文献１／文献２：MRIスタディー．自閉症児と中枢神経Ｘ線照射および中枢神経へのダメージを受けた小児白血病患者を比較．小脳虫部第�Y第�Z小葉の低形成は，自閉症に特異的なものではなく，小児白血病患者でも同様の所見がみられた．小脳虫部の萎縮も自閉症児に特異的ではなく，また，第�Tから第�X小葉の低形成が自閉症児でみられた．小脳の形態的変化と行動異常の間には有意な相関はなかった．小脳の形態的変化は，非特異的変化である可能性が示唆される．また，白血病患児では記憶や認知能力の障害と小脳虫部の低形成との関係が示され，小脳の機能がが非運動認知機能に関与している可能性を支持した．

文献３：MRIスタディー．Courchesneのグループからの報告．解剖例で指摘された自閉症児における海馬の異常は，MRIでは検出できなかった．自閉症児における小脳虫部第�Yおよび第�Z小葉の低形成と脳梁後部の低形成は統計的に有意．他の論文（AJR 162: 123-130, 1994; Neurology 44: 214-223, 1994）では，逆に小脳虫部（�Y，�Z）の過形成の一群が自閉症児に存在することを報告している．

文献４：Courchesneらが報告した自閉症児の小脳虫部に関する二つの論文（AJR 162: 123-130, 1994; Neurology 44: 214-223, 1994）に対する批判．自閉症児に小脳虫部の低形成があるという指摘に対する反論や，Courchesneらの論文中の問題点などを総括．

文献５：Courchesneらの論文．自閉症児には，小脳虫部第�Y小葉と第�Z小葉が低形成の一群と過形成の一群の両者が存在するとするこれまでの主張に加え，脳梁の後半部の低形成の所見を文献的にレビュー．小脳機能と頭頂部機能を臨床的に評価し，自閉症者で所見があることを指摘．

文献６：Courchesneの総論．剖検例とMRI検査による報告を精力的にレビュー．小脳虫部については，自閉症児における過形成群の存在に関する表現が，「５人に１人は低形成を示さない」という表現にトーンダウン．

文献７：文献１と文献２の内容の最新版．加えて前頭葉機能の異常も自閉症児と中枢神経予防的治療後の白血病患児で共通していることを指摘．