○極右派都議会議員の介入の例
<都立七生養護学校問題>
2003年7月2日の都議会本会議で民主党の土屋敬之議員が、七生養護学校の性教育の内容に言及、「最近の性教育は、口に出す、文字に書くことがはばかれるほど、内容が先鋭化し、世間の常識とはかけはなれたものになっています」と批判し、週案の提出・教材についての調査と廃棄を要求した。これに対し、
横山教育長は「極めて不適切な教材でございます」
石原都知事は「あきれ果てる」などと答弁。
7月4日 3都議(土屋と古賀俊昭・自民、田代ひろし・自民のウルトラ右翼の3人)と教育庁指導主事が産経新聞の記者を伴って七生養護学校を視察、教材多数を一方的に持ち去る。
7月5日、産経新聞が過激性教育のキャンペーン。
7月9日、都教委は七生養護に指導主事37人を派遣、全教員から「事情聴取」し「調書」を取った。
7月14日、「都立盲・ろう・養護学校経営調査委員会」設置
(この委員会は8月28日には、盲学校2校、養護学校26校で不適正な実態があったと報告)
9月1日、都教委が設置した「学校経営アドバイザー」という名の監視要員が七尾に赴任
9月11日、養護学校28校の校長、教頭、教職員102人を処分、七生の元校長は停職一ヶ月の処分後教諭職へ降格処分。
9月17日、都教委は「適正な性教育を実施する」ための通達「障害のある児童・生徒の性教育に関する実施指針」を出す。
<「日の丸・君が代」問題>
2003年7月2日、土屋は「都立学校の卒業式などでの君が代斉唱について、強制されるものではないといういわゆる内心の自由の説明が行われている、『日の丸・君が代』の実施状況が不十分である」と攻撃した。
○横山教育長 「司会者が内心の自由を説明するのは不適切」「教職員が斉唱時に起立しないことはあってはならない」「対策本部を設置し、国旗国歌に関する実施指針を作成する」
7月9日、都立学校等卒業式・入学式対策本部が設置される。
10月23日、入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施について(通達)が校長に対する職務命令として出される。これがいわゆる「10・23通達」である。
2004年3月16日、都議会予算特別委員会
○土屋 「卒業式などでクラスの大半が国歌を歌えない、歌わない状態であった場合、教師の指導力に不足があるか、あるいは教師による誘導的な指導が行われていたかということになると思いますが、いかがでしょうか。」
○横山教育長 「学習指導要領に基づきまして国歌の指導が適切に行われていれば、歌えない、あるいは歌わない児童生徒が多数いるということは考えられませんし、その場合は、ご指摘の通り、指導力が不足しているか、学習指導要領に反する恣意的な指導があったと考えざるを得ません。」
2004年度に「学習指導要領に基づく国旗・国歌の生徒に対する適正な指導」として職務命令に追加された。
2004年3月26日、板橋高校事件絡みで警察による実況検分および事情聴取が強行された。
石原都知事 2004年4月9日、「都教育施策連絡会」
「学校行事における国旗・国歌は、国家や民族に帰属せざるを得ない人間社会の中で、私たちが、何に対して最終的に責任を持つか、何によって恩恵を受けているかを考え、個人対他者、個人対社会を正確にとらえていくための一つの大きなきっかけだ」
「教育委員会の毅然とした態度は大きな効果を生んだ。五年、十年たったら、恐らく首をすくめて眺めている地方は、全部東京のまねをするでしょう。それが、東京から日本を変えることになる」
○教育行政の中央集権化、管理・統制の強化
1990年代以降、「特色ある学校づくり」の名の下に単位制高校・総合学科などの新しいタイプの学校が新設され、一方では既存の学校の統廃合(特に定時制の多数の廃校)、学区制や入試制度の変更、進学重点校の指定、中高一貫校の新設、等々の「東京の教育改革」が進行した。
●1998年7月、「東京都公立学校の管理運営に関する規則」を改定
・職員会議を校長の公務運営の補助機関とする
・企画調整会議(校長・教頭・主任で構成)を義務付ける
※それまでほとんどの職場にあった人事委員会・予算委員会(選挙で選ばれたり教科の代表だったり、職場分会の代表がはいっているところも結構あった)が禁止された。
●1999年4月、石原が都知事に。 「心の東京革命」を提唱
米長邦男と鳥海が教育委員に就任
●2000年4月、「東京都立学校教育職員の人事考課に関する規則」が施行
・教員は自己申告書の作成を義務付けられる
・校長による面接・授業観察の実施
・年度末に管理職は5段階で業績を評価、結果は教員の「処遇」に反映
●2000年7月、横山洋吉が総務局長から教育長に就任
●2000年8月、「心の東京革命推進プラン」
・大人に向けて意識改革 ・道徳教育の推進
・世界の中の日本人としてのアイデンティティ教育の実施
