パワプロと新学期


さて、もう新学期が始まってからずいぶんと経ちますが、
まだいいだろうということでそういう話です。

まあそうは言っても、新学期に話題をしぼらず、
広くいまの季節のことを語ろうじゃありませんか。
書くことが足りそうにないから。

よく「春先になったら変な人が出る」って言うけど、
はたしてそうなのでしょうか。

「あれでしょ、春の陽気に誘われてとかでしょ」

とか言うけど、実際問題として暖かくなったぐらいで
素肌にコートみたいな、非常にアグレッシブな
春の装いをしようと思うものなんでしょうか。

あるいはピンクの象さんを目撃したりとか、
部屋の壁を小さな人形が走ったりするのでしょうか。

しかしながら、すくなくともボクは
ことさら春だからといってそんなことはありません。
というか、どの季節でもそれはあるとやばいのでは。

あんまり関係のない話と見せかけてるんだけど、
むかし英語のテストで、

「春になって思うことを書きなさい(もちろん英語で)」

というのがあって、ボクはその、
そんなことを書いていいのかという話だけど、

「春になると変質者に気をつけないといけません」

ていうことを書こうと思ったんですよ。
それでまあ、こう見えてもというか見た目どおりなのか、
ボクの英語力というのは当時からすさまじくひどかったですから、

変質者→変な人→strange+er→stranger?
という発想になって、それで気をつけるだから

「それはたしか“take care of”だよなぁ」

ということで、そんな感じで書いたんですね。
それでいつもそうなんだけど、提出してから、

「いくらなんでもあんなことを書いたらまずいだろ」

と思って、激しく後悔したんですよ。

ところが、いざ返ってきてみると
べつになんてこともないコメントが書いてあるだけで、
そこから察するところによると、
どうも“stranger”っていうのは
“見知らぬ人”みたいな意味らしくて、

「春になると新しい人が来て、その人たちの世話をしないといけないよね」

という解釈になってたみたいなんですよ。
あとで知ったんだけど、“take care of”って
“世話をする”って意味もあったらしいんですよ。
なんか知らんけどラッキーって思いました。

だから春には変な人が出るんだねっていう話です。


そんなくだらない話はさておき、
春のもうひとつのイベントと言ったら、
あまりうれしくないことだけど花粉症でしょうか。

『まんがタイム』とかそれ系統の、
月刊4コマ誌とかを見ると、
まずまちがいなく花粉症のネタが出ています。
また、サイトの日記なんかでもよく話が出ています。

しかし、ボクは花粉症じゃないし、
また、身近な知ってる人にも花粉症の人はいないし、
それがはたしてどのようなものなのかあまりピンときません。

わかっていることは、

・目がもうれつにかゆくて、涙が出まくる
・鼻がもうれつにつまって、鼻水が出まくる
・鼻がもうれつにむずむずして、くしゃみが出まくる
などということだけです。
こうして見るとカゼに似ているようだけど、
ちがうところはこれはアレルギー性のものなので、

「わたしってほら。みんなにもよく言われるんだけど、
 デリケートな人じゃないですか。だからこの季節っていやなのよねー」

ということだそうでして、
なんとかな人はならないということになります。

しかしそう言われると、なんとかに分類されそうな人としては

「デリケートったぁ、どういうことだ?ああん?」

とかみつきたくもなりますが、
ようするに体が敏感すぎて、
過剰に防衛しようということなんですね。

つまり体が「こっちに来ちゃダメよ」と
防護壁を作ろうとするわけでして、
それはバリケードだろうと。
そういうところに落ち着くんですよ。

聞いた話によると、花粉症の人は花粉症じゃない人に
気安く「大変だね」とか「大丈夫?」とか言われると、
「なにも知らないくせに!」と、つい感情的になりがちだそうです。
そのくらい、当事者にとってはつらい大変なことなのだそうです。

だからデリケートな部分をさわるように、
注意深く対応しないといけないんですね。
たとえばメガネのことについてとやかく言うのはよくないし、
特に注意しないといけないのは、

「でも、カナダ生まれでしょ?」

と言ったり、ユタをバカにしたりしてはいけないということでして、
それはケント・デリカットだろうと。すこしムリがあろうだろうと。
そんなくだらない話だったんですよ。



