資料名    「働く場をください」

[ねらい]
  ・誰しも働く権利があることを知ることができます。
  ・障害者の社会(労働現場)における雇用の現状が理解できます。
[セールスポイント]
  ・読み物資料ではないので,読解力の乏しい子どもも授業に進んで参加することができます。
  ・ワークシートとセットになっています。
  ・資料自体にインパクトがあります。
[対象学年]
  ・小学校高学年,中学生
[追試上の留意点]
  ・イラストをコピーでTPシートに転写して活用するとよいです。
[備考]
  ・この資料は,多くの関係者の協力により,完成することができました。
   ご協力してくださった関係者の方々には,心からお礼を申し上げます。


[発問1] 次の作品を作っている人の月収は,いくらでしょうか。
       次のような反応があった。
        ・竹ぼうき・・・10万円,12万円,15万円
        ・箸置き・・・・10万円,8万円,15万円
        ・造花・・・・・・5万円,20万円,25万円
        ※ 授業では,実物(竹ぼうき,箸置き,造花)を見せた。 

[説明1] 竹ぼうきを作っている人の月収は,1万円です。
      箸置きを作っている人の月収は,5000円です。
      造花を作っている人の月収は,3000円です。

       数人の子どもたちのは,「安いなあ」と呟いていた。
       ※ この金額は,ある福祉作業所で調査した結果である。
         いろいろな福祉作業所や本人の能力によって,金額はかなり
         異なってきる。

[発問2] どうして,月収が安いのでしょうか。
       次のような反応があった。
       ・単純作業だから。
       ・会社が貧しいから。
       ・あまりもうからないから。
 
[発問3] これらの商品は,どこで作られていると思いますか。
       次のような反応があった。
       ・工場   ・施設   ・刑務所   ・お店   ・学校    ・自分の家

[説明2] これらの商品は,福祉作業所というところで作られています。
      福祉作業所では,体や知的障害のある人たちがはたらいています。
      
 ほとんどの子どもは,福祉作業所のことを知らなかった。
       「知的障害」という言葉については,教師が補助的説明をする。
       近くに福祉作業者があれば,その福祉作業所の写真やビデオを見せながら説明するとよい。
       
[発問4] なぜ,いろいろな障害を持った人たちがここで働いているのでしょうか。
       次のような反応があった。
        ・他に働く場所がないから。
        ・会社が雇ってくれないから。
        ・仕事についていけないから。
        
[説明3] 企業が雇ってくれなかったり,企業で働けるだけの力が不足しているからだそうです。

[発問5] 日本の法律では,ある程度(従業員63人以上雇っている会社)の会社では,全従業員の何%以上の
      障害者を雇わなければならないと定められています。
       全従業員の何%以上の障害者を雇わなければならないでしょうか。
       次の(1)〜(5)のうち,どれでしょうか。
       (1)1.6%  (2)2.4%  (3)3.2%  (4)4.8%  (5)10%

       ほとんどの子どもは,(5)の10%と答えた。

[説明4] 答えは,(1)の1.6%です。(従業員63人に対して,障害者1人の割合)
      「1.6%」という数字を提示しても,子どもにとっては分かりにくいので,補充の説明として「従業員63
       人に対して障害者1人の割合」と具体的に話をした。

[発問6] この事実について,どう思いますか。
      
 次のような反応があった。
        ・もっと会社は,障害者を雇わなければならないと思います。
        ・会社は,障害者のことをもっと考えなけれならないと思います。
        ・会社にも事情があるかもしれないけど,やっぱりもっと障害者を雇うべきだと思います。
        
[発問7] この法律に違反した会社は,月々罰金を支払わなければなりません。
       その罰金は,いくらでしょうか。

        次のような反応があった。
         ・5万円  ・50万円  ・20万円  ・5000万円  80万円
         「5000万円」という意見が出されたとき,ある子どもは,「会社がつぶれるよ。」と大きなことが呟
         いた。
         
[説明5] 従業員63人程度雇っている会社は,月額50000円の罰金となるそうです。

発問8] 罰金の金額について,どう思いますか。
       次のような反応があった。 
       ・無茶苦茶安すぎる。
       ・もっと金額を高くするべきだ。
       ・誰がこの金額を決めたのですか。信じられない。(安すぎる。)

[発問9] 何%の会社がこの法律を守っているでしょうか。
       次のような反応があった。
       ・50%  ・70%  ・90%  ・20% など

