[ねらい]
・身近なものが川を汚染していることに気づくことができます。
・人間の心の弱さに気づき,その弱さを克服することの大切さが理解できます。
[セールスポイント]
・読み物資料ではないので,読解力の乏しい子どもも授業に進んで参加することができます。
・ワークシートとセットになっています。
・資料自体にインパクトがあります。
[対象学年]
・小学校中学年以上
[追試上の留意点]
・写真やグラフは,コピー機でTPシートに転写して活用するとよいです。
[備考]
・この資料は,神奈川県の青野教諭の自作資料を参考にして,自分(大江浩光)が改作したものです。
[指示1] この一枚の写真を見ましょう。
右記の写真を見せながら,指示1を行った。
次のような反応があった。
・汚い
・なんじゃ
・川だ。
導入段階で,インパクト(興味を引く)のある資料を用いることにより,
授業に食いかつせる。
[発問1] これは,川です。
この川は,どこの川でしょうか。
次のような反応があった。
・東京の川 ・鹿児島市内の川 ・〇〇川
・淀川 ・都会の川 など
[説明1] この川は,地元を流れている〇〇川です。
[発問2] 〇〇川は,何が原因でこのように汚れてしまったのでしょうか。
次のような反応があった。
・洗剤
・工場が流される汚い水
・家庭から流される汚い水
・おしっこやうんち
・川に捨てられたゴミ
[説明2] 先生が〇〇市の市役所に聞きました。
川を汚しているものは,この円グラフに載っています。
一位は,事業場系(小規模の工場やお店),2位は,生活系(家庭から流される汚
水)一位と二位の差は,ほとんどありません。
右記は,円グラフを見せながら,説明した。
※事業場系(33.4%),生活系(31.2%),水産系(23.2%)
畜産系(8.7%),自然系(3.5%)
[発問3] 私たちが台所や風呂から水と一緒に流しているものには,どのようなものがありま
すか。
ワークシート1に書き,発表しましょう。
次のような反応があった。
・牛乳 ・醤油 ・ソース ・ジュース ・ラーメンの汁
・洗剤 ・シャンプー ・マヨネーズ ・味噌汁など
[指示2] みなさんから出された意見(物)の中で,水と一緒に流してもよいと思うものに〇をつけましょう。
〇を付けた人は,発表しましょう。
「牛乳」と「味噌汁」に〇をつけている子どもが多かった。
[説明3] みなさんから出された全ての意見(物)が川を汚す原因となっています。
子どもたちは,不思議そうな顔つきをしていた。
[指示3] ワークシート2のクイズをしましょう。
「小さめのお風呂に水を入れ,魚を飼っています。どのくらい水が汚れたら魚が死
ぬでしょうか。」
・使用済みの天ぷら油の場合・・・・・・(1) 小さじ1/3
(2) 小さじ2杯
(3) 小さじ10杯
・合成洗剤の場合・・・・・・・・・・・・・・・(1)
(2) 省略
(3)
※段ボールで作って実物大の浴槽に魚などを
・牛乳の場合・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1) 貼りつけたりつけものに,使用済みの天ぷら
油や合成洗剤などを入れるふりをししている
様子。
(2) 省略
(3)
・味噌汁の場合・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
(2) 省略
(3)
・米のとぎ汁の場合・・・・・・・・・・・・・・(1)
(2) 省略
(3)
※上記のデーターは,魚の種類,水の量,入れる液体の種類によって異なります。
あくまでも目安です。
詳しいワークシートが欲しい方は,大江までメールooe@po.synapse.ne.jpを送信してください。
無料で差し上げます。
[説明4] ワークシート2の答えは,全て(1)です。
子どもたちは,大変驚いていた。
[発問4] この結果を知って,どのような感想を持ちましたか。
次のような反応があった。
・びっくりした。
・少しの量でも魚が住めなくなるのを知って驚いた。
・私たちも気をつけないとだめだと思った。
[発問5] ここに2つの洗剤があります。
合成洗剤は,値段も安く,汚れもよく落ちます。しかし,川を汚す原因にもな
っています。
石鹸の洗剤は,値段は合成洗剤に比べ少し高く,また合成洗剤に比べて,
汚れも落ちにくいです。しかし,川をあまり汚さない自然に優しい洗剤です。
あなたなら,どちらの洗剤を使いますか。
ほとんどの子どもは,石鹸の洗剤と答えた。
[説明5] 家庭でどのような洗剤を使っているのかをある学級の協力をえて,調べました。結果は,合成洗剤を
使っている家庭は,95%石鹸の洗剤を使っている家庭は,5%でした。
今はいいですが,このまま合成洗剤を使い続けると,数十年,数百年後には,日本の川の水は,魚
が住めなくなったり,川の水を飲み水として使用することもできなくなる可能性もあります。
[指示4] 自分たち(子ども)にできることとして,どのようなことがありますか。
次のような反応が合った。
・親に頼んで,合成洗剤を使わないようにしてもらう。
・合成洗剤を作っている会社に,合成洗剤を作らないように手紙を書く。
・合成洗剤を使わないようにいろいろところに呼びかける。
[発問6] 先生は,みなさんにもできるよい解決策を考えました。ねれと、みなさんのおこづかいを減らして,石鹸
の洗剤を買うたしにしてもえばよいのではないでしょうか。
そのことについて,どう思いますか。
次のような反応があった。
・いやだ。
・僕たちのこづかいは,少ないから困る。
[助言1] そうですよね。自分のこづかいが減れば,買いたい物も買えなくし,いやですよね。
家の人(お母さん)も同じ考えではないでしょうか。わざわざあまり汚れがとれない上,合成洗剤より,高い
石鹸の洗剤を買うのは,自分の家だけ損をしたみたいでいやですよね。
人間は,よりよく生きようとする生き物です。合成洗剤を使うのもよりよく生きようとする一つの手段です。
石鹸の洗剤を使うということは,余分のお金もかかるし,合成洗剤に比べて汚れの落ちも悪いから,より
よく生きようとすることに,反しますね。
よりよく生きようと考えることは,決して悪いことではありません。しかし,これからの地球を考えれば,そ
のような生き方だけを追求していくだけでよいのでしょうか。
ちょっとした自然に対する気配りも大切ではないでしょうか。
※ 子どもたちに分かりやすいように板書を工夫することが大切である。
[説明6] 汚れた生活排水を減らすための対策(気配り)として,次の4点があります。
(1) 食べ残しをしないようにする。
(2) 調理くずや食べ残しは,土に埋めて自然に分解させる。
(3) 洗剤は,自然に優しいものを使う。また,洗剤の量を使いすぎない。(決
められた量を使う。)
(4) 自然にやさしい洗剤を使う。
(5) 食用油をそのまま流さず,古新聞などに吸い込ませて,ゴミとして出
す。
[指示5] 今日の学習を通して,感じたことや考えたこと,今の自分のできること等をワークシート3に書きましょう。