矢部君「主人公君、新学期がはじまったわけでやんすけど、
    オイラたちの野球部にも新人が来ちゃったりするわけでやんすかね」

主人公「まあ、それなりには来るだろうね」

矢部君「いやー、オイラもこれでようやく先輩ヅラして校内を歩けるんでやんすね」

主人公「体育会系はすごいって言うしね」

矢部君「オイラはやくチョンマゲをつけたかったんでやんすよ」

主人公「先輩ヅラって、ヅラのことなの!?」

矢部君「やっぱり、先輩よりも立派なものをつけてたら
    目をつけられるでやんすからね(ゴソゴソ)」

主人公「しかもこいつなんだか下ネタをやりそうだよ!」

矢部君「去年の合宿のお風呂で思ったでやんすね。下克上の時代だなぁって」

主人公「なんか意味合ってるっぽいけど、やっぱりおかしいって!」

矢部君「それは冗談でやんすけどね、
    学年によって制服とかの改造で
    できることとできないことってあるでやんすよ」

主人公「まあ、暗黙のルールみたいなのがあるよね」

矢部君「第1ボタンをはずしていいのは2年から!」

主人公「なんかそんな感じのがあったりするよね」

矢部君「第2ボタンもはずしていいのは3年から!」

主人公「そんなに細かく決まってるの?」

矢部君「全部ボタンをはずしたいやつはダブりまくれ!」

主人公「脱げないの!?」

矢部君「まあ、生涯学習って言うでやんすから」

主人公「それちがうって!」

矢部君「こういう名言を知らないでやんすか?
    『わたしは一生、学生でいたい』」

主人公「うーん…。まあ、そういうのは大事かもしれないけど…」

矢部君「“ゾウ・ベン”という人のことでやんすね」

主人公「それってどこの国の人なの?」

矢部君「日本人でやんすね」

主人公「って、勉三かよ!それはフルネームじゃないよ!」

矢部君「でも、あの人の場合はほかに着るものがないだけでやんすけどね」

主人公「しかも自分でふっといて、めちゃくちゃ言ってるよ!」

矢部君「それはともかくでやんすね、新入社員とか新入生とかは、
    そんな感じで新しい環境に慣れるまでが大変でやんすよ」

主人公「まあ、その暗黙のルールみたいなのを知らないと大変だからね」

矢部君「例えばでやんすよ、その会社では野球の話はタブーだとか、
    そういうのはやってみないとなかなかわからないでやんすからね」

主人公「たしかにそういうのは、一度はやらかさないと気づきにくいよね」

矢部君「このあいだもこんは話があったんでやんすけどね、
    その会社は9時からってことになってたから、
    その新入社員は9時ちょうどに出社したでやんすよ」