[説明6] 答えは,このグラフです。
      50.5%の会社しかこの法律を守っていません。
      残りの49.5%の会社は,この法律を守っていません。
      
 グラフをOHPで投影しながら説明した。
       この数値は,平成8年度に鹿児島県の職業安定所に問い合わせて教えてもらっ
       た数値です。
       
[発問4] なぜ,いろいろな障害を持った人たちがここで働いているのでしょうか。
       次のような反応があった。
        ・他に働く場所がないから。
        ・会社が雇ってくれないから。
        ・仕事についていけないから。
        
[指示1] どうして,この法律を守らないのでしょうか。
       ワークシート1に3以上書きましょう。
       3分後,次のような指示をした。
       「1つ以上書けた人は,立ってください。前の席の人から順に発表してください。
        自分が書いてあることが全部言われた人は,座ってください。」
        次のような反応があった。
        ・障害者を雇うと生産が伸びないから。
        ・他の従業員が反対するから。
        ・障害者が使えるトイレやいろいろな施設の改善にお金がかかるから。
        ・「お金を払った方が会社としてはよい。」と考える会社があるから。
        ・会社のイメージを考えた場合。
[助言7] 障害者を雇わない会社は,障害者を雇わない理由として,次のようなことがよく言われています。
       ・障害者が働くために多額の施設改善費用がかかる。
       ・生産量が減る。
       ・他の従業員との人間関係。
       以上のことを考え,罰金を支払ったほうが会社としては,有利と判断することが多いそうです。

[発問10] このような考え方について,どう思いますか。
       
次のような意見交換がされた。
       A児・・・利益ばかり追求する会社には,もっと罰金を高額にすればよい。
       B児・・・障害者には,福祉作業所があるのだから,そこで働けばいいと思います。
       A児・・・B君の意見は,おかしい思います。障害者の中にきっと普通の会社で働きたいと思っている
            人も思います。また,福祉作業所は,給料が安い。
       B児・・・でも,障害者を雇うことにより,会社がつぶれたり,他の人の給料が安くなったりすれば,
            その人たちが可愛そうだと思
       A児・・・もしB君が明日交通事故で障害者になったとします。その障害が原因で入りたい会社にも
            入れないとすれば,あなたは,あきらめますか。やっぱり,その会社で働きたいんじゃない
            ですか。
       B児・・・自分が障害者になれば,やっぱりその会社で働きたいと思います。
       C児・・・会社も障害者を雇うべきだと思います。
       D児・・・障害者を雇うことが無理な会社はしかたないとしても,雇えれる会社は,雇うべきだと思いま
            す。
[指示2] 小児性脳性麻痺の方が書いた紙を読みます。
          詩の内容は,省略
       詩の内容を知りたい方は,電子メールでください。
       勿論,無料でお教えいたします。 


[指示4] 今日の学習から,自分なりに感じたことや考え
      たことをワークシート2書きましょう

      ワークシートには,次のようなことが書かれていた。
     〔男子〕ぼくは,最初竹ぼうきなどを作っている人の給料聞いて,大変驚きました。そんな安い給料だと,
         生活することができないと思いました。またどんな人がそこで働いているか関心を持ちました。
         ぼくは,きっと子どもが働いていると思いました。
         先生から,体に障害をもっている人が働いていることを聞いて驚きました。驚きと共に関心を持ちま
         した。なぜならば,ぼくにも体不自由な兄弟がいるからです。
                     ( 途中省略 )
         会社の立場も分からないことはありませんが,もっと障害者のことを考えて欲しいです。もし,その
         法律を守っていない会社の社長の兄弟や子どもに障害者がいたら,きっと雇うようになると思いま
         す。
         今は,他人事だと思っているのだと思います。障害者や障害者の家族のことをもっと考えて欲しい
         です。
         ぼくが会社の社長になったら,障害者の人をできるだけ雇いたいと思います。
                     ( 以下省略 )
 


※この授業のワークシートをほしいか方には,無料でプレゼントいたします。
  「word」版,「一太郎」版どちらかを指定してください。

私の自作資料に関して一言
    (1)普段の授業や研究授業などで使用していただいて結構です。
    (2)教育雑誌や教育書,その他の書籍に無断掲載することは,著作権法に触れますので,
       ご遠慮ください。

                             

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