非核・平和条例を考える全国交流集会in鹿児島
「9.11テロ」以降の平和運動、自治体の力を活かす
いま地域から平和をつくる
「非核・平和条例を考える全国交流集会in鹿児島―錦江湾を非核の海に−」
姶良地区平和運動センター事務局長 続 博 治
「すべての自治体に『非核・平和条例』を!」と函館で初めて全国交流集会が開かれたのが1999年10月。その年の5月、自治体や民間の持っている力を米軍の後方支援に活用することができる「周辺事態法」が成立している。全国交流集会は、2001年2月の横須賀へと引き継がれ、地域から平和を考え、非核平和条例運動の意義が確認され、2002年5月25日〜26日、九州でも最も米艦船の寄港が多い、鹿児島の地で「錦江湾を非核の海に―全国交流集会」が開催された。北海道、沖縄、神奈川、呉・岩国をはじめ、九州各県から600名を超える参加者が鹿児島に集う。
オープニングは、いまなお残る差別の問題、貧困の問題等、多くの課題を抱えたままの来年復帰50周年を迎える奄美から、島唄の第一人者、築地俊造さんによる「奄美島唄」で幕を開けた。
初日全体会・基調講演では、北海道学園大学の君島東彦さんが、北海道の平和学・平和運動の歴史―周辺という矛盾を押しつけられた地域から起こってきた―をふまえながら、それが「米艦船寄港の多い函館から市民の危機意識の現れとして起こった非核・平和条例制定運動へと引き継がれている。非核・平和条例制定運動は、地域の安全を守るための運動だけではなく、アメリカの核兵器の移動の自由を脅かすものである。日本の自治体がアメリカの核搭載艦船を自由に使えなくする、核の移動の自由を奪うことは、世界全体の非暴力民主化にとって重要なルートである。アメリカが一番おそれていることは、ニュージーランドの非核法などに見られる『非核神戸方式』が世界に広がっていくことである。」と、平和をつくる主体と方法として世界の非暴力化・民主化をめざす方向から非核・平和条例運動の意義を位置づけた。
つづく、横須賀の新倉さんによる特別報告は、「有事法制」をつぶす処方箋、取り組みを3つ提起。一つは自治体への働きかけ、二つに地方議会への陳情書と意見書採択、三つは有事法制への非協力宣言をする自治体労働者の支援と働きかけ。周辺事態法を個別法の枠内に押しとどめた「自治体の平和力」を、市民と行政が一体となって育てていくことが可能だと言う新倉さんの提起は、説得力と実効性を持った参加者への訴えとなった。
道畑克雄さん(非核・平和函館市民条例を実現する会)は、函館の運動では市民運動や平和団体、他の民主団体など様々団体との共闘で運動のなかで、99年の3月議会に続いて3年ぶりに「非核・平和条例」を議員提案、同じような形で進めてきた小樽市では、市民が議会に陳情し提案、96年には市民の陳情で趣旨採択されていた苫小牧市が、市民の要望を受けて市長提案という形で今年の3月議会に条例案が提案され採択されてきている、函館・苫小牧の非核・平和条例を巡る現状を報告。さらに、港湾から米軍機が離着陸する帯広空港利用へと広がりを見せ、全道ネットワーク結成とへと向かっている。
鹿児島からは、木村朗さん(鹿児島大学法文学部・かごしま平和ネットワーク)が,鹿児島における「軍事化」の進行を突出している米艦船・米軍機の利用状況から、鹿児島は地理的に見てみれば、沖縄という極東最大の米軍基地からその他の米軍基地、三沢は少し遠いが、横須賀、近いのは岩国であり佐世保、そことつなぐ中継地点として注目・利用されているのではないか、と問題提起。また、98年10月1日の鹿児島市議会の「鹿児島港での軍事利用の禁止等非核・平和利用を要求する決議」、また98年9月29日には名瀬市議会決議で、全県域の民間空港・港湾の軍事使用に反対する「意見書」をあげ、屋久島では2000年3月に「放射性物質の持ち込みと原子力関連施設の立地拒否」という決議・条例が出ていることを紹介し、地域からの平和戦略のあり方を提起した。
翌日の分科会では、「自治体の力、条例制定運動の現状と論理、自治体の平和外交、議会決議」「平和運動のオルタナティブ、『9.11』以降の平和運動、地域の安全保障論、有事法制」の二つのテーマで、函館、佐世保、神戸、沖縄、岩国・呉、大分・日出生台から問題提起を受け、「9.11」以降「自衛隊が海外へ出ることが普通になってしまった」中での平和運動のあり方を活発に議論した。
分科会終了後、午後からは桜島を全景に錦江湾へ。ピースリンクの平和船団と鹿児島実行委が準備した船団が、沖合に停泊する海上自衛隊の潜水艦に迫りながら、海上ピースデモに乗り出した。
有事法制やメディア規制法案が国会の俎上にのぼったいま、これまでの非核自治体宣言運動(2001年8月525日現在で、都道府県も含めた宣言自治体数は全自治体数の78.8%にあたる2596。その内訳は、33府県、604市、21区、1540町、398村。)から、函館・小樽、苫小牧(2002.3月成立)につづく「非核平和市民条例制定運動」、自治体外交や市民による平和地帯構想(「日ロ沿岸市長会議」「北東アジア地域自治体連合」「東アジア(環黄海)都市会議」など)が求められている。
「非核・平和条例を考える全国集会in鹿児島」の資料集は、以下のホームページへアクセスを!
http://www.synapse.ne.jp/~peace/
報告集は、9月末に刊行予定。