Colonic CD8 and gamma delta T-cell infiltration with epithelial damage in children with autism

Furlano RI, et al. J Pediatr 138: 366-372, 2001

 

自閉症児の腸における,上皮障害を伴う,CD8+T細胞およびデルタT細胞浸潤

 

概要:(目的)我々は回腸リンパ様結節性過形成を伴う結腸炎を退行現象のある自閉症児において報告した.本研究の目的はこの病変の特徴を検討し,リンパ様結節性過形成が自閉症に特異的なのかを検証する.(方法)回腸-結腸鏡により,腸症状を有する自閉症スペクトル児21例で連続的に評価した.比較はブラインドで行い,組織学的に回腸と結腸が正常の8例,回腸のリンパ様結節性過形成を持つ発達正常の児童10例,クローン病15例,潰瘍性大腸炎14例を検討した.免疫組織化学検査にて,細胞種類と機能マーカーを検討し,組織化学検査で,glycosaminoglycansと基底膜の肥厚を検討した.(結果)組織所見では典型的な炎症性腸疾患よりも軽度であるが,自閉症児においてリンパ球性腸炎があることが示された.しかし,基底膜の肥厚と粘膜のガンマ-デルタ細胞密度は他の対象群に比べ有意に増加しており,炎症性腸疾患のケースよりも増加していた.CD8陽性細胞の密度と腸上皮内のリンパ球の数はクローン病,リンパ様結節性過形成,そして正常コントロール群に比べ増加していた.CD3陽性細胞と形質細胞密度,および陰窩細胞増殖は,正常群およびリンパ様結節性過形成コントロール群よりも増加していた.固有層でなく腸上皮のglycosaminoglycansは途絶していた.しかし,腸上皮はHLA-DR陰性でT(H)2反応が優位であることが示唆された.(結論)免疫組織化学検査は,自閉症スペクトル児において特異なリンパ球性結腸炎が存在することを確定した.この病態では,腸上皮は特に障害を受けていることが判明した.この所見は自閉症においてエビデンスが増えつつある腸上皮機能障害説に矛盾しない.