パワプロとGWとか


さて、GWでした。

ボクはひたすらゲームセンターに行く毎日でしたが、
旅行に行ったり、どこそこ遊びに行ったりした人もいるかと思います。

しかし、そういうことを書くと、

「いいんだ、いいんだ。どうせオレなんか」

という気持ちになってしまいます。
そしてそのまま連休あけから5月病というのが
典型的なダメなパターンです。

そこでそれを回避するために、

「○○高速道路、××キロの渋滞」

というニュースを見ることにしてるし、
供給と需要ということで、毎年必ずこれは報道されます。

ずらりと並んでぴくりとも動かない車の群れを見ると
なぜだか「ざまぁみろ」と、ちょっといい気になれます。

ことしの渋滞はたしか70キロぐらいのがあったと思います。
そういう話になると必ずと言っていいほど、

「渋滞の先頭ってさぁ、なにしてるのかねぇ」

という意見が飛び出してきます。

それでこれをだれかが調べたらしいのですが、

「料金所とか合流地点でモタモタしてるだけ」

と、べつになんにもおもしろくない結果だったそうです。

言われてみればそりゃまあそうでしょうが、
それはあまりにも夢のない話じゃないですか。
サンタクロースはボクたちの心の中に住んでるんですよ。

言ってみれば、渋滞の先頭というのは、
虹の出ているところや、真夜中のおもちゃ箱とおなじくらい、
夢に満ちあふれたところだと言ってもいいんですよ。

だから渋滞の先頭ではもっとこう、
ファンタジーなことが起きてるべきなんですよ。

たとえば、渋滞の先頭ではおなじみのキャラクターたちが
エレクトリックパレードをやってるという仮説はどうでしょう。

これなら渋滞の理由も説明がつくし、
なにより子どもの夢を壊さないでくれます。

「渋滞の先頭ではパレードが起きている──」

実際にこうやって書き下してみると、
いかにアホらしいことを書いてるのかがわかってきます。


それは置いといて、5月5日は「子どもの日」でした。

子どもの日と言えばこいのぼりでしょうが、
この年でこいのぼりをあげたりすると、
それこそ「おめでたい人」と思われし、
なによりそんなヒマも場所もお金もありません。

となれば、残るはコンビニで100円ぐらいで売ってる
かしわもちなんぞをもしゃもしゃ食べることぐらいでしょうか。
売ってませんでしたが。

だいたいあれですね。行事でやる風習とかならわしって、
部屋でひとりでできるものが少なすぎますよね。

どんなのがあるのか調べてみたら、
碁盤に乗ってみたり、いろいろ目の前に並べて、
最初につかんだもので将来を占うとかあるらしいけど、
どれもこれもこの年でひとりでやるには難がありすぎです。

もちろん、どれもやってやれないことはないのですが、
やると人間としての大切ななにかを失うような気がしてなりません。

だから男は黙ってかしわもちなんですよ。
ハードボイルドに甘党で、お酒は苦手なんですよ。
回る寿司で絶対にデザートを食べるタイプなんですよ。
もちろんサビ抜きだし。ウインナー巻き食べまくるし。

