資料名    「声を失った犬」

[ねらい]
  ・生き物を大切にすることや,始めたことは最後までやり通すことの大切さが理解できます。
[セールスポイント]
  ・読み物資料ではないので,読解力の乏しい子どもも授業に進んで参加することができます。
  ・ワークシートとセットになっています。
  ・資料自体にインパクトがあります。
[対象学年]
  ・小学校中学年以上
[追試上の留意点]
  ・イラストをコピーでTPシートに転写して活用するとよいです。
[備考]
  ・この資料は,群馬の山田先生の資料を参考にして,自分(大江浩光)なりに改作したものです。


[発問1] あなたは,犬が好きですか。
      理由も付け加えて発表してください。

       次のような反応があった。
        ・好き・・・可愛いから。 かしこいから。
        ・嫌い・・・うるさいから。 かむから。 吠えるから。 散歩に連れてかないといけないから。
       発問1は,発問2の布石の役目を果たしている。 

[発問2] 犬は,どのような時に吠えるでしょうか。
       次のような反応があった。
        ・腹がへっているとき。   ・悪い人が来たとき。   ・知らない人が来たとき。
        ・遊んで欲しいとき。    ・散歩に連れていって欲しいとき。  ・うんちがしたいとき。 

[説明1] 犬が吠えるときは,腹がへっているときや知らない人が来たとき,散歩に連れていってほしいきとき,
      うんちがしたいときなどがあります。

[発問3] この犬は,全く吠えたり泣いたりしません。
      なぜでしょうか。

       右記のTPシートをOHPで見せながら,発問を行った。
       次のような反応があった。
       ・病気だから。
       ・腹がへっているから。
       ・いじめられたから。
       ・もともと泣かない。
       ・吠えすぎて声が出なくなった。

[説明2] この犬の首に機械のようなものが付けられていますね。
      この機械は,犬が泣いたりすると犬に電流が流れるのです。
      それが原因でこの機械を付けられている犬は,泣いたり吠えたりするこ
      とができなくなったのです。

       右記は,イラストを掲載しました。
       ※ 実物の写真(犬に機械がつけられているもの)は,下記の書籍に掲載しています。

『続・落語流道徳授業』
(大江浩光著,押谷由夫解説,明治図書

[発問4] なぜ飼い主は,この機械を犬に付けたのでしょうか。
       次のような反応があった。
        ・犬が吠えたり泣いたりすると,近所迷惑になるから。
        ・犬が飼っていることを大家さんにばれないようにするため。
        ・犬をいじめるため。
        ・犬が悪いことをしたから。

[説明3] この犬の飼い主は,アパートで犬を飼う為,犬が泣いたり吠えたりすると近所迷惑になると思い,この機
     械を犬に付けたそうです。
       ある獣医さんの話によれば,この機械を一度付けた犬は,この機械を外してもほとんどの犬は,二度と
     泣いたり吠えたりすることができなくなるそうです。
       それは,この機械を付けた犬は,この機械を外しても泣いたり吠えたりすると電流が流れると思い,そ
     の恐怖心から二度と泣いたり吠えたりすることができなくなるそうです。

[発問5] もし人間にこの機械を一年間付け,その後外したとします。
      その人間は,その後話すことができるでしょうか。

       全員が話すことができないこと答えた。
[説明4] あるお医者さんは,「ほどんどの人は,話すことができなくなり,心の病気になることが多いでしょう。」
      話していた。

[指示1] この犬は,主人に対してどんなことを思っているでしょうか。
      ワークシート1に書きましょう。

       次のようなことが書かれていた。
        ・なんてことするんや。
        ・いじめないでよ。
        ・お前(主人)が付ければ。
        ・外してよ。
        ・ひどいことするな。
        ・やめてよ。
        ・主人と一緒に住むには,しかたがないか。
       ほとんどの子どもは,批判的な意見を書いていた。       

[指示2] もしあなたが犬が好きでどうしてもマンションで飼いたいとします。
      マンションの大家さんに「飼う方法が一つだけあります。それは,泣くと電流が流れる機械を付けることで
     す。そうすれば,近所迷惑にならないので,飼ってもいいですよ。」と,言われました。
       あなただったら,どうしますか。
       ワークシート2に書きましょう。

        次のようなことが書かれていた。
         [飼う為に付ける]
          ・飼いたいから。   ・犬が可愛いから。   ・野良犬になるとかわいそうだから。   
          ・捨てられて保健所の人に捕まって,殺されるより良いから。
         [飼うのをあきらめる]
          ・かわいそうだから。    ・もし自分がされたらいやだから。
          ・飼うのをあきらめて,他に飼ってくれる人を探す。
        この発問のねらいは,動物愛護の精神を育てることや思いやりの大切さを育てることもあるが,物の
       見方や考え方には,多様な視点や観点から判断することができることを子どもに知らせることである。
        そのようなことを知ることにより,多様な選択肢の中から,選択する能力を育てることもできる。それが
       道徳教育を行っていく上で重要なことだと,私は判断している。       

[助言1] 両者の意見は,意見はよく分かりました。
      みなさんの意見の根底には,犬に対しておもいやりがあったからこそ,そのような意見がだされたのだと
      思います。

説明5] この機械が今も作られ,ペットショップや通信販売で約一万七千円で売られ,売れているそうです。
      必ずしも,全てのペットショップや通信販売で売られているわけではありません。

[助言2] みなさんは,生き物に対してとても優しいのですね。
       先生は,みなさんを見直しちゃったな。

        助言2は,指示3の布石の役割を果たしている。  

[指示3] これを見てごらん。
      どんでん返し的に子どもの表面的な意見を覆す
     事実(TPシート1と2)を提示する。
   
     省略
     詳しくは,下記の書籍をご覧ください。

『続・落語流道徳授業』
(大江浩光著,押谷由夫解説,明治図書


[指示4] 今日の学習から,自分なりに感じたことや考え
      たことをワークシート3に書きましょう
。 


 
私の自作資料に関して一言
    (1)普段の授業や研究授業などで使用していただいて結構です。
    (2)教育雑誌や教育書,その他の書籍に無断掲載することは,著作権法に触れますので,
       ご遠慮ください。

                             

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