Abstract Update

環境による自閉症様行動


Rutter M, et al. Early adolescent outcomes of institutionally deprived and non-deprived adoptees: III. Quasi-autism. J Child Psychol Psychiatry 48: 1200-1207, 2007.

背景:深刻な恵まれない環境(親から引き離された,又は親のいない児童)の施設で育った小児の中には,自閉症様の行動パターンを示すものがいることが知られているが,そのことの発達における意味は不明である.方法:無作為に選別し,年齢を階層化した144人の児童を対象とした.この対象はルーマニアにおいて施設養育を経験し,イギリスの家族に養子として引き取られた児童で,4歳,6歳,そして11歳の時に評価を行い,施設養育の経験の無い国内養子52人と比較した.ルーマニアの施設から養子となった児童の内28人では,疑似自閉症の可能性が示唆され,12歳時にADI-RADOSにて自閉症の評価を行った.結果:16人の児童が疑似自閉症のパターンを持つことが判明し,ルーマニアでの施設養育後の養子でIQが少なくとも50以上である児童の9.2%を占めた.一方国内養子者では0%であった.12人は何らかの自閉症様の特徴を有していたが,疑似自閉症と言うには至らなかった.その後のフォローアップでは,疑似自閉症児の4分の1で,11歳までに自閉症様特徴は消失した.抑制の効かない愛着と同年齢の友人関係の希薄化が,疑似自閉症児の半数以上でみられた.結論:11歳と12歳時の評価所見から,親からの深刻な離別を経験している施設経験児の10%以上において疑似自閉症パターンが存在することの現実性と臨床的重要性が確認された.通常の自閉症との重要な類似性が存在するが,疑似自閉症と通常の自閉症との相違点は異なる意味があることを示唆している.