猿橋先輩


このコーナーを始めてからけっこう経つのですが、
主人公の周りのキャラはあらかた出したと思っていました。

そう思ってちょっとどんなのが出てるのか読み直していると、
猿橋先輩はまだ出ていないことに気付きました。
ゲームでもゲームの外でもこんな役回りのようです。

主人公の2つ上だ。人望は厚いようだ。
しかし人望と顔のわりには印象が薄い。
出番がない。すぐにいなくなる。
引き継ぎをする前にキャプテンは椿本になってる。
彼女が欲しいらしい。ボウズ頭だ。
眉毛が太い。二塁手だ。野球は大学でやめるらしい。

これが彼のすべてです。
イベントもないので話すことなんてあんまりないし、
少ない出番も椿本先輩にくわれてる印象を受けます。

なぜ彼はここまで出番がないのか。

そのことを実験で調べた学者がいました。
彼は数多くの実験のすえ、次の法則を結論づけました。

顔の濃さを、登場時間をとしたとき、

DT=C(定数)


が成り立つ。ここではキャプテン係数である。

つまり顔の濃いキャプテンほど出番が少なくなるのです。
大倉先輩の出番が多いのもあの顔を見れば納得がいきます。
非道先輩があんまり出てこないのもしかたがないでしょう。

ただこの法則にしたがうと、
熱血大学の主将、勝先輩はすさまじい顔の濃さをほこることになります。
ところが、あの顔を見てもそこまでどうということはありません。

そこで次の仮説が考えられました。

熱血大学野球部主将の勝が目を開いたとき、世界は終末を迎える

もちろん、実際に確認することはできませんが、
多くの実験により、この仮説は広く支持されるようになっています。



主人公「矢部君、天気予報見た?」

矢部君「台風が直撃するみたいでやんすね」

主人公「しかもかなりでかいやつみたいだよ」

矢部君「防災対策とかしてるでやんすか?」

主人公「いやぁ、特に何もしてないんだけどね」

矢部君「それはダメでやんすねぇ。いまからおいらと一緒に準備するでやんすよ」

主人公「(はりきってるなぁ矢部君。そんなに台風がうれしいのかなぁ)」

矢部君「カサは視界が悪くなるからカッパがいいでやんすね」

主人公「ふんふん」

矢部君「それからラッパでやんすね」

主人公「えっ?」

矢部君「例えば土砂に生き埋めになるでやんすよね。
    そんなとき救急隊員が近くにいても声を出せないことがあるんでやんすよ」

主人公「はぁ・・・」

矢部君「それに災害で気分が沈んでるとき、歌を歌えば元気になるもんでやんすよ」

主人公「そんなもんかなぁ」

矢部君「ラ〜はラッパのラ〜」

主人公「いま歌わなくてもいいから」

矢部君「ソ〜は青い空〜」

主人公「いやみかよ!」

矢部君「とまぁこういうジョークも入れながら、
    みんなを勇気づけてふるい立たせるわけでやんすよ」

主人公「どっちかと言えば殺気立つと思うけどね」

矢部君「それから水と食糧でやんすね」

主人公「そうだね」

矢部君「まず乾パン」

主人公「定番だね」

矢部君「それから海パン」

主人公「まさか泳ぐつもりなの!?」

矢部君「それから缶詰でやんすね」

主人公「って、おもちゃの缶詰じゃあ意味ないよ!」

矢部君「主人公君、避難場所では何もすることがないでやんすよ。
    そういうときにひまをつぶせるというのはとても大事でやんす」

主人公「ま、まぁ、それも一理あるけど・・・」

矢部君「それから『アルプスのおいしい空気』と『富士山の澄んだ空気』でやんす」

主人公「今度はなんですか」

矢部君「災害のときは精神的にみんなイライラしてるでやんす。
    そんなときにこれで気分を落ち着かせようということでやんすよ」

主人公「はいはい」

矢部君「災害ラジオも忘れたらいけないでやんすね」

主人公「ラジオと電灯が一緒になってるようなやつだね」

矢部君「おいらが持ってるやつはなんと電卓に独和辞典、
    横に倒せば流しそうめんでハンドルを回せばかき氷もできるという
    大変便利なやつでやんす。まあ、安くはなかったでやんすね」

主人公「それは全部いらない機能だよ!」

矢部君「しかもでやんすね、世界12カ国の日の入りと天気がわかるでやんすよ」

主人公「なんのためにだよ!」

矢部君「まぁ、そう言わないでやんすね。ちょっと使ってみるといいでやんす」

主人公「じゃあきょうのアメリカの天気はどうなの」

矢部君「使い方は簡単でやんすよ。この3つのボタンのうち好きなのを押すだけでやんす」

主人公「え、それってどういうことなの」

矢部君「じゃあこれにするでやんすか」

   「ピピピピピピ、プープー、キョウハ ハレ デス・・・」

矢部君「だそうでやんす」

主人公「だそうじゃないよ!」

矢部君「1日に1回しか調べたらいけないそうでやんす」

主人公「気付けよ!」

矢部君「それから薬や救急用具も必要でやんすね」

主人公「ああいうときはカゼでも大事に至ることがあるからね」

矢部君「まずは包帯にガーゼ」

主人公「それから消毒液に三角帯と」

矢部君「ところで主人公君。救急用具の使い方はわかるでやんすか?」

主人公「そういえばあんまり知らないね」

矢部君「道具だけそろえても使い方がわからないと意味がないでやんすからね」

主人公「じゃあいまから勉強しようか」

矢部君「じゃあ包帯の結び方からいくでやんすか」

主人公「うん」

矢部君「止血のときは、こう、骨折のそえ木は、こう、でやんす」

主人公「この三角帯の結び方は?」

矢部君「手遅れになったときに頭に、こう、でやんす」

主人公「それは違うってわかるよ!」

矢部君「せっかくでやんすから応急手当もやるでやんすか」

主人公「心臓マッサージとかだね」

矢部君「じゃあいくでやんすよ。あ、人が倒れてるでやんす!」

主人公「まずは119番に電話して・・・」

矢部君「意識があるかどうかを確認するでやんす」

主人公「大丈夫ですか!?大丈夫ですか!?」

矢部君「意識がはっきりしてるかどうか名前を尋ねたり、
    手を握りかえさせたりするでやんす」

主人公「名前なんていうの?手にぎってもいい?」

矢部君「そして脈があるかどうかを調べるでやんす」

主人公「あの子さっきからオレの方ちらちら見てるけど・・・どうなのかなぁ・・・」

矢部君「呼吸が停止してる場合、異物があるかどうか調べるでやんす」

主人公「いまつき合ってる人とかいるの?ふーん、そうなんだ」

矢部君「じゃあ人工呼吸と心臓マッサージでやんす」

主人公「もうそんなところまで進んだの?まいったなぁ。
    ほら、段取りってやつがあるじゃない」

矢部君「主人公君、どうしてニヤニヤしてるでやんすか」

主人公「って、オレがボケても誰もつっこんでくれないよ!」

矢部君「まあでも、こういうのは普段からの心構えが大事でやんすよ」

主人公「パニックになると知ってても実行できなくなるからね」

矢部君「災害を想定してみるんでやんすよ。もしいま地震が起きたら」

主人公「避難訓練みたいなのだね」

矢部君「ああ、あのドミノは大変なことになるでやんすねぇ」

主人公「って、ひとごとですか!」


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