主人公「そしたら怒られたってわけだ」

矢部君「なんかみんながじろじろ見るんでやんすよ。
    そしたら課長がすごい剣幕でやんすね」

主人公「その会社は5分前にはみんな来てるとかそういうことなの?」

矢部君「バン!ってテーブルをたたいて
    ほえたんでやんすよ。『新人の分際で!』って」

主人公「新人のうちはそういうのってかなり恐いよね」

矢部君「『いきなり裸かよ!』ってなことをでやんすね」

主人公「それは気づけって!」

矢部君「それでよく見てみたら、机で隠れてたんだけど、
    『ああ、課長でもパンツははいてるのか』って」

主人公「それじゃあ変態だってば!」

矢部君「しかもわるいことに課長に勝ってたんでやんすよ」

主人公「結局、またそれかよ!」

矢部君「まあ、そんな話ばかりするのもなんでやんすから、
    それはそのぐらいにしといてでやんすね、
    歓迎会みたいなのがあるでやんすよね」

主人公「うんうん」

矢部君「そこでのふるまいがけっこう重要なわけでやんすよ」

主人公「まあ、そうかもね」

矢部君「自己紹介とかあるでやんすよね。ここでのつかみが大事でやんすよ」

主人公「そうだね」

矢部君「お酒とか入って場がなごんできたところで、
    わーって言うんでやんすよ。こう、お酒をガー!ガー!って入れて」

主人公「たとえばどんな感じで?」

矢部君「…さ、佐藤です…。うう…は、吐きそう…。お酒飲めないです…」

主人公「わかりやすいねって、それはダメでしょ!」

矢部君「まあ、それはダメな例でやんすけどね。
    すこしぐらいの勢いはあった方が盛り上がるでやんすよ」

主人公「それはたしかにあるかもね」

矢部君「3番!山田太郎です!」

主人公「やっぱり、新人は元気がないとね」

矢部君「じゃあ、吐きます!(ゲボッ、ゲロゲロゲロ…)」

主人公「だからそれは勢いがあってもダメだって!」

矢部君「そうこうして盛り上がってきたら、
    『よし、新人はひとりずつなにか出し物をやれ』
    なんてことを言われたりするんでやんすよ」

主人公「まあ、そういうところもあるかもね」

矢部君「そしたら山田君はいっき飲みをはじめてでやんすね」

主人公「いくらなんでも、それで吐いて出し物とか言わないよね」

矢部君「それを聞いて山田君、『あいたー!』って顔をして」

主人公「あいたーじゃないって!」

矢部君「なんかズボンをごそごそしだして」

主人公「それはもう出さなくていいから!山田君、しつこいって!」

矢部君「いやでやんすね、食べすぎてちょっとベルトをゆるめただけでやんすよ。
    まあ、こういうときに無難なのって言ったら歌とかでやんすね」

主人公「このごろはカラオケの道具とかがある宴会場もあるしね」

矢部君「そして山田君、さっそうとマイクを持ってでやんすね」

主人公「お酒も入ってるしみんなも『わー!』てな感じで
    ボリュームを上げるわけだ」

矢部君「『うー…うー…………!うっ、ベホッベホッ…』って、
    隣に倒れている佐藤君にマイクを当てて」

主人公「そんなの大音量で聞かせるなって!」

矢部君「そしたらもうすごい反響で。『はい、2番でーす』って」

主人公「そんなのにちゃんと続きがあるの!?」

矢部君「『いや、ちょっとパンツずらさないでよ…』って声が
    部屋中にひびきわたって」

主人公「山田君、なにやってんだよ!」

矢部君「もうなんだか佐藤君、出すもの出しきっちゃって、
    おいしいとこひとりじめ?みたいな感じでやんすね」

主人公「かわいそうなことするなって!」

矢部君「それで一応終わったんでやんすけどね、
    じゃあ若い人たちだけでってことになって、
    1、2コ上の先輩たちと二次会なんかがあるんでやんすよ」

主人公「そこでここの会社の裏話とかするわけだ」

矢部君「『おい、山田。ここだけの話だけどな』なんて言ってでやんすね」

主人公「やばい話なんかも飛び出したりしちゃって」

矢部君「右手の甲を左のほっぺたにつけて指をピンと伸ばしながら、
    『うちの課の課長、これだって噂だよ』なんてことを言うんでやんすよ」

主人公「ええ!そうなんですかー!?」

矢部君「いや、女の人なんだけどね。かなりいいとこのお嬢様らしいんだって。
    それで笑うときも口に手を当てるぐらい、育ちがいいんだって」

主人公「そんなことはふつうに言えって!」

矢部君「あと、うちの部署の部長には気をつけたほうがいいね」

主人公「すごい厳しい人だったりするんですか?」

矢部君「ちょっと人が目を離したら白目になるから」

主人公「べつに気をつけなくていいだろ!」

矢部君「調子のいい日は首が1回転するし」

主人公「どんな調子だよ!」

矢部君「それからうちの専務。実はこれらしいよ」

主人公「そ、その、ほっぺたにキズがあるような仕草はまさか…」

矢部君「うん、ネコが好きらしいんだって」

主人公「ネコにひっかかれただけですか!」

矢部君「しかもネコを性的対象として見てるらしいよ」

主人公「その好きかよ!」

矢部君「まあ、専務もネコなんだけどね」

主人公「やばいよ!オレの入った会社やばいよ!」

矢部君「大丈夫だって。うちの社長はかなりのやり手らしいから」

主人公「そ、そうなんですか?」

矢部君「やっぱ頭の構造がオレたちとはちがうのかね。
    なんて言うの?ほかにはできないサービスを考える才能って言うか」

主人公「たとえばどんなのですか?」

矢部君「このあいだはじめたのがトイレ代行だね」

主人公「なんですかそれ?」

矢部君「もうすぐ連休だけど、毎年そうだけど道路が渋滞するよね。
    そういうときにトイレをがまんしてる人って結構いるよね」

主人公「まあ、そうですね」

矢部君「そんなお客様から電話がかかってくるのよ。『もれそう』って。
    それを聞いたらうちの社員が代わりに行ってあげるのよ」

主人公「社長、バカだろ!」

矢部君「大丈夫だって。ホントに。オレ今月一杯でここ辞めるから」

主人公「もうすっかりひとごとですか!」

矢部君「あ、もうこんな時間か。じゃあそろそろこの辺で帰ろうか。
    佐藤君の体も冷たくなってきたし」

主人公「先輩!今度一緒に辞表書きましょうね!」


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