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親の自閉症的傾向
(家族内重複自閉症例の検討)


Piven J, et al. Personality and language characteristics in parents from multiple-incidence autism families. Am J Med Gen 74: 398-411, 1997.
(概訳)家族内に2人の自閉症者がいる25家系(家族内重複自閉症)の両親のパーソナリティーと言語の特徴をダウン症児の親と比較検討.家族内重複症例の親は,柔軟性がない(がんこ),一人で行動したがる,批判に対して過敏,心配性などの性格的特徴があり,会話言語や実際的な言語の障害,交友関係が狭いなどの傾向を有する.


(解説)Pivenらが,家族内に2例(以上)の自閉症者がいる家系25家系(家族内重複自閉症)を検討して,報告している論文のひとつです.ダウン症児の親との比較で,家族内重複自閉症児の親に特異的な傾向を選び出し,BAP(Broader Autism Phenotype)スコアーを提唱しています.

BAPスコアー家族内重複自閉症児の親(46人)ダウン症児の親(55人)
0〜1点20人53人
2〜4点26人2人

家族内重複自閉症家系においては,片親がBAPスコアー2点以上が43%,両親が2点以上が38%で,約8割で親に自閉症的傾向があったとしています.父親と母親の比較では,ほぼ同じで,父親の65%,母親の52%がBAPスコアー2点以上とのことです.著者らは,このBAP(自閉症的傾向)を遺伝子解析や遺伝学的検討に加えるべきと主張していますが,このBAPスコアーの客観性の問題と,インタビューやテスト形式の評価法の限界(特に自閉症的傾向がある場合は,実際との解離が生じやすい)などの問題は常につきまといます.また,自閉症と健常者の間に境界線がないことと,自閉症的傾向とは“性格”とか“くせ”のひとつにすぎず,「自閉症か否か」ということは程度の問題だけなのだということを再認識しました.ちなみに,私(寛くんのパパ)のBAPスコアーは,自己判断では満点の4点です.


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