●2001年1月、東京都教育委員会は東京都の「教育目標」を改定
それまであった「日本国憲法及び教育基本法の精神に基づき、また児童の権利に関する条約等の趣旨を尊重して」を削除し、新たに「わが国の歴史や文化を尊重し国際社会に生きる日本人の育成」を追加した。
●2002年4月11日の平成14年度東京都教育施策連絡会で米長教育委員は、「昨年決めた都教委の教育目標に『わが国の歴史や文化を尊重し』と入れて、都は教育基本法を事実上改定した」と発言。
●2002年3月、「主幹」を新たに設置することを決定。中間管理職として位置づけ、2003年から現場に導入された。
※2004年4月には「教頭」を「副校長」とした。
●2003年7月、「都立高等学校の教員の定期異動実施要綱」を改定
・同一校勤務3年で異動対象となり6年で強制異動対象となる。
・1年でも校長の具申があれば異動対象となる。
※公募制による異動が急速に増え、05年度には約半数の92校に達した。
○これからの「教育改革」
●2004年11月、都教委は「奉仕」を必修科目とすると発表、2005年度から試行が始まり、いよいよ2007年4月から必修「奉仕」科が全都立高校で実施される。
※「東京都教育ビジョン」によれば奉仕体験活動の目的は「規範意識や公共心の育成」である。
●2005年7月、都立の中高一貫校4校と障害児学校21校に「つくる会」歴史教科書を採択。
●「日本の伝統・文化」(2単位)を学校設定教科・科目として2007年度から設定。
・目標 国際社会に生きる日本人としての自覚と誇りを養うとともに、多様な文化を尊重できる態度や資質をはぐくむ。
・教科編成の視点 (1)日本の伝統・文化への理解を深め、郷土や国に対する愛着や誇りをはぐくむこと。
「学校経営支援センター」の設置
●2006年4月、「都立学校経営支援センター」という名の今まで以上に学校現場を管理・統制するシステムが動き出した。全都で六ヶ所設置。
<支援の内容>
・学校経営計画 ・教育課程その他の教育活動 ・教職員の人事、給与その他の人事管理
・予算、決算、会計及び契約 ・施設及び設備の維持管理
これまでの教育庁による行政指導が縦割りであったことを反省し、より現場に密着して総合的に支援していくと称して、日常的な監視体制の下での人事・予算・教育内容に関する管理体制が出来上がろうとしている。
新たな職務・職階制
今までの、校長−副校長−主幹−教諭を
統括校長−校長−副校長−主幹−主任教諭(授業力リーダー及び授業力スペシャリスト)-教諭
とし、それぞれに見合う給与表を設定する。昇任は選考による。
東京の「日の丸・君が代」裁判、人事委員会審理の現状
<国歌斉唱義務不存在等確認請求訴訟>(予防訴訟)
原告総数401名 第1次提訴 2004年1月 228名 第2次提訴 2004年5月 117名
第3次提訴 04年11月 17名 第4次提訴 2005年5月 43名
(途中取り下げ2名)
9月21日、14回の審理を経て、東京地裁一審判決
<都人事委員会審査請求>(「日の丸・君が代」不当処分の撤回を求める非処分者の会)
請求人総数229名 04年156名 05年46名 06年27名
04年156名は13グループに分けられたが、05年5月から合計41回の審理を行い、52名の校長・教頭1人・指導主事1人の尋問を経て、06年5月には近藤元指導部長・臼井元人事部長の7団体合同審理を200人収容の都民ホールで実施させた。
10月7日には、04年グループの裁判移行を決定する予定である。
05年、06年のグループはこれから実質的な審理に入る。
<嘱託解雇・任用取消裁判>(解雇裁判)
原告総数10名 2004年6月提訴9名 2005年8月提訴1名
05年10月には横山洋吉前教育長(現在は副知事)を、12月には臼井前人事部長を、証人として法廷に引きずり出した。
年内結審、来春判決の予定
<嘱託不採用裁判>(不採用裁判)
原告総数13名 2005年8月提訴5名 2006年4月提訴8名
7回の審理を終え、これから本格的な証人尋問が始まる
<再発防止研修の損害賠償裁判>
原告総数137名 職務命令違反1回は戒告処分で基本研修、2回目以降は減給処分となり専門研修という名の、職務命令による無内容な内容の嫌がらせ研修の中止を目指す
すでに12回の審理を終え、来春判決の見込み
<藤田裁判>「日の丸・君が代」関係では異例の刑事裁判
元の職場の卒業式に来賓として出席した藤田氏が、生徒入場前に保護者に向かって10・23通達体制の都教委の異常な卒業式への介入を批判して、サンデー毎日の記事のコピーを配布し「君が代」斉唱時の不起立を呼びかけたことに対し、校長と都教委が威力業務妨害で訴えた事件。
東京地裁の一審判決は不当にも有罪判決で20万円の罰金を科すものであった。
ただちに控訴した。
※これら以外にも多数の人事委員会審理・裁判があるが割愛