MMR and autism: further evidence against a causal association

Farrington CP, et al.  Vaccine 19: 3632-3635, 2001

 

MMRと自閉症:因果関係に反論するさらなるエビデンス

 

MMRワクチンが自閉症の原因であるとする仮説は,当初発達上の退行現象がMMRワクチン接種の後すぐに起こったケースの報告により提唱された.これまでの研究はこの仮説を支持する証拠を得ていない.MMRワクチンが自閉症の原因であるかもしれないが,潜伏期間が短い必要はないとする示唆も最近提示された.この2番目の仮説を検証するために,早期の研究データが再検討された.我々の結果は,この仮説を支持せず,MMRワクチンと自閉症の間の因果関係がないことを示すさらなる証拠を提出する.

(結果)自閉症と診断を受けた357ケース(典型的例と非典型的例)に関し,観察期間の中央値は89ヶ月,最大191ヶ月であった.最高診断年齢は180ヶ月で64例はMMRの接種を受けていなかった.43ケースは2歳以後に1回のMMRを受け,(観察期間の)中央値は57ヶ月,最高値は165ヶ月.62ケースは2回目のMMRを受け,(観察期間の)中央値は54ヶ月,最高159ヶ月.診断年齢を横軸に,診断件数を縦軸にプロットした図と,接種年齢を横軸に,接種件数を縦軸にプロットした図を,接種歴のないグループ,1回接種グループ,2回接種グループで比較した(接種歴のないグループの図は診断年齢の図のみ).自閉症診断年齢の分布を解釈するには,フォローアップ期間の差を考慮する必要がある.例えば,接種歴のないグループには,MMRが導入される前のケースが多く含まれ,結果的に古いケースが多くなってフォローアップ期間が長くなっている.このことは,診断件数分布の後半に影響し平均値に影響する.しかし3グループ全てにおいて,ほとんどの診断は24ヶ月から48ヶ月の間になされている.相対発生率は,診断(357ケース),親の懸念(326ケース),退行現象(105ケース)の3つのイベントにおいて,MMRワクチン(1回又は2回)接種後あるいは麻疹ワクチン単体あるいは他の組み合わせでの麻疹ワクチン接種を含む2群で検討された.診断のリスク期間は接種後0から59ヶ月,親の懸念のリスク期間は接種後0から35ヶ月,退行現象のリスク期間は接種後0から23週とし,このリスク期間中に自閉症のイベントが起こった率と,接種後のイベント率(接種後であればいつでも)を計算した.全ての場合で,相対発生率は1から有意には違っておらず,このことはワクチン接種と自閉症の間に摂取後のリスク期間で関連がないことを示している.

(考察)我々の結果は,MMRまたは麻疹を含む予防接種が接種後いかなるタイミングでも自閉症の原因とはならないことを示している.ポイント評価は一般的に統一性があり,信頼区間を狭くでき,解析能力が高いことを示している.単純化に加え,自己適合ケースシリーズ法(self-matched case series method)は,コホート研究やケース・コントロール研究において起こるような個人レベルの混乱に基づくいかなるバイアスをも避けることにおいて有益である.例えば,接種情報の混乱や自閉症の未知のリスクファクターの存在などによるバイアスなどである.我々の研究は,推奨されるスケジュールよりも遅れて接種されたものを含み(脱漏プログラムの一部やブースターなど),MMRワクチン全てに関するデータを使った.2回目のMMR接種がさらに自閉症のリスクを増加させるとする示唆(意見)があったが,我々の結果はそのような可能性を支持しない.我々の結果はまた,正しい状況設定下では,ケースシリーズ法が予防接種の遅発性副反応の解析における強力な手法になり得ることを明らかにした.ケースシリーズ法は元々は特に急性反応を検討するために開発されたものである.一般的に,リスクインターバルが長くなった時,この方法のパワーは無くなる.しかし,接種年齢のひろがりがかなりであるか,ケースの一部がワクチン接種を受けていない場合か,あるいはその両方である場合,長いリスクインターバルでも高いパワーが得られるであろう.結論として,ここで記載した結果は,先に報告した結果と合わせ,MMRワクチンあるいは麻疹が含まれる予防接種が接種後いかなるタイミングでも自閉症の原因にはならないことの強力な証拠を提供する.