Small intestinal enteropathy with epithelial IgG and complement deposition in children with regressive autism

 Torrente F, et al. Mol Pshchiat 7: 375-382, 2002

 

退行性自閉症児における,腸上皮のIgGおよび補体沈着を伴った小腸腸症

 

概要:我々は退行現象を伴う自閉症児において,腸上皮のダメージが優位なリンパ球性腸炎を報告した.今回,25人の退行性自閉症児の生検十二指腸組織を,11人のセリアック病,5人の脳性麻痺・精神発達遅滞児,および18人の組織学的に正常なコントロール群と比較検討した.免疫組織化学検査は,リンパ球,上皮系細胞,そして機能マーカーについて行った.我々は上皮内リンパ球および固有層内リンパ球のマーカーおよび,粘膜免疫グロブリンと補体C1qの局在を検討した.標準的組織病理は,自閉症児において腸細胞(enterocyte)とPaneth細胞の増加があることを示した.免疫組織化学では,正常コントロールおよび脳性麻痺コントロールと比較して,腸上皮および固有層の両方でリンパ球浸潤が増加し,陰窩細胞増殖の亢進がみられた.上皮内リンパ球および固有層形質細胞はセリアック病よりは少なかったが,固有層のT細胞分画がより増加し陰窩細胞増殖は類似していた.最も著明であったのは,IgGの沈着が血管側壁の上皮表面に自閉症児の25例中23人で見られたことで,補体のC1qの沈着と同じ場所であった.この所見は他のグループでは見られなかった.これらの所見は自閉症児において,これまでに報告されていない腸症(enteropathy)が存在することを示しており,腸において粘膜リンパ球密度と陰窩細胞増殖が上皮IgG沈着と共にみられる.これらの所見は自己免疫性病変を示唆するものである.