資料名 「 漂流物 」

[ねらい]
  ・身近なものが海を汚し,海の生き物に影響与えていることに気づくことができます。
  ・自然破壊をするのも,くい止めることができのも人間だけであることが分かります。

[セールスポイント]
  ・読み物資料ではないので,読解力の乏しい子どもも授業に進んで参加することができます。
  ・ワークシートとセットになっています。
  ・資料自体にインパクトがあります。
[対象学年]
  ・小学校中学年以上,中学生
[追試上の留意点]
  ・写真やグラフは,コピー機でTPシートに転写して活用するとよいです。
[備考]
  ・漂流物の実物(日本製の物,外国製の物)を用いると効果的です。  


[指示1] 次の言葉からどのようなことを連想(思いつき)ますか。
       ・日本  ・海  ・自然  ・分解されにくい  ・ながれてくる
       ・リサイクル  ・処理問題 

       次のような反応があった。
        ・ゴミ   ・油  ・プラスチック など。
       導入段階で,クイズ型式で行うことにより,あまり構えないで授業に入ることができる。 

[発問1] 答えは,この写真です。
      
 次のような反応があった。
        「やったあ,当たった。ゴミだ。」などの呟きがあった。

[説明1] この写真は,鹿児島県阿久根市の海岸に流れ着いたものです。
      海岸に流れ着いたものを「漂流物」といいます。

[発問2] これからの漂流物は,いったいどこから流れ流れて来たのでしょうか。
      
次のような反応があった。
       ・日本    ・中国    ・アメリカ   ・韓国

[説明2] 漂流物に
      「あなたは,どこから流れてきたのですか。」
      などと,聞くことなど到底できないことです。
      漂流物のラベルをみれば,ラベルに製造した国や製造した国の言葉で書かれているので,
      ほぼどこから流れてきたかは分かります。
      阿久根市の海岸で調べた結果,
      一番多かったのは,日本の商品でした。
      その他にも,中国語,韓国語,英語などで書かれていた商品が目立ちました。


[発問3] 漂流物には,どのようなもの(性質)がありますか。
       次のような反応があった。
        ・プラスチックのもの  ・水に浮くもの  ・ゴミ  ・ビン  ・ヤシ  ・木  ・空き缶  など。

[説明3] 「水産庁研究部漁業保全課」の報告によると漂流物の約50%
      は,発泡スチロールやプラスチックのものです。
       発泡スチロールやプラスチックのものは,水に浮くと共に,
      自然界では,なかなか分解されにくい性質をもっています。






[発問4] 発泡スチロールやプラスチック製品の漂流物は,海の生き物にどのようて影響を与えていると
      思いますか。

       次のような反応があった。
       ・海水が汚れて,魚が死んでしまった。
       ・魚や鯨が間違って食べてしまった。 など。

[説明4] 動物学者で名古屋港水族館長の内田至氏は,昭和47年から17年間,海亀の漂着情報が寄せら
      れる度に,死体を解剖して死因を調べました。
      その結果、死んだ海亀の76%がビニールやプラスチックを食べしていました。
      海亀は,海に漂うビニール袋やプラスチックの破片を好物のクラゲと間違えた食べたと思われます。
      内田至氏は,水槽に海亀を入れ,ビニール袋を漂わせたところ,海亀は素早くビニール袋を食べようと
      しました。

      〔授業では,死んだ海亀の中から取り出されたビニール袋やビニール袋を食べようとしている
      海亀の様子をビデオで見せた。〕

                   

      〔ビニール袋を食べようとしている海亀〕     〔海亀のお腹から取り出されたビニール〕
[説明5] 海亀の死体は,ビニールなどの人工廃棄物がすでにかなりの密度で日本列島を取り囲んでいることを
      ものがたっているのです。

        子どもたちは,大変驚いていた。

[発問5] 発泡スチロールやプラスチックで作られているものには,どのようなものがありますか。
       
次のような反応があった。
        ・スーパーでくれる袋     ・釣り糸
        ・魚をいれているもの     ・段ボールと一緒に入れるもの(商品のクッション)
        ・プラモデル          ・筆箱
        ・ごみ箱  など。       

[発問6] 発泡スチロールやプラスチックは,形も自由に加工でき,費用もあまりか
      かりません。
       特に発泡スチロールは,保温性にも優れています。
           






  

[指示1] 発泡スチロールやプラスチックは,自然界で分解されには,何十年単位の時間がかかります。
      更に家庭用焼却炉(低温の焼却炉)で燃やすと,猛毒のダイオキシンが発生します。
      ダイオキシンは,ガンやいろいろな病気を起こす原因になっております。
      しかし,発泡スチロールやプラスチックは私たち人間にとっては,とても便利な存在です。
      もし,他の物に代えるとすれば,その分商品の値段が上がります。
      例えば,テレビを買うとします。
      テレビは,壊れないように段ボールと一緒に発泡スチロールががクッションがわりに入れられます。
      もし,発泡スチロールの代わりに紙でクッションを作ったとします。
      その場合は,約2000円商品が高くなるとします。
      あなたは,どちらを買いますか。
      ワークシート1に,どちらを買うかと理由も書きましょう。
      
次のような反応が合った。
       〔紙でできたクッションが入った方を買う〕
        理由・環境のことを考えれば,そうすると思う。
           ・これからの事を考えれば,ちょっとぐらい高くてもそちらを買う。など。
       〔発泡スチロールできたクッションが入った方を買う〕
        理由・やっぱり,値段が安い方がいい。
           ・これからの事を考えれば,環境によいものを買ったほうがよいのは分かるが,
            実際は,同じ品物なら値段が安い方を買うと思う。など。        

〔指示2〕 それぞの意見について,討論しましょう。
       子どもの反応は省略
        〔3つの討論のポイント〕
        (1)理想論(具体的な理由付け)
        (2)現実論(具体的な例もいわせる。)
        (3)資本経済の仕組みも論題にする。・・・・中学校以上でなければ,この論題は苦しい。
          基本的に資本主義経済は,消費経済から成り立っているのだから,その消費経済に水をさす
          ような仕組みは日本で成り立つのか。
          (外国での取り組みの成功例・・・ドイツなど)
                
[助言1] 自然界に存在するものは,ひとつひとつが孤立しているわけではありません。
       ひとつひとつのものが関係仕合い,循環し,成立しているのです。
       もしその仕組みが狂えば,自然界に異変が起こり,人間にも多大な影響を
       与えるはずです。

       自然界の仕組みを破壊することができる唯一の動物がいます。
       それは,「人間」です。
       自然界の仕組みを破壊するのをくい止めることができる動物がいます。
       それは,「人間」です。

[助言2] 最後に
       この一枚の写真は,私たち人間に何を訴えているのでしょうか。

        (ジュースのキャップをかぶったヤドカリ)









[指示3] 今日の学習を通して,感じたことや考えたこと,今の自分のできること等をワークシート2に書きましょう。

       子どもの反応(ワークシートに書いた内容)は,省略。


※この授業のワークシートをほしいか方には,無料でプレゼントいたします。(製作中)
  「word」版,「一太郎」版のどちらかを指定してください。


私の自作資料に関して一言
    (1)普段の授業や研究授業などで使用していただいて結構です。
    (2)教育雑誌や教育書,その他の書籍に無断掲載することは,著作権法に触れますので,
       ご遠慮ください。

                             

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