[ねらい]
節度ある行動をとらなければ,最後に自分が苦しむことが分かります。
・「自己破産」につして,知ることができます。
[セールスポイント]
・導入段階ではクイズ形式の手法を用いていることにより,授業に集中させることができます。
・ロールプレイングゲーム的手法を用いて,自己破産について学ぶことができます。
・ワークシートとセットになっています。
[対象学年]
・中学生,高校生,大学生
・個人的には,小学校高学年でも可能だと判断しております。
[追試上の留意点]
・グラフなどは,コピー機でTPシートに転写して活用するとよいです。
[備考]
・中学生や高校生,大学生などに対しての金銭教育の一貫として,ぜひ試してもらいたい。
・自己破産者もいろいろな事情で自己破産となったのでから,自己破産者をあまり否定するような言動は避ける
べきである。
・特定の金融機関名を出すことは,避けるべきである。それらの金融機関も法廷金利を守っているのだから,
偏見的扱いをしてはいけない。
[発問1] これらは,何のグラフでしょうか。
右記のグラフを見せながら,発問を行った。
次のような反応があった。
・自分たちの市の人口のグラフ
・交通事故で亡くなった人のグラフ
・障害者の人数のグラフ
・赤ちゃんの人数のグラフ など。
[説明1] このグラフは,95年度までの破産者申請数(自己破産を申し出た人数)です。
自己破産とは,自分が現在所有している全財産をお金に換えても,借金が払いきれない場合や,
多額の借金があり,働いても返せる可能性がない場合に,本人が裁判所に申し出て,借金をゼロ
にしてもらうことです。
〔発問2〕 自己破産すると,どのような処罰を受けると思いますか。
次のような反応があった。
・二度と借金ができない。
・刑務所に入らなければならない。
・家を建てられない。
・遺産相続ができなくなる。
・選挙権がなくなる。 など。
〔説明2〕 次のような制限が課せられます。
(1) 裁判所の許可がなければ,引っ越しはできません。(破産法147条)
(2) 裁判所の許可がなければ,長期の旅行ができません。(破産法147条)
(3) 郵便物は,直接自分には配達されません。全ての郵便物は,破産管財人に配達され,破産管財
人は,郵便物を開封すくことができます。破産者は,破産管財人に対して郵便物の閲覧や交付を
求めることができます。(破産法190条1,2,3項)
(4) 破産者は,弁護士,公認会計士,税理士,質屋・・・・・・など27業種の仕事につくことはできませ
ん。
(5) ブラックリスト(事故情報)に名前が載り,銀行やサラリーマン金融から5〜7年間,場合によって
は,一生お金を借りることができなくなります。
〔発問3] 96年度の破産申請者数は,増えているでしょうか。それとも,減っているでしょうか。
次のような反応があった。
・増えている(85%) ・減っている(15%)
[説明2〕 答えは,このグラフです。
右記のグラフを見せる。
[発問3] 93年度から95年度まで自己破産者が減ってきたのに,どうして96年どは,増えたのでしょうか。
次のような反応があった。
・景気がよくなったから。
・景気が悪くなったから。
・銀行などがたくさんお金を貸すようになったから。
〔説明3〕 専門家の話によると,無人契約機(クレジットカードを人に会わずに作れる機械)の出現が大きな
原因だそうです。
〔発問4〕 なぜ,無人契約機の出現が自己破産者を増やす原因になったのでしょうか。
次のような反応があった。
・人に会わずに契約ができる。
・簡単に契約ができる。
・ちょっとお金だから大丈夫と安心してしまう。
〔説明4〕 人に会わずに手軽に借金ができるからだと,一般的に言われています。
〔発問5〕 借金することは,いけないことなのですか。
次のような反応かあった。
・計画的に借金をすればよい。
・ギャンブルなどに使うために借金をするのはよくない。
・自分が返せるくらいの借金ならいいと思います。
・基本的に借金しないほうがよい。
〔指示1〕 借金のシュミレーションをしましょう。
ルールを説明します。自己破産になるギリギリまで,借金した人が勝ちです。
月収は,手取り15万円とします。
生活費〔食費代,アパート代,光熱費(電気代,水道代,ガス代など),日用品代,電話代など〕に
約10万円かかるとします。
毎月支払える金額〔手取り(15万円)−生活費(10万円)〕は5万円となります。
買った商品や合計の金額をワークシート1に書きましょう。
・車(150万円) ・車(200万円) ・車(300万円) ・車(400万円)
・海外旅行(50万円) ・海外旅行(70万円) ・海外旅行(90万円)
・宝石(10万円) ・宝石(20万円) ・宝石(30万円)
・パソコン(20万円) ・パソコン(35万円) ・パソコン(40万円) ・パソコン(50万円)
・ビデオデッキ(5万円) ・ビデオデッキ(10万円) ・ビデオデッキ(15万円)
・遊び金(30万円) ・遊び金(50万円) ・遊び金(70万円) ・・・・・・・・など
※ その他の商品名や金額は,個人で自由に書き込んでもよい。
〔説明5〕 破産に詳しい専門家の話によると,次の式で出た金額以上の借金をすれば,破産するしかしかたがない
そうです。
その式とは,毎月の返済可能金額(毎月の手取りから生活費を引いた金額)×12×5カ月です。
この式に当てはめると,5万円×12カ月×5=300万円
300万円に一番近い人が勝ちとなります。
この月収では,300万円を超える借金をすれば,自己破産の道しかないということです。
※ 因みに,300万円を年率25%の金融機関で借金をしたとします。
利子だけで月に7万5000円支払わなければなりません。
月に7万5000円支払ったとしても,元の借金の300万円は,一円も減りません。
〔指示2〕 ある自己破産者からの手紙を紹介しますので,聞きましょう。
自己破産者からの手紙は,省略します。
※ 詳しい手紙を知りたい方は,メールをください。
無料で差し上げます。
〔指示3〕 授業を受けて,感じたことや考えたことをワークシート2に書きましょう。
※ この資料は,中学校,高等学校,大学まで使えると思います。
高等学校や大学校では,ホームルームの時間などに活用するといいと思います。
※この授業のワークシートをほしいか方には,無料でプレゼントいたします。
「word」版,「一太郎」版どちらかを指定してください。
※ この資料に関するご意見や追試された感想などいただければ幸いです。
私の自作資料に関して一言
(1)普段の授業や研究授業などで使用していただいて結構です。
(2)教育雑誌や教育書,その他の書籍に無断掲載することは,著作権法に触れますので,
ご遠慮ください。