第2章 全国展開に向けての3年目の仕込み

1.全国展開への取組

好評のうちに完売した1年目、2年目の「いも麹 芋」ですが、数量的にもごくわずかということもあり、実質PB(プライベートブランド)の扱いでした。
今後のことを考えるとPBでは発展性が薄いため、どうしても全国展開が必要になってきました。担当したのは、国分酒造・笹山護です。笹山は、東京で銀行員をしていましたが、父(=国分酒造理事長)の病気のこともあって、「いも麹 芋」を初めて仕込んだ翌月の平成10年1月に戻ってきました。
平成11年6月〜8月にかけて、東京、名古屋、大阪、中四国などの”こだわり”の酒屋さんを回り、取引の予約をとりました。『「いも麹 芋」を販売して下さる酒屋さんを拝見させてもらい、酒屋の方と直接話がしたい』という考えから、販売店は全て回りました。

   
   笹山護(昭和41年生)

2.3年目の仕込み

平成11年8月下旬、「いも麹 芋」の3回目の仕込みが開始されました。杜氏・安田はその後も研究を重ね、この頃になると、「いも麹 芋」の手法をほぼマスターしたように思えます。
翌9月上旬に蒸留が行われ、石野さん、杜氏・安田、笹山の3人で、この年初めての「いも麹 芋」の初留を味わいました。これがうまいのなんの...言葉では表現できません。
蒸留直後のアルコール度数は33度、この年は、いままでのキレと飲みやすさに加え、味わい深くなった感じがありました。

3.新酒発表会

平成11年9月下旬頃、石野さんから”「いも麹 芋」の新酒発表会を開催したい”との提案がありました。一般に焼酎を蒸留したての頃は、蒸留香といわれるガス臭が強く、3ヶ月ほど熟成させることでこの蒸留香がなくなり、商品として出荷することができますが、石野さんは「いも100%だから、原料の出来が焼酎の味にそのまま出るところがワインに似ている。ボジョレ・ヌーボーのように、新酒発表会を毎年開いてゆきたい」とのことで、あえて蒸留香を残したままの「いも麹 芋」を500本瓶詰めし、新酒発表会並びに期間限定で新酒の発売を行いました。
新酒発表会は10月25日行われました。国分市長をはじめ地元経済人などが出席し、蒸留後1ヶ月半ほどのできたての新酒を味わいました。

4.仕込み見学会

平成11年11月16日、「いも麹 芋」の仕込み見学会を開催しました。
この年の仕込みは、8月下旬と11月中旬の2回行われ、この日は2回目の真っ最中でした。
全国の酒屋さんが30人以上が参加し、石野さん、杜氏・安田、笹山が今までの経緯などを詳しく説明。参加した酒屋さんは、もろみの違いを見たり、実際にもろみを飲んでみたり、更にはできたての「いも麹 芋」を味わったりして、思い思いに過ごされました。
夜は、国分の居酒屋「屋形船」で、「いも麹 芋」を飲み、夜遅くまで語り合いました。

5.全国発売

平成11年の仕込みが終了しました。蒸留直後で33度、できた量は26度換算で150石(一升瓶15,000本)
仕込み見学会に参加した酒屋さんからの年間予約注文で、15,000本はすぐに完売。
平成11年12月3日、大安。全国発売日が開始されました。

 

第1章 本格焼酎「いも麹 芋」の誕生

第3章 「いも麹 芋」へのこだわり

 

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