あんまりかっこよくないハードボイルドだけど、
その不器用な生き方が共感を呼ぶんですよ、おそらくは。

こういうときに、だれも止めてくれないのは
不便だなぁとちょっと思った。



矢部君「主人公君、GWになにかしたでやんすか?」

主人公「んー、べつになにもしてないなぁ」

矢部君「それじゃダメでやんすよ。大きくなってから後悔するでやんすよ」

主人公「まぁ、そんなに休みがあるのって学生のうちだけだしね」

矢部君「たとえば10年後、20年後、
    はたまたおじいちゃんおばあちゃんになってから、
    むかしのことを回想したりするじゃないでやんすか」

主人公「うーん、そういうこともあるかもね」

矢部君「たとえば主人公君が定年退職になっから
    縁側でネコでもひざの上に乗せて、
    ぼんやりと考えるんでやんすよ」

主人公「たしかに、『あのときあれをやっとけばよかった』とか、
    『こうしてればよかった』って、過去を悔やむのはちょっといやかもね」

矢部君「こう、庭をぼんやりとながめながら、
    『ばーさん、ご飯食べましたかね』ってつぶやくんでやんすよ」

主人公「すでに過去も現在もめちゃくちゃだよ!」

矢部君「そしたらおばあさんが、
    『いやですよ、おじいさん。
    さっき食べたばかりじゃないですか』って」

主人公「まあ、なんだかんだで幸せな老後なんじゃないの?」

矢部君「そういう会話を、食卓を囲みながらにこやかにするんでやんすよ」

主人公「って、すでにふたりとも手遅れ!?」

矢部君「麻雀で言えば両面待ちみたいな?そんなお得な夫婦でやんすよ」

主人公「どこがだよ!」

矢部君「まあでもでやんすね、そうやって幸せな老後のためにも、
    家庭円満ですごさないといけないんでやんすよ」

主人公「そりゃそうだろうけど」

矢部君「そういうわけでやんすね、GWには家族サービスとかを
    しないといけないんでやんすね」

主人公「なんかすごい話の持っていきようだけど、そういうこともあるかもね」

矢部君「朝から言ってくるわけでやんすよ、
    『パパー、遊園地連れてってー』みたいなことを」

主人公「うーん…でも、人が多いからなー」

矢部君「きのうママといっしょに人がいないところを探したんだって」

主人公「それはどこ?」

矢部君「ほら、3丁目の山田さん。海外に旅行中で家ガラ空きなんだって」

主人公「って、その人がいないかよ!」

矢部君「まあ、それは冗談でやんすけどね、人のいる場所じゃなくて、
    自然と親しむっていうのもどうでやんすかね」

主人公「うん、山とか海にピクニックとかハイキングに行くのもいいね」

矢部君「道具とかもきちんと買いそろえて、子どもなんかは
    前の晩から自分の枕元なんかにおいてわくわくするんでやんすよ」

主人公「ああ、そういうのはあるかもね」

矢部君「いよいよあしたかぁ。わくわくするなぁ」

主人公「うれしくってしょうがないわけだ」

矢部君「ママはふたつを合わせたようなのって言ってたなぁ」

主人公「ふたつって、どっか島みたいなところに行くの?」

矢部君「ピッキングで山田さんの家に行くんだよなぁ」

主人公「だからそこから離れろよ!」

矢部君「大丈夫だよ。ママと口裏合わせて、全部パパの仕業にする予定だから」

主人公「ぜんぜん大丈夫じゃないって!」

矢部君「じゃあ、ちゃんと遊園地とかに行くでやんすか」

主人公「かなり混雑してるだろうけど、そっちの方がまだましだしね」

矢部君「高速道路とかすごいでやんすよね」

主人公「ぜんぜん動かなかったりするし、イライラしてくるよね」

矢部君「そこでそういうときのために、お気に入りの音楽を持ってきたんでやんすよ」

主人公「まあ、すこしでもたのしいほうがいいしね」

矢部君「じゃあかけるでやんす(カチャ)」

   「チャラ〜(プチッ)…」

主人公「ん?なんかすぐ切れたんだけど、編集失敗?」

   「パッ(プチッ)…」

主人公「ほら、また。なにこれ」

矢部君「ピローン!雨の新開地!」

   「…正解でやんす!」

主人公「って、イントロクイズだよ!
    しかもこの人自分で答えてよろこんでるよ!」

矢部君「いやー、作るのに3時間かかったでやんすよ」

主人公「それに見合うだけは、みんなイライラしたしね」

矢部君「じゃあ最近はやってるやつなんかどうでやんすかね(カチャ)」

主人公「それがあるのなら、そっちにしといてよ」

   「チャチャチャラ〜」

主人公「こんどはちゃんとしたやつだね」

矢部君「あなた〜の〜」

主人公「って、お前が歌うのかよ!」

   「ピローン!雨の新開地!」

主人公「しかも今度は逆バージョンだよ!」

矢部君「残念、不正解でやんす」

主人公「というか、なにがたのしいの!?」

矢部君「いやでやんすね、これはいまはやりのカバーというやつでやんすよ」

