理学的所見のいくつかを記載する.その所見は行動学的退行現象や消化管症状に関連しており,検討は小児コントロール群との比較で行う.(方法)回腸・結腸内視鏡検査と生検は,60人の発達障害児(中間値6歳,3−16歳,男児が53人)に行った.50人が自閉症,5人がアスペルガー症候群,2人が崩壊性障害,1人がADHD,分裂病が1人,読書障害(dyslexia)が1人.回腸のリンパ様結節性過形成の程度は3グレードに分類し,炎症性腸疾患が疑われて検査した37人の発達正常コントロール(中間値11歳,2−13歳)と比較した.組織切片は3人の病理学者が検討し,22例の組織学的に正常なコントロールと潰瘍性大腸炎20例とも比較した.消化管病原体も通常の方法で検索した.(結果)回腸のリンパ様結節性過形成は発達障害児の93%(54/58)に存在し,コントロール群では14.3%(5/35)であった(p<0.001).結腸のリンパ様結節性過形成は発達障害児の30%(18/60),コントロール群の5.4%(2/37)であった(p<0.01).組織学的には反応性の小胞過形成が発達障害児の回腸に88.5%(46/52)みられ,潰瘍性大腸炎例では29%(4/14)で,正常コントロールではみられなかった(p<0.01).活動性のある回腸炎は発達障害児の8%(4/51)にみられ,コントロールではみられなかった.慢性結腸炎は発達障害児の88%(53/60)でみられ,コントロール群の4.5%(1/22),潰瘍性大腸炎の20例全員にみられた.発達障害児群と潰瘍性大腸炎群で,コントロール群より有意に炎症頻度と程度が高スコアであった(p<0.001).(結論)発達障害児には,炎症性腸疾患のニューバリアントが存在する.