主人公「微妙どころかぜんぜんちがうと思うけどね、もういいよなんか。
    ラジオつけてよ、ラジオ」

矢部君「主人公君もいちいち注文が多いでやんすね。
    まあそれでもいいでやんすよ(カチャ)」

   「チャッ、チャッ、チャチャ」

主人公「はぁ、やっとまともなのが聞けるよ」

   「はい、今夜もオールナイト明雄の時間が始まりました!」

矢部君「いやぁ、これ毎週5時間かけて作ってるんでやんすよ」

主人公「だれかたすけてー!」

矢部君「とまあ、こうやれば渋滞もすこしは気楽でやんすよ」

主人公「なんかね、聞きたくないカラオケにつき合わされた気分だよ」

矢部君「そういうリアルなグチはこの際わすれてでやんすね、
    きょうはぱーっとこの夢の国でたのしもうじゃないでやんすか」

主人公「じゃあ童心に戻ってやってみようか」

矢部君「わーい、あそこにエムッキーがいるでやんす」

主人公「せっかくだからいっしょに写真を撮っておこうか」

矢部君「あ、あっちにディナルドがいるから、
    あれを写真に撮って欲しいでやんすね」

主人公「どこどこ?」

矢部君「ほら、あそこのものかげで油断して一服してるの」

主人公「いきなり夢ぶち壊しかよ!」

矢部君「これをネタにゆするでやんすね」

主人公「そんな無邪気に言うなって!」

矢部君「じゃあとりあえずご飯にするでやんすか」

主人公「でも軽く2、3時間は並ばないといけないからなぁ」

矢部君「しかもこういうところのは値段の割には
    むにゃむにゃなことになってるでやんすからね」

主人公「家で作ったやつのほうがいいかもね」

矢部君「だからきょうは家から持ってきたんでやんすよ」

主人公「あ、その荷物ってそうだったの」

矢部君「ほら、この弁当箱」

主人公「それを見るだけでもたのしいよね」

矢部君「で、中身はきのうの残りのカレーと焼きそば。
    どっちも好物でやんすけど、なぜか食欲がわかないでやんす」

主人公「って、ぜんぜんたのしそうじゃないって!」

矢部君「あと、このタッパー」

主人公「ふつうはデザートとか入れるよね」

矢部君「半年のあいだ冷蔵庫の奥でくすぶってた
    豆腐を採用したんでやんすよ」

主人公「いや、よくタッパーに水といっしょに入ってるけどさ!
    こんなところに持ってくるなって、そんなもん!」

矢部君「あと、ついでにおなじ境遇にあった生卵と野菜なんかも持ってきたでやんす」

主人公「なんのために!?」

矢部君「これを行列に投げ込んで混乱に乗じて…」

主人公「来てそうそうつまみ出されるって!」

矢部君「じゃあエムッキーに…」

主人公「下手すりゃ出入り禁止だって!」

矢部君「せっかく持ってきたのにもったいないでやんすね。
    じゃあ主人公君しかいないでやんすか」

主人公「だから人に投げる発想をやめろって!」

矢部君「それならそこのディナルドに…」

主人公「いや、彼は人じゃないことになってるかもしれないけどさ!
    その、わかるでしょ、その年なら!」

矢部君「まあでもでやんすね、こういうところで並ぶのってかったるいでやんすよね」

主人公「2時間とか5時間とかなんてざらだからね」

矢部君「そこでオイラが考えた裏技が効果を発揮するんでやんすよ」

主人公「パレードのときが狙い目とか、そんなやつ?」

矢部君「それもあるでやんすけどね、勝負はここに来る前から
    はじまったるんでやんすよ。まずは前もって
    パンフレットなんかをチェックするんでやんすよ」

主人公「あらかじめ場所を調べておいて、開園と同時にダッシュする作戦なの?」

矢部君「まあそれもないこともないでやんすけどね、
    そこに紹介されてる人気アトラクションを丹念に調べるんでやんすよ」

主人公「たしかにあれもこれもと欲張るよりは、
    本命一本にしぼったほうがいいよね」

矢部君「それで写真とかを参考にでやんすね、
    前もって作っておいて家から持ってくるんでやんすよ」

主人公「どんな金持ちだよ!」

矢部君「それがダメならじっと眺めてでやんすね」

主人公「どうすんの?」

矢部君「『ここでこういうカーブか。よし、乗ったぞ。オレはいまこれに乗ってるぞ。
     おっと、わ、おおぉ。ふー、それにしてもすごかったなぁ』って思って、
    あらかじめ乗ったことにしておくんでやんすよ」

主人公「ああ、それならわざわざ並んで乗る必要ないねって、
    おもしろいの、それ!?」

矢部君「人ごとだからおもしろいでやんすね」

主人公「この人、めちゃくちゃ投げやりだよ!」

矢部君「それにどうせ旅行なんかに行っても、部屋に入ってひと息ついたところで、
    たいていやれやれなんて感じで言うじゃないでやんすか」

主人公「ま、まあ、言うけどさ。そんなら行くなって思うけどさ」

矢部君「え、いまの夢?」

主人公「結局、連休はずっと寝てたのかよ!」


戻る